厚生労働省が新型コロナウイルス感染症の拡大で「宿泊業、飲食サービス業」などで雇用者数が減少に転じ、休業者数や非労働力人口が増加したとする「2021年度版労働経済の分析」(労働経済白書)をまとめている。医療、福祉、生活必需品など、感染症拡大下でも業務継続が求められる分野で働く環境をめぐる課題が浮き彫りになったほか、緊急事態宣言を機に多くの企業がテレワークを初めて経験し、新しい働き方として関心を集める一方、定着に向けた課題も明らかになったとしている。
白書はまた、非正規雇用労働者人口の増加は大きかったが、雇用調整助成金などの特例実施で2020年4~10月の完全失業率は2.6%ポイント程度抑制されたと分析。医療や介護など、感染拡大下でも業務継続が不可欠な分野で働く人のために感染防止対策、人員体制の強化、柔軟な働き方の実施などの取り組みが重要とした。さらにテレワークの定着には、企業によるマネジメント上の工夫やテレワーク時の環境整備が求められるとしている。
「労働経済白書」は一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題を分析する報告書で、今回で72回目。同省は新型コロナウイルス感染症が労働経済に大きな影響を与えた2020年度の白書の作成を見送り、2021年版は、2019年と2020年の2年間を対象に分析を行った。