慶弔見舞金制度とは?導入メリットや注意点について解説

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慶弔見舞金制度を福利厚生として導入する企業は多いです。しかし、制度の名称を聞いたことはあるものの、その概要やその詳細がわからなければ、適切な手順を踏んだ導入は難しいでしょう。

そこで今回は、慶弔見舞金制度について解説していきます。

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慶弔見舞金とは?

慶弔見舞金とは、社内規程で定められた金額を従業者や、従業者の家族にお祝い事(慶事)や不幸(弔事)があった時、会社が給付するお金のことです。

法的な支払い義務はないのですが、従業員の愛社精神、業務へのモチベーション向上、優秀な人材の確保(退職防止)など、福利厚生の面を考慮して給付している会社が多いです。また、給付要件や金額は企業によって異なります。

慶弔見舞金の種類や内容

慶弔見舞金の種類には、以下のようなものがあります。また企業が独自に設定できるため金額にばらつきはあるものの、おおまかな相場についてもお知らせします。

結婚祝い金

    ・内容:従業員が結婚した際に支給される
    ・相場:10,000~30,000円

    出産祝い金

      ・内容:従業員またはその配偶者が出産したときに支給される
      ・相場:10,000~30,000円

      死亡弔慰金

        ・内容:従業員が死亡したときに遺族に支給される(※従業員の家族が死亡した場合に本人に支払われる場合もある)
        ・相場:10,000~100,000円

        傷病見舞金

          ・内容:従業員が傷病を理由に休業した場合に支給される
          ・相場:10,000~30,000円(※業務上での傷病は金額が高い傾向がある)

          災害見舞金

            ・内容:従業員が災害によって被害を受けたときに支給される
            ・相場:20,000~100,000円

            ユニークな慶弔見舞金制度もある

            近年、個性的な会社が増えていますが、慶弔見舞金も同様に、同業他社との差別化を図るなどの目的で、ユニークな慶弔見舞金制度を作っている会社もあります。以下はその一例です。

              ・ペット弔慰金(飼っていたペットが亡くなった時)
              ・失恋見舞金(失恋した時)
              ・創立記念祝い金(企業の創立記念日)

              例えば、ペットフードやペットの玩具などを扱う会社が慶弔見舞金としてペット弔慰金を給付することは、企業のブランディングにつながります。

              そして従業者に対してだけでなく、社外に慶弔見舞金を贈ることもあります。就任・昇進祝、創立記念祝、開店・開業祝、上場祝などに、取引先やビジネスパートナーに送るケースです。最近では、会社どうしの付き合いで贈り合う習慣もあるほどです。

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              慶弔見舞金制度の導入メリット

              慶弔見舞金制度を導入することは、企業にとって多くのメリットがあります。慶弔見舞金制度の導入メリットをご紹介します。

              一定の範囲内の慶弔見舞金は非課税になる

              慶弔見舞金は、一定の範囲内の金額であれば福利厚生費として認められます。法定外福利厚生にかかる福利厚生費は、基本的には非課税扱いです。支給額が社会通念上で妥当と認められる金額であれば、非課税になります。紹介した慶弔見舞金の相場などを参考に適切な金額を設定すれば、企業の負担を軽減(節税)しながら慶弔見舞金制度を導入できます。

              企業と従業員のエンゲージメントを高める

              結婚や出産、傷病などに対して企業が従業員に金銭的な補助をすることで、エンゲージメント(つながり・結びつき)を高めることができます。企業と従業員のエンゲージメントは定着率にも関わります。慶弔見舞金制度をはじめとした法定外福利厚生が手厚く整備されていると労働環境は良くなり、長く活躍してくれる人材が増えていきます。

              人材採用にプラスの効果をもたらす

              慶弔見舞金制度などの福利厚生の充実は、企業のイメージや採用活動にも深く影響します。法定外の福利厚生が充実しているほど、従業員を大切にしているという企業イメージがつきやすくなります。従業員を大切にしているという企業イメージは、企業の採用活動においてプラスの効果をもたらします。求職者が就職先を選ぶ際に重視する点は、給与や仕事内容だけではありません。福利厚生の充実(働きやすさや待遇、従業員を大切にしているか)も重視しています。そのようなことから、慶弔見舞金制度などの福利厚生の充実は企業の採用活動を有利にします。

              慶弔見舞金制度を導入する際の注意点

              慶弔見舞金制度を導入するにあたって、いくつかの注意点があります。支給するための準備や支給額設定などには注意が必要です。以下の注意点をあらかじめおさえておきましょう。

              支給するための原資を確保しておく

              慶弔見舞金は従業員の生活を支えるためのお金ですが、企業にとっては出費になります。そのため、慶弔見舞金制度を導入したにも関わらず、支払い原資がなければ経営が傾いてしまうかもしれません。支給のための資金を確保しておくことと、高額になりすぎないように注意が必要です。

              場合によっては課税対象となる

              慶弔見舞金に対して支給された従業員には税金がかからず、企業側は福利厚生費として損金で計上できるメリットがあります。つまり、慶弔見舞金制度の導入は節税対策になります。ただし、慶弔見舞金を福利厚生費として計上するには、以下の要件を満たさなければいけません。

                ・社内規程に基づいて慶弔見舞金が給付されている
                ・給付金額など、社員間で不当な差が生じていない
                ・給付金額が妥当である

                給付金額が社会通念上あまりにも高額になると給与と見なされ、従業員に課税されるため注意しましょう。

                慶弔見舞金支給規定を必ず作成しておく

                慶弔見舞金支給規定は作成を義務づけられているわけではありません。ただし、規定がないことでトラブルが起きたり、問題の解決が遅れたりする可能性があります。トラブルや問題解決の長期化は、従業員に不信感を与えます。既に制度があり規定がない企業も、慶弔見舞金支給規定を作っておくことをおすすめします。
                 

                ◇慶弔見舞金支給規定の記載事項
                  ・慶弔見舞金の種類
                  慶弔見舞金の種類・給付条件を記載します。
                  ・慶弔見舞金の支払い金額
                  各慶弔見舞金の給付金額を記載します。相場と照らし合わせながら、常識の範囲内で金額を設定しましょう。
                  ・給付対象
                  勤続年数や役職、雇用形態など、給付対象の条件を記載します。性別で給付条件や金額に差があると、男女雇用機会均等法に抵触する恐れがあります。
                  ・手続き方法、必要書類
                  申請先や必要な書類を記載します。

                  給付金額といった社内規程の要件を設定するうえで判断が難しい場合は、専門家(社会保険労務士や税理士など)への相談をおすすめします。

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                  慶弔見舞金を渡すときのマナー

                  慶弔見舞金を渡すときに守った方が良いマナーがあります。まず不幸があった場合は、死、無、苦を連想させる4、6、9の付く数字は避けるようにします。また新札を使うと、あらかじめ用意していたという意味になってしまうため、折り目の付いた旧札を使い、表向きに包みます。

                  のし袋の表書きは、「お祝い」や「御見舞」など、用途にあったものを使います。その下の右側に社名を記載し、左に社長の名前や所属などの名称を書きます。不幸の場合は、のしはなくても構いません。

                  まとめ

                  慶弔見舞金は、法律で会社が給付しなくてはならないと定められているものではありませんが、このような福利厚生制度があると、従業員の愛社精神やモチベーションアップ、退職防止が期待できます。また、ユニークな慶弔見舞金を設ければ、企業のブランディングや魅力アピールにもつながります。

                  金額設定は、常識の範囲内ならば経費として計上できますので、そのためにも社内規定と申請書フォーマットの作成を忘れないようにしましょう。

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