起業の成功率の実態は?起業を成功するために必要な準備方法を解説

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昨今、起業に興味を持つ人は少なくありません。一方、起業を決断する人は少ないでしょう。起業しない理由として、起業の成功率の実態が掴めないことがあげられます。今回は、起業の成功率の実態と、起業で成功するために必要な準備を解説します。

起業の成功率は?

起業の成功の基準は人によって違います。ここでは、企業生存率を成功率の基準として見てみましょう。
企業生存率は、会社が経営を継続できる割合です。2017年の中小企業白書の中の「「起業後の企業生存率」によると、起業後の企業生存率は、1年で95.3%、2年で91.5%、3年で88.1%、4年で84.8%、5年で81.7%です(中小企業白書2017)。
また、一概には言えませんが欧米諸国と比較しても、日本は起業後の成功率(事業継続率)は高いと言えます。
起業して会社を維持していくことは簡単なことではありません。業績の安定を目指し戦略を立てたとしても、新型コロナウイルスの感染拡大のように、想定外の事象によって業績が悪化してしまう可能性もあります。

(参考)中小企業白書2017

2022年~2023年はコロナ前の水準に戻りつつある

中小企業白書によると、2022年は、一部業種を除き売上高は回復傾向にあります。倒産件数においても大幅に減少しているデータもあります。
また、完全失業率や有効求人倍率の数値からも、日本全体の雇用情勢も上昇していることから市場自体はコロナ以前の水準に戻りつつあるといえるでしょう。

しかし、市場全体の雇用情勢が上昇したとはいえ、専門・技術者に関する人材不足の課題は残っており、起業後の採用活動に工夫や対策が必要と言えます。

起業を考えている方は、中小企業白書やその他の資料などから、最新の市場動向を把握する必要があります。それらのデータを知り起業戦略へ生かしましょう。

(参考)中小企業白書2023年度

起業後、上手くいかない会社の特徴

起業後の企業生存率を見て「起業はそれほど難しくない」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、起業後10年以内に失敗する確率は約30%程度と、起業後上手くいかず廃業や倒産をする企業があるのが実態です。
事業が上手くいかない会社にはどのような原因があるのでしょうか。ここからは、起業が上手くいかない会社の特徴を紹介します。

事業計画が不十分

起業後に上手くいかない会社の特徴として、「事業計画が不十分」が挙げられます。

融資や補助金を受けるには、事業計画書が大切です。事業計画書は今後の企業の方向性を明確にするだけでなく、資金調達で自社の説明する際に重要な資料です。計画が不十分であると、融資や助成金が受けられません。起業の入口で躓く恐れがあります。

資金調達計画が不十分

資金不足の問題は、起業の失敗の要因に挙げられます。

起業間もない企業は、当初の事業計画通りに収益が伸びない可能性があります。しかし、資金調達が必要な状況になっても、他からの資金調達が上手くいかないかもしれません。

資金調達計画が不十分であると、帳簿上の利益は出ていても、支払いに必要な資金が不足して倒産する、黒字倒産も起こり得ます。起業の際は、当面の資金不足を想定した余剰資金の計画が重要です。

経営知識や責任感が不十分

「経営知識や経営者としての責任感が不十分」も失敗の要因に挙げられます。

アイデアや熱意があっても、経営知識がなければ上手くいきません。事業計画や資金調達も含めた知識が不足していると、起業の成功率はさがります。

起業自体が目的となり、その後成し遂げたいことがなければ、資金繰りや経営が上手くいかない恐れがあります。

集客や営業力が不十分

事業計画が優れたものであったとしても、世間に認知されなければ意味がありません。

アイデアが良くても、発信が不足していると、経営利益は伸び悩むでしょう。経営において、営業や集客はとても大切な要素です。この点を疎かにすると、起業は上手くいかないでしょう。

成功してる経営者の真似事だけをする

成功した経営者の真似事も、上手くいかない起業の特徴です。成功した経営者からの学びや、ノウハウの真似自体は悪いことではありません。

しかし、成功者のやり方を模倣するだけでは、うまく行きません。成功者の行為のバックグラウンドにある意図を考慮せず、表面的な真似のみすると、起業の成功率は下がるでしょう。
成功した起業家の価値観や意図を理解した上で、自分の価値観やアイデアに合致するものを取り入れましょう。

うまい話に騙されてしまう

起業直後にはさまざまな人が集まってきます。

中には起業したての経営者を狙う、悪徳な人間も存在します。「集客を請け負う」「人集めをするのでセミナーを開催しよう」といった内容のものが多く見られるでしょう。うまい話は大抵が高額であり、支払った対価に見合うサービスは提供されません。

起業直後には経営者に焦りがあり、つい悪徳ビジネスに騙されてしまうケースもあります。高額な費用を使ってしまうと、起業が上手くいかなくなるでしょう。

起業して成功するのに大切なのは準備力

企業の成功に重要なのは、準備力です。起業に向けて事前準備をどれだけしてきたかが重要です。ここからは、起業の成功率を上げるために必要な準備を解説します。

事業計画の設計

起業の準備は、最初に事業計画の設計をしましょう。

事業計画を綿密に設計すれば、頭の中にある計画を、言語化して整理できます。融資を受ける際に現実的な説明が可能になるでしょう。資金調達の成功率向上にもつながります。
現実的な事業計画の設計には、収益の見込みとその根拠の説明が必要です。

また、競合の少ない市場で事業を展開する方が業績が高くなります。そのため市場分析も欠かせません。

資金調達の計画

起業は、資金調達の計画が欠かせません。

資金調達の計画には、必要資金と自分がいくら用意できるかが重要です。後者に関してはさまざまな方法があります。どの調達方法が自分に合っているかを見極めて計画を立てましょう。
「借入」は、銀行の個人ローンだけでなく、融通が利きやすい身近な人からの借入も考えられます。「融資」は、大手銀行相手は難しいですが、地元の銀行なら対応してもらえる可能性があります。前もって相談してみましょう。
その他、補助金や助成金の活用や、他の企業からの出資も調達手段として挙げられます。

販路開拓の設計

販路開拓の設計も重要な準備です。

販路開拓は資金調達と並び、起業家が最も苦労します。新規事業の立ち上げでは、販売先がなければ事業を進めることはできません。販売先の開拓は必須です。自分が持っている人脈を有効活用しましょう。
友人や知人、取引先などに顧客の紹介を依頼したり、異業種交流会に顔を出したり、別の市場での知り合いを増やしたりしてください。

人材の採用計画

起業後の失敗要因に、人材の問題があげられます。

事業拡大には人材の採用が不可欠です。人材不足に直面した際、焦って採用すると、後々会社のお荷物になる恐れがあります。
事業を拡大するときは、人材の採用要件を決めておきましょう。会社にとって必要な人材は変化します。会社にはどのような人材が存在するのかを定期的に確認しましょう。
人材不足を補う目的で、必要な設備やシステム導入への投資も有効です。必要に応じてこれらを計画に組み込みましょう。

起業で成功をした人の話を聞く、セミナーや勉強会に行く

起業で成功した人のストーリーやエピソードなどを聞き、自分自身との照らし合わせも必要です。自分が今どのフェーズにいるのかを把握し、その段階では何をする必要があるのかを認識しましょう。
セミナーや勉強会に出席して、経営に関する必要知識の習得も欠かせません。セミナーや勉強会では、オフィス、マーケティング、契約周りのことなどを幅広く学べます。自分の事業に関係するセミナーや勉強会に参加して、恒常的に学ぶ姿勢を持ちましょう。

起業の前にしっかりと準備しよう

起業後の成功率を上げるためには、事前準備が大切です。分からないことや不安なことはそのままにせず、起業の実績がある人に相談しましょう。起業セミナーに参加して、必要な事柄を学んでください。
起業の成功率は、通説で言われているほど低くはありません。ぜひ今回ご紹介した準備方法を参考に、起業を検討してみてください。

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