日本の企業が海外に進出するメリット・デメリットとは?

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日本企業の海外進出は年々増加傾向にあります。以前は製造業が海外へ工場を移して人件費削減を狙うといった企業が多かったですが、近年では卸売業やサービス、IT・通信など幅広い業種の企業が海外進出を行っています。

そこで今回は、日本の企業が海外に進出するメリット・デメリットについて解説していきます。

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日本の企業が海外に進出するメリット

まずは、日本の企業が海外に進出するメリットについて説明します。

販路の開拓・拡大

海外進出の第一のメリットは、販路を開拓・拡大できることです。縮小する日本市場から海外へ目を向ければ、巨大な市場が広がっています。東南アジアやアフリカなどの新興国は目覚ましい経済発展を遂げており、今後も市場規模の拡大が見込めます。

また日本ではスタンダードの商品やサービスが海外市場にはない点も挙げられます。参入すれば大きなビジネスチャンスとなる可能性は十分にあります。

人件費・原材料費の削減

次に人件費・原材料費を削減できることもメリットの一つです。東南アジアの新興国に進出すれば、人件費を20%程度に抑えることができると言われています。原材料や資材、設備などの調達費用も、日本国内より大幅に安いです。同じものを製造するなら、人件費や生産コストが安いほうが多くの利益を得ることが出来ます。

節税効果

節税効果が高いこともメリットに挙げられます。日本の法人税率は、海外のタイや台湾、シンガポール、香港など、法人税率が日本よりも低い国が多いです。海外では、外資の優遇政策を設けている国も多く、例えば中国やタイ、マレーシア、インドネシアなどでは「経済特区」を設けており、そこに進出する外国企業の法人税が大幅に減らされます。企業にとって、法人税は大きな負担になりますので、海外進出をすると、法人税の大幅な節税効果も期待できます。

企業・ブランドイメージの向上

国内だけではなくグローバル事業展開をすることは、自社にとって大変価値のある経験やノウハウを得ることができます。海外ビジネスを軌道に乗ることができれば、自社商材のマーケットを獲得・拡大していくことができます。それが自社の強みとして他社との差別化にもなり、企業価値・ブランドイメージの向上に繋がることでしょう。

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日本の企業が海外に進出するデメリット

次に日本の企業が海外に進出するデメリットについて説明します。

人材管理

海外進出のデメリットとして、まず人材管理の難しさが挙げられます。諸外国には日本とは異なる文化や言語、慣習があります。例えば、遅刻がそれほど悪いことと思われていない国や、給与などの待遇面で有利な別の職場がある場合、積極的に転職するのは多くの国で一般的です。そのような国で現地人を雇用し、管理・育成することは、困難が伴う上にコストもかかります。

海外進出コスト

海外進出にあたって、設備・人材などの莫大なコストが発生します。また、事前の調査費用などの海外進出の意思決定に関するコストも必要になります。中小企業にとって、この進出コストが大きな壁になることが多いです。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、進出先の国や地域において政治・経済状況の変化によって、為替変動があった場合に資産価値が変動するリスクを意味します。新興国や発展途上国などは政治・経済情勢が不安定なところも多く、為替変動の可能性が高いので海外進出時には注意が必要です。場合によっては、債務不履行により国の経済が破綻してしまうこともあり得ます。 事前に為替レートと数量を予約する為替予約をすることで、為替変動リスクを回避することはできます。ただ業種によっては外資比率などが決められているケースもあるため、事前確認をしっかり行いましょう。

法規制による参入障壁

現地国の制度や法規制によっては海外進出のハードルが高くなってしまいます。近年では例えば、エネルギー・インフラ関連の業種は外資系の新規参入が難しくなっています。飲食や小売業などでは外資比率に規制があり、出店審査が通らないケースもあります。主に製造業以外の業種が何らかの規制によって、海外進出に対する参入障壁が高くなってしまうケースが目立ちます。 その他、商標権や特許権、食品関係であれば農薬規制など業種によって特有の規制もありますので、事前に確認すべきところです。

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海外進出を成功させるポイント

海外進出を成功させるポイントは以下になります。

コミュニケーションが問題ない人材を現地に送る

まず当たり前ですが、現地の文化、商習慣、常識を十分に把握・理解した上で経営や運営をしていくためには、コミュニケーションに長け課題を見逃さない優秀な人材を現地へ送ることが大切です。現地と関わらなければならないのは経営やパートナー企業だけでなく、現地採用した人材の教育にも必要となります。そして市場調査、現地の消費感覚、現地の課題点などインターネットや調査会社だけで把握することができない情報を把握するためにも重要です。そのためには日本人のリサーチや感覚だけでビジネスを進めることは困難となるため、現地の感覚や文化を知る現地スタッフのいることが成功への近道となります。

市場(マーケット)を知る

海外で販売先があるのか、競合製品はあるのかといった海外市場をよく知ることは、海外進出をするに当たって必要不可欠です。また日本との市場比較や類似マーケットと比較をすることで、市場規模感やポジショニングを把握することができ、海外の事業戦略や売上予測などに役立てることができ、海外進出成功の一助となるでしょう。

経済状況、物価を把握する

海外進出をするに当たって事前調査することは数多くありますが、その中でも進出国の経済状況を把握することは重要度がとても高いです。経済状況を把握する際には、物価も大きな指標となります。例えば飲食や小売業を出店するにあたり、現地の物価が売上に直結するといっても過言ではありませんので、経済状況や物価について事前に確認をしておきましょう。

顧客(ユーザー)を知る

海外と日本では文化やライフスタイルが異なるため、現地のニーズに合った製品やサービスを提供するよう検討しましょう。現地国のことをよく知りどのようなものを求めているかを把握することで、現地の人たちの心を掴み、海外事業が軌道に乗っていくことでしょう。

サポートしてくれる現地パートナー協力が必要

自社のみで海外展開していくのは非常に難しく稀なことです。そのため進出国や市場を良く知る現地パートナーの協力が必要です。現地パートナー選びは自社で探すか、ジェトロ(日本貿易振興機関)などの現地パートナー選定プログラムを利用してマッチングしていくことが一般的です。

■ジェトロ(日本貿易振興機関)
2003年10月1日に設立した日本の貿易の振興に関する事業、開発途上国・地域に関する研究を幅広く実施している機関です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、日本の企業が海外に進出するメリット・デメリットについて解説しました。

海外進出には、販路拡大や人件費抑制などのメリットがあるが、人材管理の難しさ、カントリーリスク・為替変動リスクなどのデメリットもあります。メリット・デメリットを考えて、慎重に検討することが重要になります。

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