経済産業省中小企業庁は28日、「2023年版中小企業白書・小規模企業白書」を公表した。中小企業や小規模事業者が厳しい経営環境を乗り超えるうえで、価格転嫁やイノベ—ションなどに取り組み、生産性向上や賃上げを促すことが重要と指摘した。
中小企業・小規模事業者が置かれている現状について、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む中、物価高による収益減少、人手不足に加え、働き方改革による労働時間の制約といった課題に直面していると分析した。こうした課題を克服するため、価格転嫁を取引慣行として定着させることが重要と指摘。価格転嫁に加え、イノベーションの加速、賃上げ・所得向上という「3つの好循環」を実現させることの重要性を説いた。
「3つの好循環」の実現に向けては、取引適正化のための親事業者の経営陣に対する指導・助言の実施や交渉・転嫁の状況を整理したリストの公表などの対策が必要とした。また、賃上げを促進させるため、取引適正化などを通じた価格転嫁力の向上とともに生産性向上に向けた投資を行うことが重要と指摘。事業環境が激変する時代にこそ、中小企業の経営者が成長意欲を持って果敢に挑戦し、イノベーションによる生産性向上を図るべきと訴えている。