当記事では、柔道整復師での開業について解説していきます。
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目次
柔道整復師とは?
柔道整復師は、柔術を起源とする治療法を用い、打撲・捻挫・骨折・脱臼などの施術をする仕事です。東洋医学の考え方に基づき、自然治癒力を高めることを目的とし、投薬や手術は行わずに湿布や包帯、テーピングのみで施術をします。
柔道整復師になるためには国家資格に合格する必要がある!?
柔道整復師になるためには、柔道整復師の養成課程がある学校で3年間以上学び、国家試験に合格することが必要です。ちなみに柔道整復師の資格は、業務独占資格であり、医師である場合を除いて柔道整復の業務を行なっていけないという決まりがあります。つまり、柔道整復師の資格なしに接骨院や整骨院で手技を用いた施術を行なうことはできないという事です。
手続きについて
実際に接骨院や整骨院として開業するためには、必要な手続き書類が多くあります。
個人事業主or法人
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
開業届け出に必要な書類
開業届けを出すために必要な書類は以下になります。
・施術所開設届(開設して10日以内に届け出が必要)
・柔道整復師免許(原本と写し)
・平面図(施術する場所で、間取りや平米数が分かる平面図)
・案内地図
・法人の場合、定款の写しと登記簿謄本
・賃貸契約書(写し)
施術所開設届は開設後10日以内に提出しなければなりません。ここで問題となってくるのが、すでに開設をしている状態でないといけないという事です。保険請求をするには厚生局へ申請する際に施術所開設届の写しが必要で、届出には開業している事が条件となると開業当日から保険請求をすることはできないという事になってしまいます。この仕組みを良く把握しないで開設準備をしてしまい、初日から請求のできない施術をしてしまう事は少なくないようです。
保険請求を行なうための必要手続き
保険者が施術をしたときに保険請求を行なうには、「契約記号番号」が必要です。契約記号番号を得るための必要書類は以下になります。
・施術所の申出書
・同意書
・確約書
・施術管理者選任証明
・施術所開設届の副本
・柔道整復師免許のコピー
・履歴書
但し、各都道府県により必要な書類が異なる場合があるため、前もって確認をしておきましょう。
柔道整復師を雇うときに必要な届け出
雇った柔道整復師が施術した費用を保険請求するためには、保健所と厚生局に届け出をする必要があります。保健所と厚生局へ届け出をしていない場合は、罰則を受けることになるため、柔道整復師を雇うときには以下内容を届け出しましょう。
保健所への手続き
勤務後10日以内に、保健所にある届出書類を提出する必要があります。都道府県によってはウェブサイトから印刷可能です。届け出書類を提出するときには、合わせて柔道整復師の免許証と身分証明書の写しを用意しましょう。
厚生局への手続き
保健所への手続きが完了したら、全柔協(全国柔整鍼灸協同組合)を通して厚生局へ届け出の手続きをする必要があります。まずは全柔協へ連絡を行ない、届け出用の書類を手配しましょう。そして、印鑑と柔道整復師の免許証、保健所に受領された届出書類の写しを用意し、全柔協へ書類を提出。全柔協から厚生局へ届け出が行なわれます。
開業資金を抑える為には自宅やマンションの一室を利用
自宅やマンションの一室を利用すれば、開業資金として必要な家賃や初期費用を安く抑えられることが出来ます。
但し、自宅のマンションが持ち家ではなく、賃貸マンションや分譲マンションの場合、会社の住所にする時は注意が必要です。本店所在地は、基本的にどこでも登記可能といってもマンションを賃貸契約する時に会社を登記するときの住所としては使ってはいけませんと決められている場合もあるからです。黙ってても登記できないわけではないですが、後々、会社登記をその住所でやっていると発覚したら大きなトラブルになってしまうのでやめた方がよいです。事前に、不動産会社やオーナーさんに確認をしておきましょう。
また自宅やマンションの一室の場合、集客面でも苦労します。チラシやSNS、リピータを増加させる施策など予め準備をしておくことが重要です。
柔道整復師の役割需要は増加している?
柔道整復師の主な役割は、手術を行なうことなく、自身が持つ治癒力を利用して身体機能が衰えてしまったりした人々の機能を回復すること。柔道整復師は接骨院や整骨院のスタッフだけでなく、整形外科やリハビリテーションセンターでの機能訓練指導員、ジムやフィットネスクラブのトレーニング指導を行なうことができます。さらに、柔道整復師としての実務経験を積み介護支援専門員証を取得することで、要介護者を支援するケアマネジャーなど、柔道整復師としての役割を果たすことができる場は広がり続けているのです。
まとめ
柔道整復師が起業するときは、接骨院または整骨院として始め、子どもから大人まで幅広く対応する必要があります。接骨院や整骨院の利用者は年配の方が多く、今後、高齢化社会が進むにつれ、60歳以上の方が多くなるため、広告宣伝のやり方次第で年配の方を新規利用者として集客することが可能です。また、近隣住宅へのチラシを投函したり、地域行事に積極的に参加するなどしたり、地域に根付いた営業を行なうことが集客には効果的です。