当記事では、土地家屋調査士での開業について解説していきます。
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土地家屋調査士とは?
土地家屋調査士とは、土地の測量および表示に関する登記の専門家のことをいいます。
他人の依頼を受けたうえで、土地や建物がどこにどのような形状で存在し、何に利用されているかを調査および測量し、図面などを作成して不動産の表示に関する登記の申請手続などを主に行います。
土地家屋調査士はこの表示に関する登記の調査・測量・申請手続きの代理を独占的に行えるほか、境界紛争の解決手続きの一つの手段である筆界特定手続きの代理業務なども独占的におこなえる国家資格です。
資格
土地家屋調査士になるためには、「土地家屋調査士試験」に合格する必要があります。土地家屋調査士は国家資格で、この試験に合格すると、土地家屋調査士会の名簿に名前が登録されます。受験するために必要な条件などがないため、誰でも平等に受験することができます。
キャリアパス
土地家屋調査士という資格は半ば独立するための資格といっても過言ではなく、土地家屋調査士事務所などで正社員として一定の実務経験を積んだ後は、多くの人が独立します。このため、正社員として採用されるためには、遅くとも20代のうちに試験に合格しておく必要があります。雇用する側もやがて独立することを前提としているため、あまり年齢がいきすぎている人は採用に二の足を踏む傾向が強いようです。
開業までの流れ
ちなみに土地家屋調査士とは、土地家屋調査士資格を持っている人のことではありません。開業するか、土地家屋調査士として働いてはじめて名乗ることができます。土地家屋調査士として開業するまでの流れについてご紹介します。
事務所を開設
開業をするためには事務所が必要不可欠です。オフィス用品などとともに用意しておきましょう。自宅を事務所にして、経費を削減している人もいます。
主な必要機材
・測量器材(トータルステーション)
・パソコン
・測量計算、作図のためのソフトウェア
・コピー機
・プロッタ(作図機)、プリンタ
・電話機、FAX など
その他にも機材を運搬する自動車や、穴を掘るためのスコップ、巻尺、一輪車、発電機、削岩機、コンクリートドリルなどなど細々したものが必要です。
入会
事務所が完成したら、「土地家屋調査士連合会」と「土地家屋調査士会(都道府県別)」に入会手続きをおこないましょう。所属する予定の土地家屋調査士会に連絡すれば、必要となる書類を教えてくれます。必要書類や、入会手数料は所属する調査士会により異なりますので、確認してください。
届け出
土地家屋調査士はほとんどが個人事業主ですが、ある程度売り上げが上がってきて従業員を雇うという所まできたら法人化も検討しましょう。
個人事業主として開業する場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
土地家屋調査士会に入会する手続き完了後
所属する土地家屋調査士会の会長に登録証を授与して頂きます。この際、土地家屋調査士のバッジ、会員証カード、バーコード付きカード、手帳、倫理綱領、調査・測量実施要項の書類を頂きます。授与して頂いた登録証と、土地家屋調査士合格証書、倫理綱領を額に入れ、事務所に掲示しましょう。合わせて、調査士業務の報酬額も事務所に掲示することが会則で定められています。
まとめ
土地家屋調査士の資格取得には1年ほどかかるため、長期的なスケジュールで準備しましょう。土地家屋調査士を開業する際には、所定の申請をこなさなくてはなりません。申請漏れのないように、きちんと申請することが大切です。土地家屋調査士は仕事の腕はもちろん、営業スキルも大切です。顧客とのコネクションを活かしていきましょう。