個人事業主の屋号は変更できるのか?

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個人事業を続けていると、取り扱っている商品やサービスなどの増加や変化などで屋号を変更したいと考える人もいるかと思います。では個人事業主の屋号は変更できるのでしょうか。またできるのであれば、どのような手続きをすれば良いのでしょうか。

今回は、個人事業主の屋号は変更について解説していきます。

個人事業主における屋号とは?

個人事業主やフリーランスが事業を運営するにあたって、営業・運営上で自分たちの存在を表す為に用います。法人でいう会社名といったほうが分かりやすいかもしれません。

申請方法は、開業するときに税務署に提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」の用紙に屋号の記入欄がありますので、そこに考えた屋号を記入するだけで登録・申請は完了です。屋号が必要ではない場合は、屋号なしで事業を始めることもできます。その場合は個人の名前を使って事業運営をすることになります。

ちなみに事業を複数行う場合は、屋号を事業分もっていても問題はありません。最終的にすべての事業所得をまとめて税金計算をするので、屋号がひとつでも複数でも、税金の納付金額などに違いはありません。

屋号は変更できる?その手続きとは?

結論から言うと、いつでも好きなタイミングで屋号を変更することができます。回数を制限するような法律や規則はなく、何回も変更することも可能ですが、おすすめはできません。金融機関からの信用も低くなる可能性もありますし、何より得意先や顧客からの評判を損なう可能性もあります。屋号を変更する場合は、慎重に行いましょう。

では変更する際のそれぞれのケース毎の手続きについて見ていきましょう。

税務署への手続き

屋号を変更する手続きの前に、税務署に屋号を届け出る流れを見る必要があります。屋号を税務署に届け出る流れは、以下のとおりです。

税務署には開業したときに提出する「開業届」に屋号を記載して提出します。税務署に届け出をした屋号はその後毎年、確定申告の時に申告書や決算書に屋号を記載して申告します。このように毎年税務署には屋号を記載した書類を提出しています。そこで屋号を変更したときの手続きですが、税務署へ何か手続きをしないといけないということはありません。屋号変更届などの提出は不要です。

ではどうするかというと、確定申告の際に申告書や決算書に変更後の屋号を記載して提出するだけです。毎年屋号を記載して確定申告しているので、税務署も申告書や決算書で変更を確認できます。どうしても変更した証拠を残したい、または申告書や決算書に記載するだけでは不安という場合は、開業届を出し直しても受理されます。開業届の「その他参考事項」などに屋号変更したことを記載して提出します。

商標登録している場合

一度登録した商標を変更することはできないので、新たに申請し直す必要があります。例えば、「◯◯事業所」から「◯◯事務所」に変更したい場合、通常、類似しているものは不認可とされますが、同一商標権者に限り認められることがあります。古い方の商標権は存続期間満了を待って消滅させる方法を取る方が多いようです。

法務局に商号登記している場合

屋号を法務局に商号登記している場合は、商号変更登記をする必要があります。基本の必要書類は、商号登記申請書と登記料3万円になります。それ以外にも、法務局への印鑑の届け出を変更前の屋号印にしている場合は変更後の屋号印の登録が必要です。そのため、再度印鑑届出書を提出します。それ以外にも状況によって必要書類が変わることがあるので、あらかじめ電話などで法務局に問い合わせしておきましょう。

金融機関への手続き

屋号を変更する際は、場合によっては銀行などの金融機関への手続きが必要です。まず、屋号付き口座を利用している場合は名義を変更したほうが良いでしょう。

特にネットショップなど不特定多数の顧客からの振込がある場合、店名と振込先の名前が違うと、顧客が不安になる可能性があります。金融機関ごとで必要書類などが異なるので、取引銀行に問い合わせしましょう。また金融機関から融資などを受けている場合は、念のため担当者に屋号を変更したことを伝えておきましょう。

得意先や取引先へのお知らせ

屋号を変更した場合は、得意先や取引先へ伝える必要があります。得意先や取引先に請求書や領収書などの宛先を変更してもらう必要があります。また、振込先などの名義もかわることがあるので、あらかじめ変更したことを文書などで伝えておきましょう。

飲食店などで営業許可を受けている場合

飲食店などで市区町村から営業許可を受けている場合も、屋号を変更した場合は届け出をする必要があります。許可を得た市区町村に営業許可申請事項変更届などを提出します。他に書類が必要であったり、提出期限が決められていたりするので、あらかじめ許可を得た市区町村に確認しましょう。

屋号だけでなく住所も変わる場合の手続きとは?

屋号だけでなく住所も変わる場合の手続きも、基本は屋号の変更と同じです。しかし、その中でも税務署への提出書類が異なります。

屋号だけの変更であれば届け出は必要ないのですが、住所が変わる場合は税務署に「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出する必要があります。この届け出に異動前と異動後の住所を記載し、屋号欄に変更後の屋号を記載します。また、「その他参考事項」に屋号の変更があった旨を記載します。

届出の退出期限は決まっておらず「納税地の異動があった後、遅滞なく提出」となっていますが、忘れないようにできるだけ早く提出しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、個人事業主の屋号は変更について解説しました。屋号は、いつでも好きなタイミングで変更することができます。ただ、頻繁に変更すると信用を失う可能性があるので注意が必要です。

屋号を決める際の注意点やおススメの屋号など詳しい詳細については以下の記事からご確認ください。
(参考記事)個人事業主における屋号は必要なのか?

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