コロナによる緊急事態宣言も終了し、現在は起業や独立をして新しい事業を立ち上げる方が増えていますが、事業の立ち上げで必要となるのが資金です。
起業するにあたって資金に余裕がある人でも起業後1~3年後の資金調達は実績で判断されるため難しくなります。そのため、実績の審査がない起業時に融資を受ける選択肢も資金調達の有効な方法になります。
そこで今回は、創業融資の種類と借入することによるメリット・デメリットについて解説していきます。
目次
そもそも創業融資とは?
創業融資とは、ビジネスを始める際に利用できる融資のことです。創業直後は収入が十分に得られないことも多く、事業に必要な備品代やオフィス・店舗の賃料などの支払にあたって資金を外部から調達したい事業者も少なくないでしょう。
しかし創業当初は事業の実績がないため、民間金融機関の通常の融資は受けにくいことが一般的です。創業融資は、創業して間もない事業者を対象とした融資なので、事業実績がなくても利用しやすいという特徴があります。
一般的に創業融資というと、後述する日本政策金融公庫の融資制度や地方自治体の制度融資を指すことが多いです。
創業融資の種類
起業時に利用できる融資には、銀行などの民間の金融機関からの融資と日本政策金融公庫などの公的機関からの融資の二種類があります。
しかし、実績も信用もない起業したばかりの会社に融資を実行する民間の金融機関はなかなかありません。創業時の資金調達は、融資のハードルが高い民間の金融機関よりも公的機関からの融資を検討した方がいいでしょう。
日本政策金融公庫の融資制度の特徴
代表的な企業融資には「日本政策金融公庫の融資制度」があります。日本政策金融公庫は国策として企業の成長を後押しする役割があるため、起業時の融資に積極的です。また、日本政策金融公庫には、無担保無保証で最大3,000万円までの融資を行う「新創業融資制度」があり、起業する方への大きな助けになります。
ただし、次にご紹介する「地方自治体の制度融資」よりも金利が高くなる場合が多いため、よく検討する必要があります。
(参考記事)起業家必読!日本政策金融公庫について解説
地方自治体の制度融資の特徴
地方自治体の制度融資とは、県や市などの各地方自治体が中心となり金融機関と信用保証協会が連携して行う融資制度です。信用保証協会からの保証があるため、金融機関が融資を実行しやすく、審査が通りやすいというメリットがあります。また、元金の返済がなく利子だけの返済を行う措置期間が1年ほど設定されていることが多いため、起業したての経営者にとって有利な制度です。
ただし、連帯保証人が必要なケースがあったり、融資が実行されるまでに時間がかかったりするデメリットもあります。
(参考記事)信用保証協会付融資とは?仕組みやメリット・デメリットについて解説
創業融資を受けることのメリット・デメリット
創業融資を受けることには、いくつかのメリットとデメリットがあります。以下に具体的な点を挙げて説明します。
創業融資を受けることのメリット
経営実績がなくても融資が受けられる
一番のメリットは、経営実績がなくても融資が受けられるということです。普通の融資であれば、前期の売り上げや取引先、支払状況など経営の実績で審査を行うため、まだ会社としての運営実態がない状態では融資が受けられません。
そのため、どうしても創業資金が必要となった場合は、金利が高い借入をすることになります。しかし、創業融資であれば、実績に関係なく融資が受けられるので、金利が高い金融機関で借入をする必要もありません。
担保や保証人が不要
普通であれば、創業資金など単位の大きいお金を借りるには担保や保証人が必要です。しかし、創業融資では原則どちらも不要(※)なので、申し込みのハードルを下げることができます。
※信用保証協会では法人設立のみ代表者が保証人となります。
事業の加速
創業時に融資を受けることによって、事業計画の実行を早めることができます。競合他社よりも早く市場に参入し、競争力を高めることができるでしょう。
リスク分散
創業者や共同経営者の個人資産をリスクにさらさず、外部からの資金を活用することで、個人のリスクを分散することができます。
ビジネスネットワークの拡大
融資先の金融機関との関係を築くことで、ビジネスネットワークが拡大する可能性があります。これは将来のビジネス展望を広げるのに役立ちます。
創業融資を受けることのデメリット
返済義務と金利
融資を受けることで、返済義務が生じます。収益が予測よりも伸び悩んだり、事業が失敗した場合には、返済が困難になる可能性があります。また、融資には利息が発生するため、負担が増えることもあります。
リスク評価の厳しさ
創業企業に対しては、成功する確率や信用性の観点からリスク評価が厳しくなる場合があります。特に、新規市場や新技術への参入は、リスクを理由に融資が難しいこともあります。
まとめ
創業融資は事業実績のない創業期の資金調達手段として心強い味方です。日本政策金融公庫の融資制度が代表的ですが、地方自治体の制度融資や民間金融機関の保証付融資でも創業融資を受けられます。それぞれの特徴を理解して、状況に合った選択肢を検討しましょう。