意外と知られていない!?法人税の申告期限延長について解説

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法人は年度末に決算を済ませたあと、確定申告を行い税務署に申告・納税します。法人税には申告書を提出する「申告期限」と、税金を納付する「納付期限」がありますが、意外と知られていませんが「申告期限」については一定の手続きにより延長(延期)することができます。

今回は、法人税の申告期限延長について 条件や手続き申請方法について解説していきます。

そもそも法人税とは?

法人税とは、消費税、所得税と並ぶ重要な国税のひとつで、法人が得た利益に対してかかる税金で、事業年度ごとにかかります。個人が利益を得たときにかかる所得税と、同じようなものだと考えていいでしょう。

決算日から2ヵ月という期限以内に書類の提出や納税ができなかった場合、たとえ1日の超過であっても、無申告加算税、重加算税、延滞税といった加算税が課せられたり、青色申告の承認が取り消されたりといったペナルティを受ける可能性があります。

申告期限の延長の特例について

前述でもお知らせしましたが、基本的に、法人税は決算日の翌日から2カ月以内に申告・納付しなければなりません。たとえば3月31日決算の企業だと、決算日の翌日は4月1日です。そこから2カ月以内に当たる5月31日が申告期限となります。申告や納付の期限を過ぎてしまうと、無申告加算税、重加算税、延滞税といった加算税が課せられたり、青色申告の承認が取り消されたりといったペナルティを受ける可能性があります。

「申告期限の延長の特例」とは、事業年度の終了日までにその手続きを行うことで、法人税の申告期限を1カ月延長できる制度です。法人税の申告期限は決算日の翌日から2カ月以内となっていますから、3月31日決算の企業は5月31日が申告期限です。しかし事前に「申告期限の延長の特例」を申請することで、申告期限が1カ月延長され、6月30日になります。

なお、「申告期限の延長」という制度もあります。これは災害などのやむを得ない理由によって、申告書を期限までに提出できないときに利用する制度です。「申告期限の延長の特例」と名称がよく似ていますが、内容は異なるため間違いのないように注意しましょう。

延長するための条件とは

定款に「当社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3カ月以内に招集する」などの文章があれば、申告期限の延長を申請できます。定款で「2カ月以内」となっている場合でも定款を変更すれば、申告期限の申請が可能です。

国税庁Hp(申告期限の延長の特例の申請)では、申告期限の延長の特例は「会計監査人の監査を受けなければならない等の理由により決算が確定しない」場合などが該当します。「会計監査」と聞くと大企業の話と考えがちですが、監査を受けていない企業でも延長の申請は行えます。

延長の申請方法について

申告期限の延長の申請は、その適用を受けようとする事業年度終了日までに規定の書類を提出して行います。

法人税の申告期限の延長を申請するには、「申告期限の延長の特例の申請書」を用意します。これは国税庁Hp(申告期限の延長の特例の申請)から取得できます。

申請時には、申請書に必要事項を記入し、所轄の税務署に持参または送付します。提出先は納税地の所轄税務署長です。延長を申請する理由については、会社の定款において決算日から3カ月以内に株主総会を開催するためといった趣旨のことを書くとよいでしょう。

申告期限の延長を検討するケースとは?

申告期限までに決算が確定しない場合

法人税の申告は株主総会で承認を受けた決算書に基づいて行う必要がありますが、会計監査に時間を要するなど、本来の申告期限までに決算が確定しない場合、特例により申告期限を1ヶ月延長することができます。

災害などのやむを得ない理由が発生した場合

その災害等が止んだ日から2か月以内に限り申告期限の延長が認められます。災害などによる期限の延長には、地域指定による期限延長と個別指定による期限延長があります。

地域指定による期限延長については、大規模な災害が発生して被害が広地域に及んだ場合に、国税庁長官が地域と期限を定めて実施します。この場合は、税務署に申請する必要はありません。個別指定による期限延長については、個別に税務署に申請することにより申告期限が延長されるものです。地域指定が行われた地域以外で災害が発生した場合や、地域指定が行われた地域で被災した事業所があるものの、本店が指定地域以外にあるために地域指定による期限延長が受けられない場合などに適用されます。

申告期限の延長での注意事項

誤解される部分ですが、この手続で延長できるのは申告手続(申告書の提出)だけです。法人税の納期限は延長されませんので、納税は原則どおり、決算日後2ヶ月以内に済ませる必要があります。納期限までに納税できない場合は、延長した期間の日数に応じて、利子税が課されます。とはいえ、そもそも税額が確定しないから延長しているのに、どうやって納付するのかと考える方もいるかと思います。その場合、本来の申告期限に、概算で「見込納付」して、実際の申告時に差額を精算するという方法です。多めの税額を見込納付しておけば、申告後に差額は返還(還付)されます。申告期限までに税金を納付しているので、利子税もかかりません。申告期限を延長しているからといって、くれぐれも納期限に遅れることのないように注意しましょう。

そして、消費税は延長はありません。消費税の納付だけ済ませておいて申告書を提出していなければ、無申告加算税が課税されます。

申告期限を延長できる税金

申告期限を延長できるのは法人税、法人事業税、都道府県民税・市町村税(住民税)です。前述でもお知らせしましたが、消費税の申告期限は延長できないので、滞納しないように気をつけましょう。また、税金の種類により届け出る場所や規定の書類が異なります。

・法人税:納税地の所轄税務署が規定する書類を、納税地の所轄税務署に提出
・事業税・都道府県民税:各都道府県税事務所が規定する書類を、各都道府県税事務所に提出
・市町村税(住民税):各市町村の役場が規定する書類を、各市町村の役場に提出

まとめ

いかがでしたでしょうか?申告期限の延長は書類を提出するだけで利用できる便利な制度ですが、手続きが遅れそうな場合は、早めに「申告期限の延長の特例」を申請するようにしましょう。

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