補助金の受給における注意点について解説

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補助金は国や地方公共団体(民間の団体で行っているものもあります)から支給される、原則返済する義務のないお金のことです。当然、財源は公的な資金から出されるものですので、誰でももらえるわけではなく、申請や審査が必要になり、一定の資格が必要な場合もあります。

今回は、補助金の受給における注意点について解説していきます。

補助金とは?

補助金は国や自治体が産業振興や雇用の推進、地域活性化などに貢献する事業に向けて交付される資金で、融資と違って返済義務がないことが大きな特徴といえます。起業時の資金調達方法としては、融資(日本政策金融公庫での借入や制度融資による借入など)が一般的ですが、低金利とはいえ返済する必要があります。

国が政策の中で「若者の起業家を増やしたい」「女性の起業家を増やしたい」となれば、「若者や女性が起業するときの補助金」を作ることで、「若者や女性の起業を増やす」効果があります。国の政策を推進するために作られたものになりますので、補助金は条件に合致すれば「返済不要」で利用できるのです。

起業時に使える代表的な補助金

・経済産業省が提供している補助金
・地方自治体が独自で提供している補助金
・企業、政府系金融機関、財団等が独自に行っている補助金

年間で数十程度の補助金が公募させるので、自分の事業に会う補助金をチェックすることが重要です。

補助金/助成金の最新情報一覧

補助金の受給における注意点

ここからは、補助金における受給する際の注意点をお知らせします。

受給のタイミングに注意が必要

補助金はメリットがたくさんあるお金ですが、前払いで受給できるという誤解される方も多いようです。しかし補助金は基本的に後払いとなります。補助事業が終了した後に、精算払いを受けるのが通常です。中には概算払いで途中で一部もらえる補助金もありますが、例外のレアケースと考えていただいた方がよいです。

よく起業家の中で、起業当初の運転資金を補助金でと考えている方もいますが、前述でお知らせした通り、後払いなので注意しましょう。

事務処理の増加

補助金を受けると、その分事務処理が増えます。補助金は、国のお金ですので、当たり前といえば当たり前ですが、きっちりと経理処理をする必要があります。例えば、見積書、納品書、請求書、領収書、通帳の控えなどは保管しておく必要があります。

また、会議報告書や出張報告書などの各種報告書が必要だったり、支出を証明する様々な書類を揃えて、相応の期間保管しておかなくてはなりません。さらに、事業期間が終了した後も、年次報告が義務付けられているものもあります。ちなみに事務処理をきちんとしないと補助金が受け取れないケースがありますので注意してください。

対象経費かどうか迷った場合

補助金をこういう使い方をしていいのかわからない時は、まずは速やかに公募機関へ聞いてみましょう。本来の目的や趣旨と違った使い方をした場合、交付された補助金を一部返納する場合もあります。こちら側の勝手な判断でお金を使ってしまい、それが補助金の補助対象ではなく、後で痛い目に合うことはよくあることです。

会計検査院の検査が入る可能性がある

補助金を受けた企業は、会計検査院の検査を受ける可能性があります。これは、国が補助金が適正な支出がなされたかどうかをチェックするものです(基本的に補助金受給後5年以内が対象です)。しっかりと事務処理し、正当な目的で費用支出していれば問題ありませんが、いい加減なことをやっていると、指摘される可能性があります。検査が入る可能性があることを認識した上で事務処理を行って下さい。

補助金の募集期間は短い!?

補助金の募集期間は、締め切りまで約1ヶ月程度と大変短くなっています。※中には例外もあります。

補助金があるから、事業の構想から考え始めてみようということでは、申請にこぎつけるのはなかなか難しいです。自分がやりたいことをまず頭の中でまとめ、あらかじめ事業計画を書面にしておき、自社に該当しそうな補助金・助成金のメニューが出てきたときにすぐ対応しましょう。

補助金は国で行っているものも多く、年度末(3月まで)に決めて、4~5月に公募するケースが多いです。更に募集人数が定員まで達していない等の理由で、9~10月に二次募集・補正予算などの名目で公募されるケースがあります。

補助金ありきで事業を考えてはいけない

補助金をもらうために、いろいろな会社の仕組みや組織を曲げてしまう事は大変損になります。

例えば、補助金をもらうために「本来は雇わなくてよい人を雇った」「連携しなくてよい企業と手を組んだ」「独立する気がない従業員を独立開業させた」などを行うと、その後のトラブルの元となります。

「何でももらえるものはもらっておこう」という気持ちはわかりますが、補助金をもらえばその枠にしばられることになります。「まず補助金ありき」の考え方は、やがて経営そのものに軋轢などが生じ、本末転倒な結果となってしまいますので注意が必要です。

補助金/助成金は課税対象になるのか?

中小企業や個人事業主向けに、国や地方自治体では様々な助成金や補助金を給付しています。この助成金や補助金ですが、受け取る金額を目安にして事業を計画してしまうと大変なことになります。 助成金や補助金も税金の対象となるからになります。

補助金や助成金は、すべての税において課税対象になるわけではありません。補助金や助成金は法人税の計算の上では収入として扱われるため、法人税においては課税対象となります。したがって、補助金や助成金も含めた収益から費用を引き、その差額について通常通り課税が行われます。

しかしながら、補助金や助成金は、消費税の課税対象ではありません。「雑収入」の勘定になるため、会計のイメージとしては課税対象となるように感じますが、国の規定では「資産の譲渡等の対価に該当しないこと」とされています。要するに、事業者が事業に対しての対価として得るものではないというのが理由になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?補助金は返済義務のないお金になりますが、補助金や助成金を受けようと思うと、事務処理が増えたり、時間的な制約がついたりと面倒なことが色々あるのも事実です。場合によっては補助金や助成金を受けない方が、事業がうまく進むこともあるでしょう。何でももらえるものはもらっておこうという意識でこれらの制度を活用するのはお勧めできません。

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