現在、エステティックサロンは利用者にとっても昔より身近な存在になってきました。特に女性中心に、これから開業してみようと考えている経営者も少なくありません。果たしてエステサロンを開業をするためにはどんな資格が必要なのでしょうか?そして開業する為の留意点はどんなところでしょうか?
今回は意外と知られていない、エステサロンを開業するための「資格」や「留意点」について解説します。
※この記事を書いている起業のミカタを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。
目次
エステティックサロンとは?
エステティックサロンには、顔や身体のケア、マッサージ、痩身美容などの美容施術を全般的に行なう総合型のサロンだけではなく、フェイスケア、ハンドケア、痩身美容など専門のサロン、美容院などに併設して特定のサービスを行なうサロンなど、さまざまな店舗がみられるようになっています。
基本的にエステティックサロンは自由に開業できる業種で、美容院がフェイシャルケアやハンドケアを導入したり、訪販化粧品メーカーが訪問エステを実施するといった異業種の参入を含めて、サロン数の増加で競争も激しくなってきています。
現在では、低価格なセルフサービス型のサロンも多くできてきており、新規参入にあたっては、サービスの内容や提供方法、料金設定などによる差別化が欠かせません。
起業・開業に必要な手続きや資格とは!?
全身美容は行なわず、顔(首から上)だけに特化した美容サービスを行なう場合、美容師法により美容師でなければサービスを提供できません。この場合、地域の保健所への届け出が必要になります。 美容師法では、全身への美容について規制する条項がないため、全身を含む顔の美容を行なうエステについては、同法にあてはまらないとされています。そのため、開業に伴う手続きや、施術者(エステティシャン)に必要な資格などの規制がなく、事実上、誰でも自由に開業可能になります。また、エステでは、厚生労働省により医療行為とされる一切を禁止されています。医療行為に該当する脱毛やピーリングを行なう者は医師でなければなりません。
開業に必要資格が無くても資格を持っていることは重要
開業のために必須な資格がないのであれば、取る必要はないのではないかと思った方もいるかもしれませんが、当然、顧客は資格がない施術者よりも、資格を取得している施術者にお願いしたい所です。そのためにも、民間資格は最低でも1つは取得しておくようにしましょう。
以下に初心者の方が受けるのに最適な主要な民間資格を行っている団体を紹介します。
認定エステティシャン(一般社団法人日本エステティック協会)
一般社団法人日本エステティック協会が行っている資格が認定エステティシャン資格になります。認定エステティシャンはフェイシャルやボディケアの理論や技術を理解し、実践する能力を持っているエステティシャンに与えられる資格になります。
資格認定試験は、筆記試験と技術試験に分かれており、筆記試験と技術試験の両方に合格することで認定エステティシャンと名乗れることになります。資格を取得するには、一般社団法人日本エステティック協会の認定校でエステに関する授業を300時間受講するか、3年以上の実務経験が必要となります。
AEA認定エステティシャン(一般社団法人日本エステティック業協会)
一般社団法人日本エステティック業協会が行っている資格がAEA認定エステティシャン資格になります。AEA認定エステティシャンはエステに関する基礎知識や技術を持ち、注意事項を守って安全なサービスを提供できるエステティシャンに与えられる資格になります。
資格認定試験は、認定エステティシャンと同じように筆記試験と技術試験に分かれており、筆記試験と技術試験の両方に合格することでAEA認定エステティシャンと名乗れることになるのも同じです。受験を希望する方は、AEAの認定校でエステに関する授業を300時間相当受講するか、エステサロンに1年以上勤務している実務経験があることが必要になっています。
エステティックサロンで開業する方法
エステティックサロンで開業する方法は大きく分けると、以下3種類になります。
・店舗型エステティックサロン
・自宅型エステティックサロン
・出張型エステティックサロン
その他には、フランチャイズという方法もあります。フランチャイズ会社の知名度、ブランドイメージ、ノウハウを利用する代わりに、加盟する方がフランチャイズ会社に対して支払うお金のことを指します。フランチャイズ形態での契約では、このロイヤリティが継続して発生し、また売上が伸びればその分支払うロイヤリティの金額も上がる歩合制を採用しているところが多くあります。
エステティックサロン「開業資金」はいくらかかるのか?
エステティックサロンを開業するにあたり「開業資金」について、どこまで予算をかけるかによってピンからキリまであります。あくまで概算になってしまいますが、開業資金の目安は以下になります。
開業資金の目安
・店舗賃貸費:約50~100万円
・内装工事代:約30万円~50万円
・家具・寝具代:約20万~30万円
・用品代:約10万円~20万円
・備品費用:約5万円~10万円
・宣伝広告費:約5万円~30万円
自宅で行って、極力費用を抑えたいのであれば、100万程度で開業の準備ができますが、通常エステティックサロンを開業する際、店舗を構える地域や立地条件によっても大幅な予算の変動が生じてきますが、概算で200万円程度あれば開業の準備ができると思います。
更に、開業当初から従業員を雇用するのであれば、多めに運転資金を準備しておいて間違いありません。開業資金は、300万円〜500万円程度見ておけば問題ないでしょう。
運転資金は重要で、自身が当初計算しているよりも1.5~2倍程度多くかかると考えましょう。お金の心配をしないためにも、開業前から資金調達を検討するのも経営する上で重要なことになります。
エステティックサロンで起業・開業する場合は集客が大変?
エステティックサロンを開業したら、最優先で取り組まなければならないのが集客です。エステティックサロンの競争が激化しており、ユーザーの選択肢もますます増加しているのが現状です。リピーターの多い業種なので、顧客へのサービスを徹底化し、リピーターを新規獲得・確保することが何よりもカギです。
顧客には、インターネットや携帯電話から情報収集する若者層も多いため、エステティックサロンのブログ、FacebookやInstagramなどのSNSの活用をし、エステティックサロンの存在を知ってもらいましょう。その他の方法としてDMやチラシのポスティングがありますが、よほど枚数が多くないと効果が低いといわれているので、費用対効果が見込めるのなら、ホットペッパーや地元コミュニティのためのフリーペーパーなどの広告媒体に出稿したり、エステティックサロン検索のサイトに登録したりするのが良い方法です。
また、都道府県や各商工会議所等で主催している起業・開業セミナーや交流会なども積極的に参加してみましょう。思わぬところからビジネスチャンスがあるかもしれません。
エステティックサロンで起業・開業するにあたっての留意点
立地条件
市街地での開業が基本である。郊外で開業する場合には、ショッピングセンターなど複合施設内などでなければ難しいと考えられます。たとえば独身OLが主なターゲットであれば、帰宅時に寄りやすい駅周辺などが最適です。主婦をターゲットとする場合、近隣にカルチャーセンターなどの文化施設がある立地も適しています。また、周辺住民の所得階級や年齢層、競合店の有無などを考慮する必要があります。
店舗のコンセプト
具体的にどのような顧客をターゲットとするか、高級サロンか、低価格でサービスを提供するのかなど、コンセプトを明確にした上で、どの施術サービスを重視するのか、導入機器はどのようなものにするのかなど、具体的なサロンづくりに取り組む必要があります。結婚を控えた女性を対象としたブライダルエステ、男性向けサービス、年配層向けの割引料金の設定など、特定のターゲットを絞り込んだ施策がよくみられます。また、デンタルケア、ネイルケア、メンタルケアに重点をおいた総合リラクゼーション型など、目的型のサロンづくりも多くみられます。
人材の育成
美容の施術を行なうサービスであるため、エステティシャンの資質が特に重要になる。技術力ばかりでなく、カウンセリング能力なども必要であり、高い技術と知識が求められます。教育制度を整備することはもちろん、能力開発の動機づけなども重要です。
誇大広告のトラブル
短期的には効果の表われにくいサービスを提供していることに加え、業法が整備されていないこともあり、誇大広告を巡るトラブルも少なくありません。マイナスイメージを払拭するため、業界団体でも自主規制ルールを徹底するなどの取り組みを進めています。個々の店舗でも、事前に十分なカウンセリングを行なう体制を整えるなど、顧客の信頼を得るための努力が重要です。
まとめ
女性をターゲットとするのであればエステティックサロンは魅力的な業種です。但し、サービスを行っている店舗そのものが飽和状態に近いだけに、これからエステサロンを事業として始めようと考えている場合には、しっかりとした事業計画を立てることはもちろんのことですが、どのようなサービスをお客様に提供していくかについても市場調査や競合調査、顧客のニーズなどを把握したうえで開業をするように検討しましょう。