炭素市場(Carbon Market)とは?
炭素市場(Carbon Market)は、持続可能な低炭素社会実現のため、国や企業、消費者にCO2排出の効率的な削減を促し、温室効果ガスの排出削減、及び除去する活動に、金銭的インセンティブを生み出す計画です。温室効果ガスの排出削減、気候変動への対処に向けた有力な手段として期待されています。
炭素市場の構成要素
炭素市場とカーボンプライシングの仕組みは、排出権取引とカーボンクレジット市場の2つの主要な要素で構成されています。
排出権取引
各国家や企業ごとに温室効果ガスの排出枠を定め、排出枠が余った国や企業と、超過した国や企業間で取引する制度です。国や企業が温室効果ガスの排出枠を超過しないよう努力することにより、温室効果ガスの排出量の削減を目指しています。また、この計画により、金銭的インセンティブが生み出され、経済的な効果においても期待できます。
カーボンクレジット市場
国際的な取引として、国際排出量取引(IET)が行われており、排出削減目標を達成するために、国同士が排出割当量またはクレジットの取得・移転を行っております。日本国内においては2023年10月11日より、東京証券取引所にてカーボンクレジット市場が開設され、取引所にてJ-クレジットの売買が可能になりました。本制度により中小企業・自治体等の省エネ・低炭素投資等を促進、及びクレジットの活用による国内資金の循環を促すことで環境と経済の両立を目指しています。
その他の炭素市場に関する取り組み
その他にも、2050年カーボンニュートラル目標実現のため、日本が提案した二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism、JCM)も炭素市場の取り組みとして含まれます。二国間クレジットは、優れた低炭素技術や製品・サービスなどを途上国に提供することで、途上国の温室効果ガスの排出量削減に貢献し、その成果を二国間で分けあう仕組みです。
炭素市場とカーボンプライシングの効果と課題
炭素市場とカーボンプライシングの仕組みを利用する利点として、排出削減の促進、経済的なインセンティブの提供、持続可能な開発の支援、国際協力の促進が含まれます。世界中で気候変動に対する効果的な対策を推進する役割を果たしている一方で、排出枠の設定、価格の不安定性、規制の複雑性などの課題も存在します。例として、日本国内でCO2に対する価格付けを行い排出量削減の誘導を行った結果、CO2の価格が低い、又は規制の弱い国に企業が移転してしまい、結果として、世界全体のCO2排出量が増大してしまう(カーボンリーケージ)とともに、国内産業に大きな影響を与えることになりました。このため、CO2価格差等を国境で調整する仕組みとして「炭素国境調整措置」について、EUでは具体的な制度の検討が行われています。
引用
UNDP 「The Climate Dictionary」
https://www.undp.org/publications/climate-dictionary
経済産業省 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2022/html/1-2-1.html
環境省
https://www.env.go.jp/annai/kaiken/files/r04/cop26%206jou.pdf
https://www.env.go.jp/council/06earth/shiryou4.pdf
日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/equities/carbon-credit/index.html
炭素市場エクスプレス
https://lnkd.in/e-7E75si
関連サイト
ベクターエネルギー
https://venergy.vector.co.jp/
ベクターエコサービス
https://vecos.vector.co.jp