株式会社で会社設立するにあたり、株主構成と株式の持ち分比率についてどのようにお考えでしょう?よく2人で起業するから1人50%ずつの出資でいきますという安易な考え方で決めるケースが多いのが現状です。
しかし、安易に考えてしますと後々に問題になってきますので、今回は、会社設立時の株主構成・株式持分比率について解説していきます。
会社設立時の株主とは?
株式会社を設立するためには、出資者から出資金を払い込んでもらい、払い込まれた出資金が会社の資本金になります。
会社設立のために出資金を払い込んだ出資者が会社設立時の株主になります。払い込んだ出資金の割合に応じて会社設立時の持株数、株主構成・株式持分比率が決まります。
株主の議決権
株主は所有する株式数に応じた議決権を持っています。その議決権の割合によって様々な株主としての権利があります。
会社を経営するうえでの一番重要な株主の権利は取締役の選任と解任です。つまり、株式を過半数持っていれば取締役の選任と解任ができてしまうのです。
そのため過半数という株式持分比率は非常に重要な区切りになってきます。過半数は50%ではなく、50.01%でもいいので50%より多くないと過半数にはならないので注意してください。
持ち株比率とは?
持ち株比率とは、企業の発行済株式数(発行済み株式総数)に対して、ある投資者(株主)が保有している株数の割合のことをいいます。発行済株式総数の3分の2以上を保有していれば、会社にとって重要な事項を単独で決定できます。つまり、持ち株比率が66.7%超(3分の2超)あれば、ほかの株主の賛同を得るための根回しなども必要なく、機動的で安定的な経営ができると言えます。
逆に、創業者や取引先金融機関など、安定株主以外の持ち株比率が66.7%超(3分の2超)、あるいは50%超(過半数)となると、自由な意思決定が難しくなり、経営の安定性が損なわれる可能性が高くなります。
持ち株比率と株主の権利
会社設立は起業される方がお一人で全株を引き受け、そのまま代表取締役に就任するパターンが大半です。このような会社を一人オーナー会社などと呼びます。
一方、代表者を含めた複数人の株主でスタートする会社も見られます。
注意しなければならないのは、第三者の出資を受け入れた場合、その第三者には出資割合に応じて一定の権利が発生するということです。
株式をどれだけ保有すればその株主はどのような権利を有するのか、主なものを挙げておきましょう。
1、発行済株式の100%を保有
そのうえで代表取締役に就任すれば、全てを自分の意志で決定することが可能になります。
2、発行済株式の2/3以上を保有
株主総会の特別決議が可能になります。特別決議とは定款の変更、取締役の解任、合併や解散など、非常に重要な事柄を決める決議です。
中小企業オーナーの場合は、できる限りこの2/3以上を保有すべきでしょう。
3、発行済株式の1/2超を保有
株主総会の普通決議が可能になります。過半数なら一応その会社で一番権力を有する人です。
但し上記の2/3以上株主と異なり、特別決議は単独で通せませんので、自分の意志で全て決定することは出来ません。
4、発行済株式の1/3以上を保有
1/3以上を保有すれば特別決議を単独で阻止することが可能です。
1/3以上保有する株主についてはオーナーは会社運営にあたり相当意識する必要があるでしょう。
5、発行済株式の3%以上を保有
株主総会の召集、帳簿の閲覧ができます。この帳簿の閲覧はオーナーにとっては相当の脅威です。
帳簿とは会社のほとんど全ての経理関係資料を指しますので、日ごろどのような経営がなされているか、丸わかりになります。
6、発行済株式の1%以上を保有
株主総会における議案提出権が認められます。
まとめ
会社においてはたくさん株式を保有している人、つまりたくさんお金を出資している人が会社に対する決定権を得ることが出来ます。株式を10%しか保有しない代表取締役と、株式を90%保有している役職についていない平社員の場合、平社員の方が会社の決定権があることになります。他のケースで、会社設立において、第三者から出資してもらう場合にはこの点を十分にご注意下さい。
1人で起業して株主は自分1人の場合は問題ありませんが、例えば、友人と起業したりなど複数人が出資する可能性がある場合でも、自分1人で株式の過半数を保有するようにしましょう。できれば、起業当初は100%の株式を持つべきです。
資金が足りない場合は、出資というカタチで資金を集めるのではなく融資などで借入できないか検討してみてください。金融機関などの創業融資は金利2%程度で、無担保・無保証で借り入れできるものもありますので、過半数の株式をあたえて起業時から経営に口を出されるよりも、融資で運転資金を借り入れて、自分の理念・ビジョンを遂行した方がいいと思いませんか?