お寿司は多くの人に愛され、外食・中食・テイクアウトなど利用・販売方法も様々です。需要が大きいだけに、商売としての魅力も大きいものです。
今回は、寿司屋での開業(必要資格や開業資金など)について解説していきます。
目次
寿司屋の開業に必要な資格や許可
寿司や開業には、「食品衛生責任者」の資格を持っている人がいなければなりません。医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、栄養士、調理師、製菓衛生師の資格を保持していればでは講習を受けなくても資格を与えられます。当てはまらない場合には、あらかじめ講習などで資格を取得すると「食品衛生責任者」になることができます。届け出や問い合わせは、担当の保健所になります。
そして、ふぐを扱う場合には「ふぐ調理師免許」が必要です。また、30名以上の収容人数の店を構えるには「防火管理者」資格が必要です。こちらは消防署の管轄になります。
開業する場合の手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
寿司職人の資格は?
寿司屋は職人ではなくても開業できますが、出来れば知識や技術は身に着けておいた方が良いです。ちなみに、寿司職人になるための資格はとくにありません。寿司店に入って親方のもとで一から修行をするか、寿司職人の養成スクールに通って知識や技術を身につけるのが一般的です。
調理師免許も必須ではなく、就職時に持っていればより有利という程度です。資格や試験が必要ない反面、スキルや実力がものをいうのが職人の世界です。寿司店で修行をするにしても学校に通うにしても、一人前の寿司職人になるには現場での下積みは必須だといえるでしょう。
寿司屋に必要な開業資金
寿司屋を開業するために、資金はどの位集めたらいいのでしょうか?お店の規模によって違ので一概には言えませんが、最低でも1,000万円程度は用意していると安心です。
開業資金の中で一番多くかかるのが水道や電気を整備や、内装、外観の工事作業です。これだけで約半分はなくなると思ってよいでしょう。次いで厨房内の整備にも300万円程度はかかります。カウンターのお店にするのなら、お客さまから厨房内が丸見えになるので、きちんと整備しなければなりません。そして寿司屋を開店しても、初月から儲けがあるとは限らないものですので、少なくとも6ヵ月分程度の生活費など運転資金も用意しておきましょう。
開業資金を少し減らしたい方は、居抜き物件を購入するのもひとつの方法です。居抜き物件は最初から器材や客席などがそのまま残っているので、最小限の改装だけで十分になります。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書など)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
寿司屋に適した立地について
寿司屋は間口が小さくカウンターのみのような業態から、小上がりやテーブル席がいくつもある大きな回転寿司店まであります。
回転寿司であれば、駅前やロードサイドなど、目につきやすく入りやすい立地がおすすめ。主要な駅前であれば観光客も呼び込みやすく、安定した集客が期待できます。ただし、個人で回転寿司を開業するには、多額の費用や様々な経営ノウハウが必要となるため、あまり現実的ではないかもしれません。
回らない寿司屋を考えている場合は、商店街や住宅地への抜け道など、少し落ち着いた立地が良いでしょう。本格的な寿司職人が握る高級寿司に見合う環境が必要です。複数階建ての建物であれば、1階が理想と言えます。
寿司屋はまだまだ敷居が高いイメージも残っているため、「サラリーマン向け」「カップル向け」「家族連れ向け」など、ターゲットを明確に絞るのも良いでしょう。ターゲットに合わせた店舗選びやメニュー作り、店内の雰囲気作りを行いましょう。
フランチャイズでやる方法もある!?
寿司屋を開業するにあたり、フランチャイズでやる方法もあります。スシローやくら寿司のようなチェーン展開している会社とフランチャイズ契約を結ぶのかということです。個人でやる場合は、店の敷金礼金から厨房設備、皿一枚から全て自分で計画して購入します。しかし、フランチャイズの場合は必要設備や研修など親会社側でいろいろと準備してくれます。
このように考えるとフランチャイズの方が楽ですが、フランチャイズの場合は最初に100万円程の加盟金が必要です。また、研修費用や厨房設備なども用意はしてくれますが無料ではなく、200万円ほどを親会社に支払います。そして、売上の一部をロイヤリティという形で月間売上の5%程度を支払わなくてはいけません。
以上のことから、一概にフランチャイズがいいという訳ではありませんが、興味があれば、開業準備段階でフランチャイズ会社の話を聞いておくと良いでしょう。
まとめ
寿司は古くから日本で親しまれてきた伝統料理です。手頃な価格で楽しめる回転寿司のチェーン店が増えているものの、目の前の寿司職人が心を込めて握った寿司を食べたいという人もまだまだ多く、今後も需要がなくなることはありません。
厳しい世界ではありますが、海外では寿司ブームです。これから自分で寿司屋を開業したいと考えている方は日本国内にとどまらずに海外も視野に入れるとよいのではないでしょうか。