現在は、大手企業であれば安定しているという神話は崩れ去り、自分の力で生きていく起業について関心を持つ人が増えています。しかし起業は誰もが成功するわけではなく、失敗すれば多大なリスクを背負うことになります。
そこで今回は、一般的に成功しやすいビジネス、失敗しやすいビジネスについて解説していきます。
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一般的に成功しやすいビジネス/失敗しやすいビジネス
どんなビジネスにも成功と失敗がありますが、一般的に成功しやすいビジネスや失敗しやすいビジネスというものがありますのでご紹介していきます。
成功しやすいビジネス
少人数で始められるリスクの低いビジネス
起業をする人の中には「起業をするにはリスクをとって当たり前」と考える人もいますが、リスクや費用は少ないに越したことはありません。特に費用に関しては、「初期費用」と「固定費」をなるべく安く済ませられるビジネスはリスクが低いといえます。
ニッチなビジネス
「ニッチ」は、「すきま」を意味します。大多数のユーザーではなく、ごく一部のユーザーにとっては魅力的な特定のジャンルに焦点を当て、ビジネスを展開していくのが、ニッチ・ビジネスです。特定の範囲に絞ることで、狭いながらもニーズのある市場でシェアを広め、市場における優位性を狙います。特定のニーズを持つユーザーからの支持を獲得することが、他社にはない強みになります。ニッチなビジネスを狙うことで、競合他社を避けることができ、市場を独占することができます。
既存ビジネスの真似をする
一個人が考えたビジネスは多くの場合、既に誰かが失敗したビジネスか成功しているビジネスであることが多いです。既存ビジネスを徹底的に分析して、うまくいっているビジネスを見つけることも起業を成功させる1つのポイントです。
利益率の高いビジネス
利益率の高さも成功しやすいビジネスといえます。建設業や不動産業は、一度経営が軌道に乗ると、高い利益率を実現できます。開業率は高くないものの、製造業や教育・学習支援業も、他の業種に比べると経営が安定化しやすいという特徴があります。また、在庫を抱え込まず、現状では競争が過当ではない医療・福祉分野などの業種が、成功しやすいビジネスで失敗のリスクが小さい業種といえます。
失敗しやすいビジネス
上記で成功しやすいビジネスをご紹介しましたが、反対に失敗しやすいビジネスもあります。ここでは、失敗しやすいビジネスをご紹介します。
市場における競争が激しすぎる
競合他社の多い人気ビジネスは、競争率が激しく、他社との差別化を図ることが困難で、参入しても成功することが難しいです。例えば、競争の激しい飲食業界の中でも特に競合の多いラーメン屋もその1つです。
ラーメン屋は初期投資にある程度まとまったお金は必要ですが、飲食の中でも比較的参入しやすい分類に入ります。素人でも参入しやすいがゆえに他社との差別化が難しく、脱サラ・未経験者による飲食店は3年以内に90%が潰れるとも言われています。人気があるから儲かりそうと安易に考えず、競合他社や市場の成長性など徹底的に分析した上で参入することをおすすめします。
運転コストがかかり、利益率も高くないビジネス
「宿泊業」や「飲食サービス業」は、店舗維持費や食材費・人件費など運転コストがかかり、利益率もそれほど高くありません。また、消費者と直接関わりのある業種であるため、流行や口コミなどの評判に売上が左右されやすく、安定的な経営が難しいという特徴があります。カフェなど小規模な飲食店は、始めやすいため開業率は高いですが、廃業率も高くなっています。
自己満足でビジネスをしてしまう
ビジネスにおいて最も重要なことは『顧客のニーズに応えること』です。起業は自己満足ではなく顧客のニーズを満たせるか、顧客の問題を解決できるかが最も重要なことになります。主観的に自身の商品(サービス)を作るのではなく、その商品が本当に顧客にとってニーズのあるものなのかを客観的に考えることが重要になるのです。
マネタイズ(収益化)できていない
事業内容がアイディア重視で、マネタイズ(収益化)を疎かにしてしまうと起業は失敗してしまいます。例えば、無料アプリはマネタイズするのが難しいビジネスの1つと言われています。無料アプリの収益源は、アプリ利用時に掲載される広告料や課金による収益ですが、多くのアプリは課金をしてもらえずマネタイズが難しい状況です。顧客のニーズに応えて人気のあるアプリになったとしても、マネタイズが出来なければ継続は不可能になります。
事業内容を考える際には、常に顧客のニーズに応えることとマネタイズできることの両軸を考えていくことが非常に重要です。起業の失敗パターンはここまで紹介した以外にもあります。以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
起業に失敗する理由とは?
起業して成功するためには、成功するポイントだけでなく、失敗する理由も理解することが重要です。ここでは多くの会社が起業に失敗する理由について説明します。
売上の低迷
最初に紹介するのは、商品・サービスの販売活動がうまくいかず、売上が立たずに倒産してしまうケースです。売上を出すためには、事業計画の時点で商品・サービスの内容を明確化し、売上や利益の立て方などを詳細に検討する必要があります。
経営状態の把握不足
業績が悪化しているという事実を把握せず、適切に対応しなかったため倒産してしまうケースもあります。俗に「既往のしわよせ」と呼ばれるものです。財務や税務の基本知識を身につけ、経営状態の把握を怠らないことが大切です。また、現状維持ではなく将来の成長を見据えて経営する必要があります。
自己資金不足
起業が失敗する3つめの理由は、自己資金が足りず、過小資本により倒産してしまうケースです。初期投資や費用をかけすぎた結果、利益が出ず自己資金が足りなくなってしまうことがあります。事業成長のためには投資も大切ですが、内部留保の確保にも注意しましょう。
組織崩壊
これは事業がある程度軌道に乗り、収益化が進んだ段階で起きがち。創業メンバーや役員などの間で報酬分配を巡ってトラブルになったり、信頼していた仲間の思わぬ裏切りにあったりして倒産に追い込まれてしまうケースが実際に発生しています。特に多いのは、友人同士で起業した際だと言われています。通常の友人関係では発生しない「お金」や「権力」を巡る衝突が一気に人間関係を変え、組織を崩壊させてしまうのです。
起業に失敗する人の主な特徴
起業に失敗してしまう人にはどのような特徴があるのでしょうか。以下で説明します。思い当たる項目がある人は軌道修正が必要かもしれません。
資金計画が不足している人
「運転資金不足による倒産」で見た通り、初期投資以外にも、会社を回していくための運転資金を十分に確保しておく必要があります。この計画が不十分だと、起業後の早い段階で資金不足による失敗を招いてしまいます。起業までに必要となる資金はもちろん、起業後の当面の運転資金(1年間分が望ましいと言われています)を正確に把握しておくことが大切なのです。
友人とビジネスを始めてしまう人
苦手な人と無理に付き合い、組織のしがらみに縛られて働くのは辛いですよね。「気の合う友人と一緒に起業できれば最高」と考えるかもしれませんが、安易に動き出すのは考えものです。友人として親しく付き合えることと、ビジネスパートナーとして共に成功を追いかけられることは、別物だと考えるべきでしょう。それまでの付き合いの歴史に油断して、経営方針や報酬などについての綿密なすり合わせを行わずに起業すると、トラブルを招いて組織崩壊を起こしてしまうかもしれません。
起業自体が目的になっている人
そもそも起業とは、何のために行うのでしょうか。「ビジネスによって社会の課題を解決したい」「自分らしい生き方・働き方を実現したい」など、人によってさまざまな目的があるはずです。しかし起業を志す人の中には、「起業すること」「独立すること」そのものが目的になってしまっているケースもあります。こうなると起業を実現すること自体に時間と労力を費やしてしまい、いざ起業しても、思ったような成果を上げられずに終わってしまうかもしれません。
経営感覚が欠けている人
経営者には、会社員として雇われて働いているときとはまったく異なる感覚が求められます。いかにして事業を回し、収益を伸ばしていくのか。そのためには何をするべきなのか。戦略的に考え、行動しなければなりません。当然ながら「誰かが指示してくれる」ことはありません。また、単純に売り上げ目標や入ってくる現金を見るだけでなく、自社のキャッシュフローを注視して収入と支出のバランスを図り、適切な投資判断をしていく必要があります。
安定経営がしやすい業種とは?
安定経営がしやすい業種としては、フランチャイズ事業やIT・WEBサービス事業などがあります。また、売上の見込みが立ちやすいストック型のビジネスも安定的な経営が可能な業種となります。
フランチャイズ事業
フランチャイズ事業は、ビジネス初心者であっても始めやすい事業です。グループに加盟することで、すでに知名度のある会社の支店として経営することができます。また、チェーン展開に成功した経営ノウハウで運営できるため、比較的安定したビジネスを期待することが可能です。
フランチャイズで経営できる事業として代表的なものには、コンビニ・ファストフード・居酒屋・学習塾・スポーツジムなどが挙げられます。
IT・WEBサービス事業
IT・WEBサービスとは、インターネットを通じてシステムやサービスをユーザーに提供するビジネスモデルです。ECサイトやゲームアプリの運営などがあります。
IT・WEBサービス事業は、初期投資が比較的少なくすみ、経営上のリスクが少ないことから、安定経営がしやすいといえます。
ストック型事業
ストック型事業は、収益化の仕組みを構築することで、継続的に収益が見込めるビジネススタイルです。ストック型事業には、「新聞などの定期購入型」や「学習塾などの教室型」などがあります。WEBサービス事業と組み合わせて、サブスクリプション型のアプリを提供するビジネスモデルが、注目を集めています。
コンサルティング業
自分の身一つで出来るコンサルティング業も安定経営がしやすいです。これまでのキャリアで得た知識・スキル・経験などを活かして、専門分野でコンサルティング業をスタートさせる、という道もあるでしょう。ひとことでコンサルティングを仕事にすると言っても、経営コンサル、キャリアコンサルといった企業向けのものから、恋愛コンサル、お掃除コンサルといった心理学や趣味などを活かした個人向けのコンサルティングものまで、その種類は実にさまざまです。アドバンテージの高い自分の得意分野を選べることが、大きなポイントといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、一般的に成功しやすいビジネス、失敗しやすいビジネスについて解説しました。
世の中にはさまざまな事業があり、毎年多くの会社が開業し、多くの会社が廃業しています。起業を成功させるためには、起業しやすく失敗しにくい業種を探し、自分にあったビジネスモデルを構築することが重要です。
また自身の好きな事や好きな人と初めて失敗するケースも多くあります。しっかりと情報収集をした上で、安定経営を目指して起業への第一歩を踏み出してみましょう。