法人の場合は登記簿謄本が作成されていますが、預貯金口座の開設や銀行融資、補助金申請などに必要となるため、登記簿謄本の内容は常に最新状態にしておかなければなりません。本社の移転や役員の交代がある場合は登記簿謄本にも変更内容を反映させますが、手続きの際には現在の登記内容が必要になります。
設立時または前回変更時の写しがあればよいのですが、手元になければ最新の謄本を取り寄せることが必要です。従来の取り寄せ方は窓口交付または郵送請求でしたが、現在はオンライン取得も可能なので、多忙な会社経営者の方であっても手軽に取得できるようになっています。
そこで今回は、会社の登記簿謄本をオンライン取得する手順やメリットについて解説していきます。
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そもそも登記簿謄本(登記事項証明書)とは?
通常、登記簿謄本は、登記簿を法務局がコピーし認証したもののことを指します。登記簿には、不動産登記、商業登記、法人登記などの種類が含まれます。さらに不動産登記の場合には、表示に関する登記、権利に関する登記。商業登記の場合には、商号登記、未成年者登記など。法人登記の場合には、株式会社登記、合同会社登記などという具合にそれぞれの種類、目的により更に細かく分けられています。
登記簿謄本に記載されている情報としては、不動産登記の場合、土地の所在・地目・建物の所在・構造・床面積など。法人登記には法人の名称、本店などの所在地、代表者の氏名、法人の目的のような基本的な情報が記載されています。
また「現在事項証明書」や「履歴事項全部証明書」などの種類があり、証明したい事項によって適切な書類を選択し、閲覧・取得します。
- 現在事項証明書
- 履歴事項証明書
- 閉鎖事項証明書
- 代表者事項証明書
現在の会社の情報を証明する書類です。会社名や住所、会社の設立年月日などの基本的な情報と、現在の代表取締役、取締役、監査役などの役員と、その就任年月日が書かれています。
現在事項証明書の内容に加えて、3年前までの履歴が掲載されている証明書です。
閉鎖事項証明書には、吸収合併などの履歴も加わります。
会社の代表者の事項に特化した証明書です。
会社・法人の登記簿謄本をオンラインで取得する手順
オンラインで会社・法人の登記簿謄本を取得する場合、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用することになります。
初回利用時は申請者情報登録も必要なので、以下の手順どおりに進めてみてください。
- ①申請者情報登録
- ②会社情報の検索~登記簿謄本の申請
- ③電子納付による料金支払い
- ④登記簿謄本の到着
今回紹介するのは、登記・供託オンライン申請システムの「かんたん証明書請求」の利用手順です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①申請者情報登録
登記ねっとのトップページ左側にある「申請者情報登録」をクリックし、使用許諾書を読んでから画面下部の「同意する」をクリックしてください。新規入力画面が表示されたらIDやパスワード、氏名・住所などを入力して次へ進めます。郵送で受け取る場合は、会社または自宅のどちらか都合のよい方を入力してください。
申請者情報の登録後にメールが届くので、認証情報を登録すれば申請者情報の登録は完了です。ちなみにここまでの所要時間ですが、入力の早い人であれば5分程度で終了します。
②会社情報の検索~登記簿謄本の申請
申請者のIDとパスワードでオンライン登記情報検索サービスへログインし、商号・名称や法人番号などから会社を検索します。検索結果が表示されたら「追加」「確定」の順にボタンをクリックし、法人の名称や住所を確認してください。
間違いがなければ、登記簿謄本の種類(全部または一部事項など)や通数を選択して次へ進めます。次の画面では請求者の情報が表示されるので、間違いがなければ次へ進めてください。請求内容の確認画面が表示されたら、交付方法などを確認して申請を確定させましょう。
③電子納付による料金支払い
登記簿謄本の申請を確定させたら、次は電子納付の画面に移るので任意の金融機関を選んで料金支払いを確定させてください。手数料の納付は、インターネットバンキングやペイジー(Pay-easy)払い可能なATMを利用できますが、一部の金融機関には対応してないところもあります。
④登記簿謄本の到着
申請や納付の手続きが完了すると、郵送の場合は概ね2日~3日程度で登記簿謄本が到着します。なお、登記・供託オンライン申請システムの利用時間は平日の8:00~21:00となっています。24時間受付ではありませんが、法務局の閉庁後も利用できるので登記簿謄本の取得はかなり楽になるでしょう。
登記簿謄本をオンライン申請するメリット
登記簿謄本(登記事項証明書)をオンラインで申請するメリットは、以下が挙げられます。
・窓口に出向く必要がない
・手数料が安い
・申請受付時間が長い
・閲覧のみなら無料
窓口での申請より便利な面が多いため、積極的な活用がおすすめです。
窓口に出向く必要がない
オンライン申請はパソコンやスマホで行えるため、法務局の窓口に出向く必要がなく、より気軽に書類を取得できます。受け取り方法を窓口にする場合は出向く必要がありますが、郵送を選択するなら足を運ぶことなく必要書類を受け取れるのは大きなメリットでしょう。
手数料が安い
窓口での直接申請とオンライン申請では、オンライン申請のほうが手数料は安いです。窓口での直接申請だと1枚当たり600円の手数料がかかりますが、オンライン申請なら窓口交付で480円、郵送で500円です。より便利な郵送を選択したとしても、直接交付よりは100円費用を節約できます。
申請受付時間が長い
登記事項証明書の申請は受付時間が決まっており、窓口とオンラインではオンラインのほうが遅くまでやっています。窓口での受付は平日の8時30分から17時15分までですが、オンライン申請なら8時30分から21時まで受け付けています。オンライン申請なら仕事が終わってからでもゆっくり申請ができるため、忙しい人でも利用しやすいでしょう。
閲覧のみなら無料
登記事項証明書の発行は「登記情報提供サービス」というサイトでも可能であり、このサイトでなら閲覧のみ無料で行えます。窓口を利用する場合は登記情報を確認するために書類を一部発行しなければなりませんが、登記情報提供サービスの一時利用なら、その必要はありません。
無料で閲覧できる情報は法的な効力はないため、プリントアウトしても使用できませんので注意してください。あくまでも個人での閲覧に限られますが、無料で情報を確認する手段があるのは、オンラインならではのメリットといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?会社の登記簿謄本をオンライン取得する手順やメリットについて解説しました。
会社・法人の登記簿謄本は、各種契約など様々なシーンで必要となります。時間に余裕があれば法務局の窓口で申請できますが、会社経営者など多忙な方は時間の確保が難しいかもしれません。しかし法務局の「かんたん証明書請求」を利用できれば、繁忙時間帯を外し、夜間の落ち着いた時間に申請しておくこともできます。いざというときに慌てないよう、登記簿謄本の取得方法も選択肢を増やしておくとよいでしょう。