結論からいうと、日本国籍でなく、生粋の外国籍の外国人経営者も日本政策金融公庫の融資を受けることができます。日本政策金融公庫の要件として、外国人だから受けられないといった制約は特に定められていません。
ただし、誰でも無条件に日本政策金融公庫の融資審査を受けることができるわけではありません。
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日本政策金融公庫を利用するメリット
日本政策金融公庫は、100%政府が出資する政府系金融機関です。融資先企業が全国に90万企業(中小企業の約25%以上)あり、民間の銀行から資金調達しにくい零細企業や、これから起業する方などへの融資を積極的に行っています。日本政策金融公庫を利用するメリットとしては、次のとおりです。
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・事業経営者であれば、誰でも融資が受けられる可能性がある
・新規事業でも利用できる
・無担保・無保証人でも融資が受けられる
・長期の借入れで、利息は低金利・固定金利
・日本政策金融公庫から融資を受けると、別の銀行からも借りやすくなる
外国籍で日本政策金融公庫から融資を受けられる要件
最低限、次の要件を満たす必要があります。
・在留資格(経営・管理)
・在留資格(就労ビザ)
基本的には、日本でビジネスをすることで在留資格を得られる「経営・管理」「就労ビザ」が必要となります。当然のことながら、経営に関与できる在留資格が必要ということになりますが、返済途中で帰国されてしまっては困るため、日本に帰化した方や永住者資格を取得した者でないと融資が下りにくいのが現実です。
しかし、「経営・管理」の在留資格は初年度は1年が一般的になりますし、在留期間を超えて事業の継続を見込まれる場合(在留資格の更新が見込まれる場合)は、日本政策金融公庫の通常の返済期間が5~7年の為、返済期間を長期として融資を受けることもできます。
具体的に、事業継続が見込まれる範囲とは、「事業歴」、「不動産の取得状況」、「居住歴」、「税務申告」などを総合的に判断されていきます。
要件などを満たした外国籍の融資審査は日本人と同じ条件
日本政策金融公庫の融資審査は、日本人だろうと外国籍だろうと条件は同じです。融資を成功させるポイントは、基本的に下記4つです。
①自己資金
・『自己資金の2~3倍が融資額の相場』
「自己資金」というのは、預金額、親族からのお祝い金、有価証券などがあり、法人の場合は設立3ヵ月以内であれば資本金額を見られます。自己資金として含まれないものとして、たんす預金など「入金履歴が追えないお金」や、友人知人または金融機関から「借りたお金」は一切認められません。「入金履歴が追えないお金」が認められない理由として、例えば融資先になる本人が反社会的勢力などに関わっており、そこから不正に出た違法なお金ということも考えられる為、たんす預金として通帳から引出しただけのお金や、給与の手渡しなど実際に正規なお金であっても、一切認められないのが現状です。「借りたお金」は返済することが前提となる為、こちらも自己資金とはみなされません。
各金融機関の違いで融資額の上限にはばらつきがありますが、一般的な融資額の相場として、自己資金の2~3倍となります。最低でも自己資金は100万円以上あった方が良いと言われており、理由として「これからスタートする事業をどのくらいの計画と熱意で準備をしてきたか」ということを測る為の基準として、自己資金を見られます。例えば、600万円の融資を受けたいと考えた場合、自己資金は最低200万円は用意した方が良いでしょう。
自己資金が1,000万あるからといって、2~3倍の2,000~3,000万円借れるということはなく、金融機関側で融資する金額の上限金額というものがある程度決まっており、起業初期であれば融資の上限金額は約1,000万円くらいまでが相場となっています。
②同業種の経歴
・『同業種で3年以上の経験があるか』
「同業の経歴」とは、これからあなたがおこなう事業に対して、これまで経験があるかということを見られます。「経験」とは同業で最低でも3年以上おこなってきたかどうかという点に着目して見られます。金融機関が経験を確認する理由として、今までの経験を生かしての事業であれば、これからおこなう事業の全体像も把握しており、売上見込みという部分でも安心材料の1つとなります。また、経験上の売上見込みだけではなく、既に顧客先から仕事が来ており、契約書や発注書なども貰っているので、○月○日までには入金がありますというような状況であれば、金融機関側も安心できる材料となります。
その他には、例えばコンサルティング会社で起業する場合、コンサルティング会社の経験がなくても、それに近しい業種・業態での実績も加味される場合があります。
③事業計画(創業計画)
・『金融機関側が本当に見たいのは売上見込みと利益。そしてその数字の根拠』
融資の申請をする際、各金融機関で事業計画書のテンプレートがありますが、そこに記載する内容は前述の「経歴」「自己資金」に加え「売上見込み」も記載します。ここで重要になってくることはこれから開始する事業がどのくらい利益が出て、融資の返済をしていくのかということを見られます。
利益や返済計画の詳細を示すためには、金融機関側のテンプレートだけでは不足しており、別紙に事業開始から最低12ヶ月分の損益計算書(P/L)とキャッシュフロー計算書(C/F)を用意したほうが良いでしょう。
④借入状況とCIC情報(指定信用情報機関)
・『借金もCICもキレイな状態であること』
まずCIC(株式会社シー・アイ・シー)とは、クレジット会社の共同出資により、昭和59年に設立された、主に割賦販売や消費者ローン等のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関です。 また、CICは、割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けた唯一の指定信用情報機関です。個人のCIC情報は本人であれば1回1,000円で「スマートフォン」「パソコン」「郵送」「窓口」のいずれかで開示ができ、主に個人のクレジットカード情報(遅延や未払いなど)が分かります。
ここで金融機関が着目する部分は融資をした際「遅延が起こらず、期限通りに返済できる方か」「他で借金などをしていないか」を確認し、借金がある場合は「融資金額を借金返済に回されてしまう可能性がある」ということで基本的には一発でNGであり、まずは借金がないことが融資の前提条件になります。
日本語能力は必要なのか?
日本政策金融公庫の担当者との面談(約1時間)がありますので、日本語ができた方が当然良いということになります。ただし、特段、日本人向けの事業ではない場合、日本語能力がなくても、評価が下がらない場合があります。
面接では、以下のようなことを質問されますので、きちんと回答できるようにしましょう。
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・会社のビジネスモデル、事業内容
・経営者の経歴、強み
・事業をしている場合、直近の経営状況
・経営方針、見通し
・資金の必要性
・融資の条件面
まとめ
いかがでしたでしょうか?融資を受けられる要件に合致しているのであれば、日本政策金融公庫の新創業融資制度をお勧めします。新創業融資制度は、これから事業を始める方や、開業後2期分の税務申告を終えていない方が利用できます。融資限度額は3,000万円(開業資金1,500万円)で、担保や保証人は原則不要になります。