日本政策金融公庫からの融資を受けることが決まった後に決めなくてはいけないのが返済期間等です。長期間の返済期間を設定すると後で支払いが厳しくなるかもしれない、無理に短期間での返済期間を設けても返済のための借入をすることにつながり意味がない、などどのように設定していいのか難しい所です。
そこで今回は、「日本政策金融公庫からの借り入れの返済期間はどのくらいがいいのか?」について説明していきます。
※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。
目次
そもそも日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。
全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。設備資金や運転資金として借り入れが可能で、原則として無担保・無保証人、融資限度額は3,000万円(運転資金は1,500万円まで)と設定されています。
日本政策金融公庫の「返済期間」は、5年以上?
日本政策金融公庫で、創業時に融資を受ける場合には、返済期間は、5年以上となります。
-
・運転資金は5年~7年
- ■運転資金:会社や店舗の地代や家賃、会社の宣伝広告費用、材料や製品の仕入代金、人件費など
- ■設備資金:会社や店舗の外装や内装にかかる費用、椅子やテーブル、机、キャビネットといった家具や什器類、営業車等の車の費用、家賃の保証金など
・設備資金は5年~10年
基本的には、上記で返済期間を選ぶ形になります。一時的な借り入れというよりは、ある程度期間を設けて返済する組みかたになります。
返済期間は、運転資金よりも設備資金の方が長く設定されています。例えば、新たに事業を始めようとする人や始めようとしている人向けの新規開業資金融資では、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が7年以内です。
そして、返済方法には、元金均等返済と元利均等返済の2種類あります。元金均等返済というのは、月々の返済金額のうち、元本の金額が一定の方法です。例えば、毎月5万円分の元本を返済していくとすると「5万円+借入金残高に利率をかけた利子」の金額が返済額となります。
返済期間は長い方がいいのか?短い方がいいのか?
上記で記述しましたが、日本政策金融公庫の返済期間は5年以上ということがわかりました。では、5年~10年位の間でどれくらいに設定すればいいのでしょうか?返済期間が短ければ月々の返済負担は重くなりますが、その期間を過ぎれば重い負担がなくなります。また返済期間が長ければ毎回の返済は低く抑えられますが、返済期間が長くなるので固定負担が重くのしかかってきます。
結論ですが、無理な返済期間を設定しないことです。それでは返済のために借金をする悪循環に陥りかねないからです。もし、支払いを長めに設定したいと考えるならば、設備資金を増やすことで最長10年の期間を設定しましょう。これですと、毎回の返済は低く抑えられます。長く拘束されることになりますし、より魅力的な融資も途中で出てくるかもしれません。具体的には、約30%以上の返済をした方には追加融資の話が来るようになります。金融機関からの追加融資を考えている方であれば、返済期間はある程度短くしておくべきです。
日本政策金融公庫の「返済シミュレーション」ツールで予想を立てよう!
日本政策金融公庫の新創業融資制度で融資を受ける場合、全100回で返済する、というように「回数」で指定する方法と、5年で返済する、というように「年月」で指定する方法があります。いずれの場合も、基本的に返済期間は要件期間内である限り自由に設定できます。回数と年月で特に違いはありませんが、回数の場合は計算しやすいというメリットがあります。
以下、日本政策金融公庫の公式ページ内にある返済シミュレーションです。こちらのツールを使えば、いくら借りたら毎月返済がいくらだと予想を立てることができます。
返済には「据置期間」というものがある!?
据置期間というのは、通常融資には元本と利息の両方を含んだ金額を毎月返済していくのですが、すぐに利益を確保するのが難しい創業期などに、利息のみを支払うという期間を設定することができ、この期間を「据置期間」といいます。
据置期間の間は利息のみの支払いで大丈夫なため、毎月の返済負担の軽減が期待できます。しかし、据置期間は本来の返済期間に含むため、据置期間が終わった後は、通常の返済以上の返済をしなくてはいけなくなりますので、注意が必要です。
まとめ
返済期間は、期間が短ければ返済額が少なめになり支払う利子も少なめになります。しかし、毎月きちんと返済できる額にするための返済期間を設定しないと、あとから苦労することになりますので、上記でお知らせした内容を加味したうえで決めていきましょう。返済は資金繰りにも大きく影響しますので、専門家(税理士など)に相談するのも良いでしょう。