社債の基礎知識について解説

投稿:
更新:


会社が資金を調達する方法として、社債を発行するという方法があります。社債とは、企業が発行する債券のことで、それを使って投資家から資金を集めます。債権には金利が定められており、償還する必要があります。

今回は、社債の基礎知識について解説していきます。

※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。

社債とは?

社債とは、企業が直接投資してくれる投資家を集めて発行する債権のことをいいます。

金融機関を相手にする融資とは異なり、金利や償還の期限などを企業側で自由に設定することが可能な上、ローンのように毎月返済する必要がないのが特徴です。企業は社債を買った投資家へ、年1~2回ある利払日に利息のみを支払います。そして満期になったら元本を返済します。

社債を発行する目的

金融機関からの融資などさまざまな資金調達法がある中で、社債で資金調達をする目的は金利による負担を抑えるためです。社債の金利は社債発行時に企業が好きなように定めることができます。そのため、金融機関から融資を受けるよりも低金利での資金調達が可能です。

もちろん、金利を極端に低く設定してしまうと投資家に社債を買ってもらえなくなるため、場合によってはそれなりに高い金利で社債を発行しなければいけません。そのような場合でも、金融機関から融資を受けるよりは利息の負担を減らすことができるでしょう。

社債発行のメリット・デメリット

ここからは、社債発行のメリット・デメリットについて説明していきます。

社債発行のメリット

株主と違って社債権者には経営に参加する権利がありませんから、社債発行をしても、経営に干渉されないというメリットがあります。また、社債は取締役会の決定によって発行できますが、社債発行により調達した資金は使途が限定されていませんので、自由に使うことができるのも利用しやすい点です。

社債発行では償還期間を長期に設定することができ、その間は利子のみを支払えばOKなので、銀行などの金融機関で融資を受ける場合に比べて金利の負担が軽くなります。

社債発行のデメリット

社債を発行すれば、事務手続きが増えるので管理コストや作業の負担が発生するというデメリットがあります。また、社債は株式と違って借金になりますから、債権者に弁済する必要がある点にも留意しなければいけません。社債を発行する場合には、償還のための積み立ても行う必要があります。

【無料】起業相談会を実施しています。起業相談会申し込みはこちらから。

社債の主な種類

主な社債には、以下の5種類があります。

普通社債(ストレートボンド、SB)

一般的に「社債」というとこちらの普通社債を指し、ストレートボンド(SB)とも呼ばれます。

あらかじめ設定された満期までの間、投資家に対して利息が支払われる仕組みであり、ほとんどの場合は固定金利となります。信用格付に応じて利息が高くなる傾向があります。

転換社債(チェンジャブルボンド、CB)

転換社債(転換社債型新株予約権付社債)は、チェンジャブルボンド(CB)とも呼ばれます。

基本的な仕組みは普通社債と変わりませんが、一定条件において株式と交換できるという特徴があります。社債としても機能するため利息を受け取ることもできますが、特別な条件が付帯することから、普通社債に比べて利息は低く設定されるのが一般的です。

ワラント債(新株予約権付き社債)

ワラント債は、社債と株式を一定の価格で購入できる権利が付帯された社債です。

上記の転換社債は、社債を株式に転換できるものですが、ワラント債は、通常の社債に加え、株式を購入するための資金が追加で必要になります。

劣後債

劣後債とは、社債を購入した投資家に対して、弁済順位が低い社債です。

弁済順位が低いため、企業に破綻などの事態となった場合に損失を被る可能性が高くなりますが、その分利息が高く設定されているのが特徴です。

電力債

電力債とは、電力会社によって発行される社債のことを指します。

他の社債とは異なり、電力会社が持っている発電所をはじめとした資産全体が担保となっており、担保がある分低金利で発行されます。

【無料】資金調達相談会を実施しています。資金調達相談会申し込みはこちらから。

社債の発行方法

社債は発行する方法によって、公募債と私募債の2つに分けられます。

公募債とは、文字通り広く公に募集する社債のことを指します。具体的には50人以上の投資家向けに発行されたものが公募債となります。公募債として発行する場合には、有価証券届出書や有価証券報告書、目論見書などを用意して開示しなければいけません。また、たくさんの投資家に社債を買ってもらうには、上場企業のように会社自体が有名でなければ難しいでしょう。しかし、公募債ならば社債総額が数十億円の高額な資金調達も可能です。広く投資家を集める公募債に対し、私募債は限られた条件の中から投資家を募集します。

私募債はさらに2つに分かれて、プロ私募債と少人数私募債があります。プロ私募債とは、社債を売る対象が適格機関投資家に限られた社債です。適格機関投資家とは、銀行や保険会社などのプロとして有価証券を扱っている会社や機関などを指します。募集時にはもちろんのこと、適格機関投資家以外の投資家に転売されないようにしなければなりません。プロ私募債は適格機関投資家を対象にしていれば、人数の制限はありません。

少人数私募債は50人未満の投資家を対象とした社債です。50人未満という制限は募集人数のみならず、発行後の人数も該当します。そのため、譲渡制限などを社債に設定しておかなければなりません。50人未満という数字さえ守っていれば、投資家が適格機関投資家でも一般の投資家でも可能です。

これらの発行方法の使い分けは、会社の規模や社債の総額、目的などで決まってきます。中小企業であれば比較的簡単に投資家の募集ができる少人数私募債が適しているでしょう。

社債発行における注意点とは?

社債は投資家から直接借りている借金です。銀行の融資のように月々の返済がないからといって、返済のことを考えずに使っても問題ないという訳ではありません。確実に返済できるような事業計画や返済計画を立てた上で、償還日に向けて集めた資金を運用していく必要があります。

また、社債は投資家との間に信頼関係がなければ成り立たない資金調達方法です。大企業ほど信用リスクが低くない中小企業にとっては、特に信頼関係が重要視されます。社債の募集総額や支払い方法はもちろんのこと、事業計画書などの情報も積極的に開示して、投資家との信頼関係を築くことが大切です。

まとめ

社債は銀行にお金を預けるよりも利息が高く、しかも株式のように価値が変動することがないので、安定して資産を増やせるとして近年人気が高まっています。企業を対象とした個人資産の運用を考える場合、社債の購入は有力な選択肢であるといえるでしょう。

ただ社債はあくまで企業にお金を貸し付けるという性格を持つため、業績が悪化して倒産するといった事態が起これば、貸したお金が返ってこないということもあり得ます。社債の購入を検討する場合は、業績に問題のない信頼できる企業かどうか、十分な検討が必要になってきます。

より詳しい情報や起業・開業に役立つ情報は「起業のミカタ(小冊子)」を無料で贈呈していますので、合わせてお読みください。

相談会

相談会

今まで1,000人以上の相談会をしてきたアドバイザーが、豊富なデータ・最新情報とノウハウ、専門家の知見を元に、無料かつ約30分~1時間ほどで「起業・開業ノウハウ」をアドバイスします。