当記事では、引越業での開業について、必要な許可や手続きなどお知らせします。
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目次
引越業界の現状
引越事業を含めたトラック事業においては、トラックドライバーの有効求人倍率が2.91倍(平成30年11月現在)となるなど、人手不足が深刻な課題となっています。
引越業界での開業は、軽トラック1台あれば可能であり、初期費用を低く抑えられることもあって、新規事業者の参入が多い事業になります。但し、価格競争などによる、料金の低価格化が進んでおり、引越し時のトラブルも多く、リスクを伴う仕事になります。
ちなみに、公益社団法人全日本トラック協会は、2014年に安全安心な引越サービスを提供する事業者であることを同協会が認定する「引越事業者優良認定制度」を導入し、引越業界全体の信頼性向上に努めています。
引越し事業に必要なスキル
引越しの一般的な作業内容は、以下のとおりです。
・部屋から荷物を運び出す
・トラックに荷物を積み込む
・引越し先の新居へ荷物を積み下ろす
・荷物を運ぶ際に部屋が傷つかないように適宜養生する
引越し事業の難しいところは、「毎回現場が違う」ということです。道路状況や荷物の状況、依頼者の家族構成など、現場の状況は千差万別です。個人でも比較的始めやすい事業であることは事実ですが、現場ごとに臨機応変に対応するにはそれ相応の経験値が必要となります。
また引越しの際には、エアコン取り付けや洗濯機設置もやってほしい、とお客様からお願いされることもしばしばあるようです。電気工事の知識や資格を持っていれば、エアコン取り付けなどに対応できるようになるため、「お店の強み」として打ち出すことが可能です。
開業時に必要な「運送事業の許可」とは?
引越し事業者として開業するには、運送事業の認可を受けていることが大前提です。国土交通省より運送事業の認可を受けていなければ、お客様からお金をもらって貨物輸送をすることができないと、法律(貨物自動車運送事業法)で定められているからです。
引越し事業の場合、「貨物軽自動車運送事業」か「一般自動車貨物運送事業」のいずれかで申請を行うことになります。申請手続きは、所管の地方運輸支局で可能です。事業所の地域より届出条件も異なってくるため、不明点がある場合は所管の地方運輸支局に問い合わせましょう。
貨物軽自動車運送事業
軽トラックを使用して、荷主の荷物を運送する事業です。ナンバーの色から「黒ナンバー(軽貨物運送業)」とも言われます。貨物自動車運送事業法では「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業と定義づけされています。
(引用)(「貨物自動車運送事業法」)
簡潔に言うと、お客様から料金をもらって軽貨物自動車または二輪車で荷物を運ぶ事業ということです。一般貨物運送業と比較して許可基準が易しいことから、個人で開業する方にはぴったりの事業形態だといえます。
一般自動車貨物運送事業
「一般貨物運送業」とも言われ、普通トラックを使用して荷主の荷物を運送する事業です。ナンバーの色から「緑ナンバー」とも言われ、引越し会社や宅配便など一般的な運送業はこれにあたります。
貨物自動車運送事業法では、「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第七項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものと定義づけされています。
(引用)(「貨物自動車運送事業法」)
簡単に言うと、お客様から料金をもらってトラックで荷物を運ぶ事業ということです。軽貨物運送業と比較して、許可基準が厳しいことも特徴の一つです。許可にあたっては「営業所ごとに配置するトラックの数が5両以上なければならない」など、さまざまな基準が設けられています。また申請から許可の決定まで12〜16週間ほどかかるため、計画的に許可を取得する必要があります。
普通トラックを使用して行う運送業 | 国土交通省・近畿運輸局
起業・開業手続き
個人事業主として開業する場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
引越業で開業する為の資金
引越し屋は独立開業するための資金は比較的少ないといわれています。必要となるものは、運搬するためのトラックと保険料で100万円ほどと、広告宣伝費などをプラスした額で、総合的に見ても200万円以内で起業することができるでしょう。そのため、起業する人の一番の問題である資金がないといった問題が大きくないため、引越し屋は独立開業しやすいともいえるでしょう。
但し、大型トラックや店舗を構える(発着場を設ける)、人を雇うなど、内容次第では莫大にお金がかかる事もありますので、予め、引越業で開業を検討している人は事業計画を立てておくことをお勧めします。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
引越業の仕事は一般的な家庭の引越しだけではなく、企業などの法人の引越しも行っていることが多く、集客方法や紹介、コネクションを活かせれば、年間を通して安定して仕事を受けることができるでしょう。