会社設立後に税務署に届出を提出するものとは?

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会社設立したら後は事業に集中と行きたい所ですが、税務署に届出を出さなくてはいけないものがあります。顧問税理士をつけている場合は代理で行ってくれますが、顧問税理士をつけていないと自分で行わなくてはいけません。

今回は、登記後に税務署に届出が必要な書類についてお知らせします。

税務について税務署に届け出(必須)

・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払事務所の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例に関する承認申請書

それぞれの書類には提出期限が定められていますが、期限を過ぎてしまったといっても特に問題は起きません。ただし、「青色申告の承認申請書」だけは設立後3ヶ月以内に提出しないと青色申告のメリットを受ける事ができないので注意しましょう。

会社設立した後、税務署へ届出する必要がある書類は下記のとおりになります。

税務署を調べる(国税庁 HP)

法人設立届出書

法人設立届出書は、設立した会社の情報を税務署に知らせるための書類です。これを提出すると税務署から税金関係の案内が来るようになります。

法人設立届出書は、会社設立から2ヶ月以内に提出する必要があります。

期限を過ぎてしまっても特に問題はありませんが、届出しないと税務署から必要な案内が届かないので、提出するようにしましょう。

(参考記事)会社設立をした時に届け出が必要な「法人設立届出書」の提出方法について

青色申告の承認申請書

会社の税務申告には、青色申告と白色申告があります。青色申告というのは、税法上のメリットがとても大きいので必ず届出を提出するようにしましょう。

会社設立の日から3ヶ月以内に税務署に提出する必要があるので注意して下さい。

「青色申告の承認申請書」の提出を漏らすと設立1期目の赤字(欠損金)を繰り越せないことになります。

多くの会社では、設立1期目は大きな赤字が発生することが想定されますが、「青色申告の承認申請書」を提出していれば、その赤字を9年間繰り越して、翌期以降の黒字と相殺して、当面の納税負担を回避することができるのですが、「青色申告の承認申請書」を期限までに提出していないと赤字の繰越が1円もできないということになるので注意が必要です。

(参考記事)青色申告が取り消されてしまうケースと再申請の手続きについて解説

給与支払事務所の開設届出書

税務署に給与を支払う会社という旨を伝える為の書類です。

これを提出すると、税務署より源泉所得税の納付書が郵送されてきます。源泉所得税とはお給料から差し引く個人が負担すべき所得税の事です。提出期限は、会社設立から1ヶ月以内です。

(参考記事)『給与支払事務所等の開設届出書』必要になるケースや提出期限、書き方をご説明

源泉所得税の納期の特例に関する承認申請書

源泉所得税を毎月納付する作業は大変です。源泉所得税の納期の特例を受けておけば、給与を支払う人員が10名未満の会社に関しては、年2回にまとめて納付という形にする事ができます。提出期限は、特例を受けたい月の前月の末日までです。

税務について税務署に届け出(任意)

次の4種類については、必要があれば提出すればよい届出書となります。不要であれば、提出する必要はありません。

・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・消費税課税事業者選択届出書
・有価証券の一単位あたりの帳簿価額の算出方法の届出書

棚卸資産の評価方法の届出書

在庫をかかえるような商売を行う場合には、この「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出しておくことで節税になることがあります。提出期限は、最初の確定申告の提出期限までです。

減価償却資産の償却方法の届出書

法人の場合は、減価償却償却方法で計算すれば、費用を最大まで計上できるようになっています。提出期限は、最初の確定申告の提出期限までです。

消費税課税事業者選択届出書

資本金の額が1千万円未満であれば、最低でも設立年度の1年間は、免税事業者となり、消費税を支払う必要がありません。

しかし、そのような場合でも、『消費税課税事業者選択届出書』を提出することにより、設立1年目から課税事業者(消費税を支払う義務のある事業者)となることができます。

初年度から多額の設備投資をおこなった等で、消費税が還付になるようなケースの場合は、この届出書の提出を考えることになります。提出期限は、設立事業年度の末日です。

有価証券の一単位あたりの帳簿価額の算出方法の届出書

有価証券の一単位あたりの帳簿価額の算出方法の届出書は、取得した有価証券の一単位(=1株)あたりの帳簿価額を決める方法として、総平均法を選択するための書類です。期限までに提出しないと、移動平均法という計算により、1株あたりの金額を決めることになります。

ちなみに、この2つの方法は、下記違いがありますので、総平均法を利用したい方は、期限内に提出しましょう。

・総平均法:事業年度内に取得した有価証券の合計額を株数で割り、1株あたりの帳簿価額を決める方法
・移動平均法:有価証券が増えたり減ったりする度に1株あたりの金額が決める方法

提出期限は、有価証券を取得した日が属する事業年度の確定申告の提出期限までです。もしあなたが1期目の1ヶ月目に有価証券を取得したら、その期の確定申告の提出期限が、この書類の提出期限となります。

地方税の法人設立届出書の作成も忘れずに

今までご紹介してきた書類は、税金の支払い先が国(≒税務署)である「国税」に関するものでした。しかしその中でも法人設立届出書は、「地方税」である都道府県民税と市町村民税の設立届出書も作成しましょう。つまり法人設立届出書は、最大で国税と地方税あわせて3枚用意する必要があります。(東京都23区内に設立した場合は2枚)

(都道府県税事務所に提出する)法人設立届出書

この法人設立届出書は、あなたが設立した会社の概要を都道府県税事務所に届け出る書類です。会社を東京都23区内に設立した場合、道府県民税と市区町民税を合わせて都民税としているため、都税事務所に提出すれば「地方税」の手続きは完了です。

提出期限は、東京都23区内の方は会社設立から15日以内、その他は原則として、会社設立してから1ヶ月以内というように異なるので、注意しましょう。その他の方は、その地域によって提出期限が異なる場合もあるので、確認が必要です。

(市役所等に提出する)法人設立届出書

この法人設立届出書は、あなたが設立した会社の概要を市役所等に届け出る書類です。(東京都23区内に設立した場合、この書類の提出は不要。)

提出期限は、原則、会社設立から1ヶ月以内です。こちらも地域によって提出期限が異なる場合もあるので、確認をお願いします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?特に「青色申告の承認申請書」は提出しないと、赤字の繰越が1円もできないということになるので注意が必要です。必要であれば、税理士にまとめて依頼することをお勧めします。

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