本が好きな人は、ビジネスとして古本屋を始める事を検討している人もいるかと思います。
今回は、古本屋での開業について解説していきます。
※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。
開業前に古物商許可申請を済ませておく
古本屋を開く場合、古物商許可証を取得しなければなりません。古物商許可証を取るときの申請は、お店の住所を管轄する警察署にておこなうのが一般的です。
申請には申請手数料として約2万円と身分証明書や住民票、略歴書などの提出が求められます。許可はおおよそ1~2ヵ月程度かかります。許可が下りたら、発行された古物許可証を受け取りに警察署に再び出向きます。その後、「古物商許可プレート」を発行します。古物商許可プレートは飲食店の「食品衛生責任者」と同じく、店舗に張りつける義務があります。古物商許可プレートは、古物許可証の発行後に警察署で用意してもらうか、自分で用意します。自分で用意する場合は、インターネットで販売されていたりするものを購入するなどの簡易的なもので構いません。
その他、ネット古書店のようにサイトを通じて古本を販売する場合は、お店のURLを届け出る必要があります。この場合、プロバイダーが発行した資料などを添付するのがルールになっています。添付資料にはいろいろな条件があるため、あらかじめ警察署で確認しておいたほうが安心です。
開業する場合の手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
書籍仕入れ方法
仕入方法には、店頭仕入、古本市での仕入、宅買いによる仕入があります。
店頭仕入は引越しなどで不要になった古本の処分などが主で、古本市では業者間で仕入取引を行ないます。宅買いは蔵書家が一括して処分する場合であります。売れる商品を識別して、適切な価格で仕入れることが必要です。売上高総利益率は50~60%程度で販売と仕入は基本的に現金決済です。
在庫の書籍を管理する環境を整える
売る本を売買するときには、大量の在庫を保管する環境を整えておく必要があります。書籍は、湿気や紫外線の影響を受けやすく、シミやカビ、日焼けなどは、古本の買取でも減額の対象になります。このような問題がある古本は、商品としての価値が大幅に下がってしまうため要注意です。
在庫の本を保管する際には、湿度や直射日光の影響を受けにくい環境を選ばなければなりません。適当な場所がないときには、空調が整ったトランクルームなどを利用するのも1つの方法になります。
買取価格は相場価格をみて決めよう
多くの利益をだしたいからといって、古本の買取価格を好き勝手決めることはおすすめできません。そのため、古本屋開業の際には買取価格の決め方をしっかり知っておく必要があります。
買取価格の相場ですが、定価の1割程度が目安です。現代は電子書籍をメインに読む読者層も増え、本が昔よりは売れていません。そのため、相場は時代により変動があり、電子書籍がまだなかった時代に比べれば、買取価格の目安は低いです。
しかし、売れている本の買取価格は上げる必要があります。人気の本は書店でもよく売れますが、少しでも安いものを求めて古本屋に来るケースは多いです。そのため売れている本を在庫しておくことはとても重要になってきます。
逆に、売れている本を安く買い取ろうとすれば、当然お客様になかなか売ってもらえなくなります。売る側も当然なるべく高く買い取ってほしいと思っています。安く買い取っていると、もっとも高く買い取ってくれるところに持ち込んでしまいます。
また相場の価格とは別に、本そのものの価値を判断基準に加えることも必要です。読めないほどだったり、ひどい汚れがあったりすると売れないため、買取を断る必要があります。自分自身に本について、知識があることもとても重要です。プレミアがついていたり、定価より高く売られている本を持ち込まれる場合もあります。そのときに、買い取る側がその本の価値がわからないとなると、安く値段設定をしすぎるなど大きな利益を逃してしまうことにつながってしまいます。
まとめ
古本屋は古物を扱う仕事のため、その出店には通常の書店とは違う特別な手続きが必要になります。また個人経営なら買取価格の設定・売りに来てくれるお客様にちゃんとした査定をするために本の知識が必須になります。
出店には高い経費がかかる場合もありますが、抑えていける方法も多いです。そういった点では古本屋は開業しやすいともいえます。