当記事では、点字通訳者での開業について解説していきますので、今後、点字通訳者での開業を検討している方は参考にしてください。
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そもそも点字通訳者とは?
目で読む人のために文字になっている文章を「墨字」といい、視覚障害者が指で触って読む文字を「点字」といいます。点字は、紙面に突起した六つの点を、一定の方式で組み合わせてあり、それを視覚障害者が指で触って読んでいくものです。この墨字を点字に変換して本などにする人が、点字通訳者です。
また視覚障害者が不自由なく外出し、社会活動に参加できるよう、地図や案内板の文字も点字に変換します。もちろん、視覚障害者に対する深い理解が必要になります。
ビジネスの特徴について
目で読む人のための文字である「墨字」を縦3点・横2点の点(凸面)を組み合わせて、「点字」に翻訳するのが主な業務です。
従来は針のような点筆と呼ばれる道具で、手作業で紙に点字を書いたり、点字タイプライターなどの専用の道具を使ったりするのが主流でしたが、近年は自動点訳やデータ化ができるようになっており、点訳ソフトを用いて作業を行うことが多いです。点訳されたものを、点字のルールに沿って通訳ができているか、分かりにくい部分がないかなど校正する作業も行います。なお、点字通訳者についてはボランティアが大半であり、点字通訳を専業としたビジネスを展開する人はごく少数とされます。
開業タイプ
点訳ボランティアからの独立
点字のルールや技術に関する知識は、大学や専門学校のほか、専門の養成機関で学ぶことができます。また、点訳作業については経験も必要であるため、点字図書館等でボランティアとして経験を積んだ上で独立するケースが想定されます。
福祉施設等からの独立
点字通訳者は障害者施設や学校、自治体等で点字のわかる職員として働いていることが一般的であり、これらの機関に就職したのちに独立する道もあります。点字通訳のスキルに加え、福祉施設等での障害者福祉全般に関する経験を活かすことができるため、ビジネスの業務範囲を広げることが可能です。
必要な手続き
開業にあたって特段必要な手続きはないです。ただ大前提として、点字のルールや技術への知識が求められます。資格は必須ではないですが、点字の基本的な仕組みを理解するための「点字技能検定」があります。点字技能検定は社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会、および社会福祉法人日本盲人会連合が主催しており、実際に点字資料作成に3年以上従事した人が取得可能な資格です。このほか、初心者向けの資格として「ビジネス点字検定」もあります。
また、本を点字にする際には、その内容をよく理解し、作者が何を読者に伝えたいのか、よく把握している必要があります。時には表現方法を少し変えて、より伝わりやすい文章とすることもあり、読解力や、語彙力・表現力などの文章力全般に関するスキルが求められます。
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
まとめ
点字通訳者は現状ボランティアが大半を占めており、点字通訳を専業とする人はごく少数とされます。それだけビジネスとして成立させるだけの収益を得ることが困難になります。また、近年は自動点訳やデータ化が進み、点訳ソフトを用いて作業を行うことが多くなっており、こうしたことも開業のハードルを高くする要因になります。
このため、点字通訳に関する技能を活かした開業には、オーダーメイドの点訳や、ビジネス用途の点訳、特殊な書籍の点訳など差別化を図ることが必須になってきます。また、継続的な受注を得るためには人的な繋がりを活かすほか、点訳ニーズとのマッチングが可能なプラットフォームを構築するなどの工夫も必要です。
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