【起業・開業】よくある疑問や質問について回答

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株式会社ベクターホールディングスでは、年間500人以上の起業相談会を行っていますが、その中で多い疑問や質問について回答いたします。

※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。

Q 開業届を出し忘れても大丈夫ですか?

開業届は、開業日(事業をスタートした日)から1ヶ月以内に提出することがルールですが、開業届の提出期限が過ぎていてもこれといってペナルティや罰金などが発生するわけではありません。

ただし、ルールであることは間違いないので、もしも期限が過ぎているのであれば早急に作成して提出しましょう。開業届を提出しないと確定申告が青色申告にできなくなったり、融資を受けたり屋号付き口座などが作れなくなるなどの弊害が出てきます。

Q 株式会社の資本金はいくら必要なのか?

2006年5月の法改正により、資本金が1円からでも株式会社を設立できるようになりましたが、中小企業の創業者は資本金を300万円前後に設定するケースが多いようです。

そして税金の納付の観点から考えると、資本金は1,000万円未満に設定しておくとお得になります。まず消費税は資本金が1,000万円未満の場合、設立から最大2年間は納付が免除されます。また法人税の均等割も1,000万円以上は18万円になるところ、1,000万以下の場合は7万円に据え置きです。

Q 個人事業主から法人化するタイミングは?

以下のようなタイミングで法人化するケースが多いです。

社会的信用や取引先からの依頼による

一般的に、個人よりも法人の方が信用力は高いと言えます。中には取引先を法人に限定している企業もあるほどです。法人化することで取引先も確保しやすく、活動の幅も広がるのは確かでしょう。また、金融機関から借入を行う場合にも、個人では審査が厳しく、多くの場合で保証人が求められます。法人化することで信用力が増し、金融機関からの融資や投資家からの出資など、資金調達面でも有利となります。また採用面においても、個人事業では信用力などの観点から人材が集まりにくいもの。法人化した方が優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

そして企業と取引をするにあたり相手側から法人格ではないと取引できないといわれたときが法人格のタイミングになります。

利益額

利益額で判断する理由は、事業から生じる利益が同じでも、個人事業と法人では利益に対する税負担が変わってくるからです。個人事業主が得た事業所得などから基礎控除や配偶者控除などの所得控除を引いた課税総所得金額に対しては、所得税と復興特別所得税、そして住民税が課税されます。その税率は所得税が所得金額に応じ5%~45%、復興特別所得税は所得税額の2.1%、住民税は10%とされています。所得税に関しては、所得金額が増えると税率が高くなる超過累進税率が適用されます。

一方、法人所得については法人税や事業税などが課税されます。法人税は、法改正があった関係で事業開始年度によって適用税が少し違いますが、中小法人は所得800万円まで15%、大法人と中小法人の所得800万円を超える所得については23%程度の比例税率となっています。そのほかの税負担も含めた法人所得に対する実効税率は30%弱といわれていますが、ほとんどの部分が比例税率ですので、どれだけ利益が増加しても税率は変わりません。そのため、税負担を考慮した場合、法人の所得に対する税率よりも、個人事業所得に対する税率が高くなる前のタイミングで法人成りするのがよいといえるでしょう。

一般的な所得金額の目安は、個人事業の利益が800万円を超えたあたりで法人成りするとよいといわれています。ただし、所得控除や事業以外の所得の有無などによって条件は大きく変わる可能性がありますので、法人成りの判断をする場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

売上高

売上高は、消費税の納税義務者になるかどうかに影響を与えます。適切なタイミングで法人成りすることで、消費税を納め始める時期を2年先送りできる可能性があります。

個人事業主の2年前の消費税課税売上高が1,000万円を超える場合、または2年前の課税売上高が1,000万円以下であっても、前年の前半6カ月の課税売上高が1,000万円を超える場合は消費税の課税事業者となり、消費税を納める義務が生じます。仮に、2年前の課税売上高が1,000万円を超えて個人事業主として消費税の納税義務者に該当することになった場合、そのタイミングに合わせて法人成りすることによって、消費税の納税義務は免除されます。新設法人は個人事業主とは別人格ですので、個人事業主の過去の売上高は影響がありません。法人の設立年は、納税義務の判定に必要となる2年前の売上高がないことになります。また、翌年度についても2年前の売上高はなく、初年度の開始半年間の売上高が1,000万円以下であれば免税事業者となります。そのため、新規に法人を設立した場合は、設立後2年間は消費税の納税義務が免除される可能性が高く、個人事業を継続した場合と比較すると税負担が減るメリットを得られます。ただし、資本金1,000万円以上で設立された法人は設立事業年度から課税事業者となる特例規定がありますので、資本金の設定には注意が必要です。

社会保険加入

健康保険や厚生年金などの社会保険について個人事業の場合、特定の業種で5名以上雇用している場合を除いて加入義務はありません。一方、法人化すると雇用している人数に関わらず、強制加入になります。 社会保険は、個人事業主が加入する国民健康保険や国民年金よりも手厚い補償となっているため、法人化によって社会保険に加入することはメリットのひとつとして挙げられます。

しかし、従業員分の社会保険料も法人で負担する必要があるため、法人化によって人件費の負担が重くなるというデメリットも生じます。人件費が多くかかる業種の場合は、社会保険の金額的負担も大きくなり、資金面にも大きく影響するのでこの点には注意が必要です。

Q 資本金は使ってはいけないのか?

会社設立時に資本金としたお金は、「資本金の手続き」終了後、基本的にいつでも事業のために引き出しても問題ありません。会社法の施行前には資本金として会社に振り込んだお金は設立から1ヶ月間は使えませんでしたが、現在は設立後すぐに引き出して経費支払いのために使ったとしても問題ありません。

現在のルールでは、資本金は「会社を設立するタイミングでどのぐらいのお金を集めることができたか」を判断するための基準としての意味しかないといえるでしょう。ちなみに、資本金として会社のお金となるため、社長個人のお金として引き出すことは基本的にできません(プライベートで引き出した場合は社長への貸付金となります)。

最後に注意点として「資本金=会社設立時に振り込まれたお金の総額」という意味がありますので、設立時にきちんとお金が振り込まれたと言うことは後から証明できるようにしておかなくてはなりません。設立時に株主となった人が発行する払込証明書と、設立時の銀行通帳のコピーを保管しておきましょう。

Q 法人格で株式会社や合同会社、NPO法人など色々ありますが、どれを選べばいいのでしょうか?

事業内容や設立の目的などによって、どの法人がよいのか異なってきます。信用力獲得や上場を目指すのであれば株式会社、初期費用を抑えた法人化を目的であれば合同会社、公共性のPRなら一般社団法人などを選択するケースがあります。

(参考記事)【会社設立】主な法人の種類について

Q 株式会社の商号(会社名)を決めるときにはどんな点に気をつければいいのか?

商号とは、会社の名前のことです。選択は自由ですが、その中に必ず「株式会社」というような会社組織を表す文字を使用しなくてはなりません。(株式会社●●、●●株式会社)また、銀行組織ではないものが「銀行」、同じく商工会組織ではないものが「商工会」という名称を使った商号の使用は禁止されています。また必ずしも「漢字」や「ひらがな」「カタカナ」の商号にする必要はなく、「ローマ字」「アラビア数字」でも使えます。また「&」「'」「-」「・」なども使用できます。

新会社法の施行(平成18年5月1日)以前は、同一市区町村内で、すでに登記されている商号と、同一目的の営業を行うために、同一または類似の商号の登記は不可とされていましたが、新法施行後は、この「商号規制」が廃止されました。その結果として、「同一市区町村で、同一目的かつ同一・類似商号の会社」であっても、認められることになりました。たとえば東京都新宿区区内にすでに株式会社タケシタがあり、これから登記しようとする商号が竹下株式会社であっても、受理されないということはありません。ただし、著名企業の商号や不正の目的をもって商号を使用した場合は、「不正競争防止法」の違反となり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることになっていますので注意が必要です。

Q 友人と共同経営したいのですが、注意点はありますか?

起業するために資本金を集めるにあたり、友人と共同で出資を行うという形はよくあります。社長以外の出資者は一緒に事業を行う役員になることが多く、会社設立後もたとえば取締役になったり、事業部門を共同でおこなう形態も多くあります。

しかし注意をしないと、この共同経営がなかなかうまくいかないケースがあります。商法での会社における経営判断、重要事項の決定事項に関しては、株主の過半数の決議が必要です。配当や経営権の問題で、最初に合意を得ていないと後々トラブルの種になることもあります。たとえば株の比率が2名で50%ずつだとすると、商法上の普通決議事項が両名の同意がないと決議できなくなってしまいます。例えば双方の意見が食い違った場合、何も決議できなくなってしまうという状況にもなりかねません。

共同経営は、営業面・財務面においてどちらかが結果として優位に立つ、あるいは片方の労働力に依存するケースが多くなりがちです。まずは起業する前に、共同経営を考えている相手とよく話し合い、共通認識をもって進みましょう。

Q 起業時におススメの資金調達方法は?

起業する際に、頼りたくても頼れないのが銀行です。新たに起業される方には、なかなか融資をしてくれません。 それには理由があります。銀行は、スコアリングといわれる方式によって企業を評価して、貸付を実施しています。過去の業績・財政状態を示す財務諸表から、一定の論理にしたがって信用格付けを行い、それに応じて貸付額を決めているのです。設立されたばかりの会社は、過去の業績や財政状態を示す財務諸表はありません。そのため、どんなにしっかりしたビジネスプランがあっても、スコアリング評価ステムに入力すべき、過去の財務諸表がないので、格付けができません。格付けができないので、銀行はお金を貸せないのです。担保か、信用のある会社か個人の保証がない限り、民間銀行の融資には、期待できません。

以上の理由から、一般的に起業時の資金調達方法は以下になります。
 

◆起業時の資金調達方法
    ・①日本政策金融公庫(融資)
    ・②信用保証付の融資
    ・③親族、友人・知人からの借入
    ・④ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
    ・⑤エンジェル投資家からの出資
    ・⑥補助金/助成金
    ・⑦クラウドファンディング

    特に日本政策金融公庫(100%政府出資の政策金融機関)が最も起業・開業時に利用される資金調達方法です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。

    Q 補助金や助成金はどこで調べればよいのか?

    補助金/助成金を調べるサイトとして以下が挙げられます。

      ・ミラサポ
      ・J-Net21
      ・助成金なう
      ・経済産業省(中小企業庁)の補助金公募サイト
      ・厚生労働省のHPから助成金の一覧

      上記サイトは、日々補助金/助成金情報を更新していますので、都度確認してみる事をお勧めします。

      Q 自分の自宅(持ち家)を法人の本店として登記することは出来ますか?

      基本的に法人として設立はどの住所でも可能ですが注意点があります。会社の設立を行うときには、会社の本店所在地を定款に定めた上で法務局で登記を行う必要がありますが、登記するときに会社の住所を公開しますので、法務局で登記簿謄本を取得すれば、全く関係ない人にも自宅を知られてしまい、関連のないDMなどが多く届く場合があります。

      Q 賃貸物件を法人の本店として登記することは出来ますか?

      登記することは可能ですが、自宅のマンションが持ち家ではなく、賃貸マンションや分譲マンションの場合、会社の住所にする時は注意が必要です。本店所在地は、基本的にどこでも登記可能といってもマンションを賃貸契約する時に会社を登記するときの住所としては使ってはいけませんと決められている場合もあるからです。黙ってても登記できないわけではないですが、後々、会社登記をその住所でやっていると発覚したら大きなトラブルになってしまうのでやめた方がよいです。事前に、不動産会社やオーナーさんに確認をしておきましょう。

      Q 法人の経費範囲は?

      法人の経費範囲は、基本的に事業として必要かどうかという判断になります。個人事業主では認められなかった経費も、法人成りした後は、会社の損金か否か、つまり0か100かの税務判断になります。

      基準として

        ・事業との関連性が説明できる支出、領収書などの証拠があること
        ・常識の範囲内の支出であること、また常識範囲内の金額であること

        上記が基本的な考え方です。しかし、この基準でも判断が難しい場合がありますので、その場合には顧問税理士に相談しましょう。税理士による判断で、申告時の税務署とのトラブルを避けることができます。

        Q 定款に記載していない事は事業としてできますか?

        会社の定款には事業目的を記載することが義務付けられています。事業目的は会社が営む事業を明確にするものです。会社は事業目的に記載されていない事業はできないことになっていますが、事業目的以外の事業を行った場合でも、これを罰する規定は法令上ありません。

        定款に記載された事業目的以外の事業を行っても罰則はありませんが、取引先や金融機関から見た場合に、会社の信用を失う可能性も考えられるため注意が必要です。

        Q 法人で会社設立した場合、維持するのにどのくらいの費用が必要なのか?

        まず法人は必ず「法人住民税」がかかります。赤字であったとしても最低でも毎年7万円程度課されます(金額は各自治体や資本金、従業員数によって若干異なります)。

        ちなみに個人事業主は法人住民税はありませんが、事業所得が290万円を超えると個人事業税が課されます。

        Q 知らずに商標登録されているネーミングなどを使用した場合、罰せられるのか?

        商標権を侵害した場合、その使用の差し止め、並びに損害賠償を請求されることがあります。そして使用の差し止めにおいては、故意・過失を問わず、差し止めされてしまいます。また利益を得ている場合には、それを損害賠償として請求されることがあります。

        商標登録をリサーチすることをお勧めします。商標権登録されていないかどうかは、特許庁のデータベースを利用することで確認できます。特許庁のデータベースとは、「J-PlatPat」という特許情報のプラットフォームで、誰でも、そして商標だけでなく、特許や実用新案、意匠、ロゴなどの図形商標も調べることが可能です。

        その他、人工知能(AI)を使った商標検索エンジン『商標登録サービスのToreru』もお勧めです。誰でも気軽に商標を検索でき、調査費用は無料でできるサービスです。いずれのサービスも、調べるのは無料になりますので、商標権登録の有無の調査をする際に是非活用しましょう。

        ちなみに商標登録などの相談相手として、専門家である弁理士に相談するのも得策です。

        Q 就業規則は必要ですか?

        従業員がパートを含めて10名以上になると、就業規則を作成し、労働基準監督署に届出が必要です。10人未満であっても、職場のルールの明確化の為に簡易的でも構いませんので、ルールブックを作っておくと良いでしょう。

        ちなみに労務関連の専門家は社会保険労務士(社労士)になります。不明な点は事前に相談しておくと良いでしょう。

        まとめ

        会社設立に関する情報は予め知っておきましょう起業するにも「法人格」がいいのか「個人事業主」がいいのか?個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをしますが、具体的な方法などをあらかじめ知っておけば、事業の事を考える時間を多く費やすことが出来ます。

        (参考記事)起業したいけど失敗するリスクが怖い人はまずは『起業の準備』について学ぼう!

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