金融機関で融資を受ける際には、必ず事業計画書を提出する必要があります。事業計画書の内容が直接融資の成否に影響することもあり、記載内容に悩む方が多いですが、実は事業計画書の代行を依頼することが出来るのをご存知でしょうか?
そこで今回は、事業計画書の代行を依頼できる業務についてや、事業計画書作成代行業者に依頼するメリット・デメリットをご紹介していきます。
※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。
目次
そもそも事業計画書とは?
事業計画書とは、今後、どのように事業を運営していくのか、具体的な行動を内外に示す計画書のことです。英語では「business plan」と呼ばれています。
経営者が頭の中に描いているイメージを、事業計画書という形を通して具体的にまとめることで、それが実現可能か否か冷静かつ客観的な判断を下せるのです。また金融機関はこれをもとに事業の収益性を確認し、融資の判断を行います。
事業計画書作成代行業者に依頼できる業務とは?
事業計画書代行ではビジネスプラン構築後の資料作成を一緒に行っていきます。資料を作成するだけではなく、業界のデータ分析、起業、経営アドバイス、資金調達するまでのサポートなど、多岐に亘ります。
代行業者によってサポートする内容は変わりますが、良くあるサービス内容は以下になります。
・損益計算書の作成
・月別資金繰り表
・事業内容説明書
その他、起業する業界のデータを知る事ができたり、事例から現実的な資金調達金額、成功事例を知る事ができます。代行業者によって強みやサービス内容は変わる為、相性の良い代行業者を選ぶ必要があります。
事業計画書作成の代行依頼先と費用・作成期間の相場
事業計画書・創業計画書作成を代行する業者は、会計事務所・税理士事務所のほか、民間のコンサルティング会社、クラウドソーシングで受注する個人など様々です。事業計画書の作成期間は業者により異なりますが、おおむね5~10日程度を要します。
作成にあたって事業内容のヒアリングから書類作成に入ることが一般的です。ヒアリング方法は、対面でのヒアリングのほか、電話、メール、LINEやZoom、チャットツール等があります。作成後、依頼者が内容を確認して代行が終了することもあれば、業者によっては面談に同行して、融資審査が終わるまでサポートしてくれる業者もいます。
費用の相場は、数万~数十万円程度の固定料金、もしくは融資実行時の成功報酬として資金調達金額の2~5%程度(+着手金)となることが多いです。また、顧問契約が発生する業者も存在するため、必ず料金設定の確認をしてください。
事業計画書作成の代行を依頼するメリット
代行業者に依頼することで得られるメリットは以下になります。
融資の審査に通りやすくなる
金融機関が融資を実行するにあたっての最大の懸念事項は貸し倒れです。融資した資金がきちんと回収できるかを検討するため、事業計画の「実現可能性」について隅々まで確認します。そんな審査担当者の厳しい目にも耐えうる、丁寧に作り込まれた事業計画書を準備するには相応のノウハウが必要です。
事業計画書の作成経験が豊富な代行業者であれば、審査の際に重視されるポイントを抑えているため、審査担当者に好印象を与える書類の作成が可能です。
一度自分で作成して提出したものの審査に落ちてしまったから代行をお願いしたい、というケースを耳にしますが、創業融資では一度審査に落ちてしまうと記録に残り、以降の融資にも悪影響を及ぼすため、自信がない場合は最初から代行依頼を選択肢に入れるべきだと言えます。
適切な融資額が分かる
経営者の方がご自身で融資額を低く見積もっている場合、調達できる資金が増える可能性があります。逆に実現可能な額よりも融資額を高く見積もっている場合、そのまま審査に出してしまうと大幅な減点になってしまいます。
代行業者は過去の事例を把握しているからこそ、適切な調達金額を提案することができるのです。
事業に注力することができる
事業計画は事業の地図に当たります。事業計画を立てることは起業において不可欠で、起業家自身にしかできない仕事です。 一方で、金融機関指定の事業計画書フォーマットを埋めるという不慣れな作業は、起業家にしかできない仕事ではありません。
事業計画書の作成代行は、依頼者の時間的・精神的コストを引き受けていると言えます。代行を依頼することで依頼者の時間が節約でき、起業家にしかできないタスクにフォーカスできます。
ビジネスプランの見直しになる
自分だけで資料を作成する時には見落としていたデータ、事業の弱点を見つけることができます。資金調達をするだけではなく、事業プランの見直し、ビジネスプランの再構築ができます。代行業者も融資側と同じように、過去沢山の事業計画書を見てきています。
初心者が間違いやすい項目、失敗しやすい事例を元に、資料作成だけに留まらず、経営にも活かせる資料作成やデータを取得することができます。第三者にあらかじめ入ってもらう事で、客観的な視点でビジネスプランを見直しできます。
事業計画書作成代行のデメリット
事業計画書を代行業者のデメリットについてご紹介していきます。
代行コスト費用がかかる
作成を代行してもらう一番のデメリットはコスト面です。しかし資金調達の人員経費と考えれば、かなりの低価格で代行してもらう事が可能です。金額的は10万円から30万円前後での依頼が可能な為、コスト面もそこまでかかるわけではありません。
事業計画書作成の知識が付きにくい
事業計画書を自分で作成することで、創業時の資金調達に向けた勉強になります。ノウハウを自分の中に蓄積できないデメリットがあります。
資金調達をする度に、今後も依頼するのであれば、勉強する必要はありませんが、2社目の会社設立、経営途中による資金調達など同じような場面が、今後も出てくる可能性があります。しかし2社目の会社設立などは資金力が上がり、調達する金額も増える為より代行業者に依頼するメリットも増えます。
オリジナル性が削がれる可能性がある
事業計画書代行業者は経営コンサルタント、元銀行勤務、中小企業診断士、税理士、行政書士などが行っている事が多いです。奇抜で非常識なビジネスプランの場合は、プランの再構築を促される事もあります。結果的に常識内に収まった、面白さを失ったプランになることもあります。
代行業者に依頼する時には譲れないビジネスプランを持って相談をした方が良いでしょう。時には常識に収まらないビジネスプランだからこそ上手くいく事があります。 代行業者に全て丸投げしないことで、このデメリットを回避することができます。
事業計画書代行業者の選び方とは?
多くの代行業者から依頼先を選ぶ際のポイントをご紹介します。
サポート範囲が広い業者を選ぶ
事業計画書を提出するだけで資金調達が完了する訳ではありません。事業計画書の完成度が高くとも、その他の書類や面談の内容次第で審査落ちしてしまう可能性は十分にあります。
そのため書類作成だけでなく、その他の申請業務や面談の対策といった資金調達が完了するまでの全てのフローをサポートしてくれる業者を選ぶことが重要です。先を見据えての支援を期待できるかを吟味しましょう。
認定支援機関を選ぶ
認定支援機関とは、中小企業庁がサービス内容を確認し、その優良性を認定している支援機関のことです。事業計画書の代行業者は非常に多いため、サービスの内容がきちんと担保されているかの判断基準として確認することをお勧めします。
まとめ
事業計画書は、融資実現には欠かせませんが、それ以外にも事業のブラシュアップやビジネスプランの見直しにもなります。事業計画書の作成に不安がある方は、融資を確実に成功させるためにも、専門機関への相談をおススメします。