発起設立と募集設立の違いや共通点について解説

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株式会社を立ち上げる場合、創業者だけで集まって行うのか、それとも広く出資を募りその上で立ち上げるのか、この違いによって必要な手続きが変わります。

「発起設立」と「募集設立」の2つに分かれますが、今回は、発起設立と募集設立の違いや共通点について解説していきます。

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株式会社設立は2つの方法に分けられる

株式会社というのは、設立にあたる資金を調達するために株式を発行します。出資する人はその株式を引き受け、資金を提供することになります。会社設立時に誰が株式を引き受けるのかにより「発起設立」「募集設立」の2つの方法に分けられていきます。

発起設立とは?

発起設立とは、発起人が自己資金で設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式のこと)の全部を引き受けて株式会社を設立する方法です。基本的な設立方法で、1から事業を始める起業家の多くは発起設立を採用しています。
 

<発起設立が向いているケース>
    ・早く設立したい
    ・難しい書類や手続きをしたくない
    ・意思決定をスムーズにしたい

    募集設立とは?

    募集設立とは、発起人が設立時募集株式の一部を引き受けるほか、設立発行株式を引き受ける人を募集して株式会社を設立する方法です。発起設立に比べて募集設立の方が、第三者が関係してくるため、難しい手続きが必要になります。
     

    <募集設立が向いているケース>
      ・大規模な会社を設立したい
      ・出資者が多い場合や地方にいるケース

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      発起設立と募集設立の違いとは?

      発起設立と募集設立は会社を設立するという目的は同じですが、その過程や株主に少し違いがあります。主な違いは以下になります。

        ・株主になる人が異なる
        ・手続きが違う
        ・登記手続きにおける書類が異なる
        ・役員の決定が異なる

        それぞれについて説明していきます。

        株主になる人が異なる

        発起設立は、株主になる人が発起人に限られます。会社を作ろうと思い立った人がそれぞれ資金を出資して、株式を取得し、株主となります。募集設立は発起人も株式を取得するまでは同じですが、株式全部を取得するわけではなく、外部の出資者を募り、出資者も株主となります。第三者も株主として今後の会社運営に口を出すことができます。

        手続きが違う

        設立時の手続きが変わってきます。発起設立では発起人の間で同意が得られれば、さまざまなことを決定していけます。会社設立における手続きが容易で、早く会社が立ち上がっていきます。一方募集設立は創立にあたり「創立総会」を実施し、厳しいルールの中で話し合いを持つことになります。創立総会は開催の2週間前までに、株式を引き受ける予定の出資者に創立総会を開催する目的を定め、話し合う内容を通知しなければなりません。複雑な手続きを経て、初めて株式会社設立が可能となります。

        登記手続きにおける書類が異なる

        会社を設立するためには、登記手続きが必要です。募集設立は発起人を除く外部の人からの出資も募るため、会社法に則り株式の割当てや創立総会に関する書類など発起設立より多くの書類を必要とします。

        役員の決定が異なる

        株式会社では役員を定める必要があります。発起設立の場合には、役員の決定も発起人間の話し合いで決定できます。一方、募集設立は創立総会での議決を経る必要があります。設立総会は、議決権を持つ株主が議決権の過半数以上出席する必要があります。さらに役員を決定する際には、3分の2以上の出席した株主の議決権が必要です。

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        発起設立と募集設立の共通点とは?

        2つの設立の方法は第三者が関係する以外は同じです。株式会社の設立にかかる手続きは似ています。

          ・発起人
          ・定款の作成
          ・発起人の出資の方法
          ・株式の引き受け
          ・登記申請と費用

          それぞれについて説明していきます。

          発起人

          株式会社設立にあたり、会社を設立しようとする人が必要となります。会社を設立しようと言い出す人のことを「発起人」といいます。発起人は1人でもよいですし、複数でも構いません。まずはどのような事業を営む会社なのかを決める「起業計画書」を発起人が作成します。

          定款の作成

          どのような人が役員となり、どのような事業目的を持つ会社なのか、明確に分かるルールブックを作成する必要があります。このルールブックを「定款」といいます。定款には以下の3点を記載していきます。

            ・絶対的記載事項:法律により必ず記載しなければならない事項です。事業の目的や商号、本社所在地、資本金額、発起人の住所や氏名を記載します。
            ・相対的記載事項:記載することで定款の効力が発生する事項です。法律上は記載しなくても問題はありませんが、記載しないとその事項自体の効力が認められない場合に記載します。
            ・任意的記載事項:上記2つの記載事項に該当しない事項です。株式総会を開催するための規定や、役員報酬についてなどが該当します。

            定款は作成後に公証役場で認証を受ける必要があります。また定款を変更する場合には、株主総会での議決を経る必要があります。

            発起人の出資の方法

            どちらの設立も発起人は株式を引き受けなくてはなりません。引受けの方法は同じで、指定口座に株式の数に応じた出資金を払い込みます。

            株式の引き受け

            設立にあたり必要となる発起人は、同時に設立時に株式会社に出資し株式を引き受ける必要があります。発起設立では株主と発起人が同一となります。募集設立の場合、発起人は株主でなければなりませんが、株主の全てが発起人というわけではありません。

            登記申請と費用

            発起設立も募集設立も設立の登記が通って初めて株式会社となります。株式会社の本店所在地管轄の法務局に登記申請と添付書類をもって申請します。登記にかかる税金(登記費用)は15万円です。ちなみに上記で登記費用が15万円と説明しましたが、正確には一律ではありません。設立の登記費用は資本金の額に7/1000を乗じた数となっており、その金額が15万円に満たない場合は15万円となります。つまり、逆算をすると、資本金が2,142万円を超えない限りは登記費用が15万円になります。

            基本的に「発起設立」を選択している起業家が多い

            基本的に発起設立を選択している起業家が多いです。まず、設立時から第三者を入れることはほとんどないことや、払込金の保管証明書の手続きが煩雑といった理由があります。そして、募集設立の最大のメリットである資金調達は、自分たちの株式会社に第三者を介入させるよりも銀行や金融公庫の起業者向け融資を申し込むほうが、運営が楽だからです。

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            まとめ

            いかがでしたでしょうか?今回は、発起設立と募集設立の違いや共通点について解説しました。

            一般的に発起設立は発起人だけで設立時の出資金をまかなえるような小規模な会社の設立に適しています。一方で、募集設立は発起人だけでは設立時の出資金をまかなえないような大規模な会社を設立するような場合に適しているといえます。

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