実際に四ツ谷の大衆居酒屋の経営者であり、今まで数百人の飲食開業の相談に乗ってきた、起業のミカタ副編集長が、飲食店開業に際してよくある質問についてお答えします。
目次
- Q 飲食経験がないのですが、飲食店を開業する事ができますか?
- Q 飲食店の開業を考えています。何から始めたらよいでしょうか?
- Q 飲食店を開業する場合、個人事業主か法人かどちらの方がよいのでしょうか?
- Q 飲食店の開業までに、どれくらいの期間がかかりますか?
- Q 飲食店を開業するには、資金はいくらかかりますか?
- Q 飲食店のいい物件の見つける方法は?
- Q 少しでも、初期投資の金額を安くあげるのにはどうしたらいいですか?
- Q 物件を借りる時に保証人は必要なのか?
- Q 居抜物件を借りた場合は開業費用が安く済むのか?
- Q 飲食店を開くために、必要な資格はありますか?
- Q 飲食店開業は調理技術がなくてもできますか?
- Q 飲食店にその他必要な届け出や手続きはありますか?
- Q 飲食店を開業したいのですが資金が不足している場合、どこで借入(資金調達)が出来ますか?
- Q 飲食店を開業するときにどのくらいの自己資金があったほうがいいのか?
- 飲食店開業用語
- まとめ
Q 飲食経験がないのですが、飲食店を開業する事ができますか?
開業は出来ます。必要な届出と講習、お金さえ出せば、店を持つことは可能ですが、飲食店は多額の費用が発生しリスクが高いので、成功パターンが見えていないのであれば、やめるべきだと思います。
Q 飲食店の開業を考えています。何から始めたらよいでしょうか?
まずコンセプトを検討しましょう。飲食店におけるコンセプトとは、基本的な概念になり、お店の「内容」や「骨子」のことです。言い換えれば「どんな飲食店をやりたいのか」「どんな内容にするか」という事です。「お店の特徴はなんなのか」「どんなお客様をターゲットにしていくのか」「客単価はいくらにするのか」など検討していきましょう。
(参考記事)【飲食店開業】コンセプト作りの考え方について
Q 飲食店を開業する場合、個人事業主か法人かどちらの方がよいのでしょうか?
飲食店を開業する人の約8割は個人事業主で開業しています。
但し、売上げの見込みと、今後の展開(多店舗展開など)によって法人にした方が良い場合があります。例えば、売り上げについては年間600万(月50万)の利益が出るのであれば、個人事業主税よりも法人税の方が安くなり、法人の方が経費などの節税対策ができます。
Q 飲食店の開業までに、どれくらいの期間がかかりますか?
おおよそ3ヵ月から6ヵ月程度必要となります。(物件取得にかかる時間により増減があります)大きな投資が伴う事業になりますので、余裕をもってじっくり取り組んでいきましょう。
(参考記事)【飲食店開業】飲食店開業までのスケジュール
Q 飲食店を開業するには、資金はいくらかかりますか?
居抜かスケルトンか、出店場所や大きさ、業態などによって大きく変わってきますが、700万~1,500万の資金が必要と言われています。
開業前に「店舗を取得するための準備資金」「店舗を作るため造作費」「開業までの準備費」開業した後の「開業後運用費」が大きな費用が掛かる分類になります。立地やデザインにもよりますがスケルトンから造作を始める場合には、店舗面積(坪)あたり、50~80万円かかるのが一般的です。
Q 飲食店のいい物件の見つける方法は?
目当ての地域にある不動産屋に行く事はもちろんなのですが、お奨めは、そのエリアを徘徊して捜すと意外にも見つかる事があります。その他、飲食店舗専門の不動産会社や居抜専用の専門業者、ネットで物件を探す方法もあります。
(参考記事)【飲食店開業】物件を探す方法について
Q 少しでも、初期投資の金額を安くあげるのにはどうしたらいいですか?
内装業者やデザイン会社さんに、全て(厨房機器、看板、家具など)を任せると楽ですが、それではやはりコストがかかってしまいますので、出来る範囲はDIYで作れば費用は押さえられます。その他、敷金礼金の交渉の際に家主と交渉する方法がありますので、コストを抑えるために交渉してみましょう。
(参考記事)【飲食店開業】開業準備資金の節約ポイントとは?
Q 物件を借りる時に保証人は必要なのか?
基本的に保証人を付けずに借りられる物件はほぼありません。保証代行会社もありますが、基本的に保証人が必要と考えておきましょう。
連帯保証人とは、債務者に代わって義務を果たす人のことで、お店を借りている人は家主に賃料を支払う義務があります。家賃の支払いが滞った場合、連帯保証人が代わりに家賃を支払う義務を負います。連帯保証人は請求を拒否できません。物件の借り手とほぼ同等の責任を負うものと認識してください。
快く連帯保証人を引き受けてくれた方がいたとしても、「審査が通るか」は別問題です。支払いが大きくなるほど審査は厳しくなる傾向があり、「その方は保証人として認められません」となることもあります。ちなみに保証人としての審査が通らないケースとして下記2点が挙げられます。
・安定した収入がない方(安定した支払能力がないと、保証人としては不適切です)
・高額な賃料に収入が見合わない方の場合(その返済金額に見合う収入がある方を保証人として求められます)
(参考記事)【飲食店開業】見落としがち!?賃貸店舗を借りる時の「保証人」について
Q 居抜物件を借りた場合は開業費用が安く済むのか?
居抜物件とは、前の借り手が使っていた内装や設備をそのまま引き継いで使用出来る物件の事です。
ゼロベースのスケルトン物件より、そのままの設備を引き継げる居抜物件の方が費用が安く済みますが、居抜物件の事前チェックと改装ポイントを間違えれば、大きな出費になってしまいます。
契約後に大きな出費にならないように「引き継いだ機器がリースでないか」「厨房機器に欠陥はないか」「壁紙、天井等に水漏れあとはないか」「排水に詰まりはないか」「設備容量は不足していないか」など、契約前にチェックが必要になります。
Q 飲食店を開くために、必要な資格はありますか?
飲食店全般は開業するために所轄の保健所に届け出をして「営業許可書」を貰う必要があります。営業許可書取得条件の1つとして『1店舗に1人の食品衛生管理者(有資格者)という資格が必要』という項目があります。栄養士、調理師、製菓衛生師の資格者は、それら資格が食品衛生管理者の資格になります。これらの資格を持っていない場合は、『食品衛生責任者養成講習会』を受講しなければなりません。この講習会は食品衛生協会または保健所が各都道府県で定期的に開催しています。お近くのエリア×講習会名で検索して調べて受講して下さい。
調理師免許やその他ソムリエ・バリスタなどの資格は必要ないのですが、持っているとお店の箔が上がる事があります。
(参考記事)【飲食店開業】食品を扱う事業者向け 保健所の営業許可申請について
Q 飲食店開業は調理技術がなくてもできますか?
調理未経験でも飲食店の開業は、業種によって可能です。例えば、カフェ、バー、専門店(カレーショップ、パスタショップ、うどん店など)は可能といえます。特にカフェはごく短期間で技術習得が可能です。但し、開業前にポイントを押さえた特訓や、自宅のキッチンで徹底したトレーニングをする事が前提です。またカフェの場合、技術をカバーしてくれる機器が多いことも可能にしてくれる要因です。
それに比べて調理未経験では不可能な業種は、日本料理店、フレンチレストラン、イタリアンレストランなどです。これらの業種の場合は、技術習得に少なくとも5年、長くなれば10年はかかり、長期間の習得時間が必要になります。
Q 飲食店にその他必要な届け出や手続きはありますか?
保健所の「営業許可書」の他に業種業態により消防署や警察署への届け出が必要になります。保健所、消防署、警察署に届出が必要な詳細については下記よりご確認ください。
(参考記事)飲食店を開業するのに必要になる資格・許可・届出について
Q 飲食店を開業したいのですが資金が不足している場合、どこで借入(資金調達)が出来ますか?
飲食店を開業する際に融資してくれる代表的な金融機関は、大きく分けて2つあります。
・日本政策金融公庫(国が運営している公的金融機関)
・銀行、信用金庫など民間金融機関
どちらも低金利で借入できますが、飲食店専用の融資制度や無担保無保証で借入することが出来る日本政策金融公庫で借入することをお勧めします。
(参考記事)日本政策金融公庫について
(参考記事)信用保証付き融資について
Q 飲食店を開業するときにどのくらいの自己資金があったほうがいいのか?
多ければ多いほどいいですが、出来れば300万程度の自己資金があった方がいいです。
理由として、基本的に飲食店を開業する際には物件取得、内外装工事など多額の費用が発生しますので、融資による資金調達が必要になってきます。飲食店融資の代表的な金融機関である日本政策金融公庫の場合、自己資金の有無で借入が可能か否か大きく左右します。自己資金がほぼゼロの方は、融資を受けられる可能性が非常に低いです。 おおよそ自己資金の3倍程度が借り入れできる金額になってきますので、業態や借りる箱によって大きく変わってきますが、700万~1,500万の資金が必要と言われています。その場合、300万の自己資金がある場合、自己資金以外(事業計画や経歴など)の要因もありますが、900万の借り入れができる計算になりますので、飲食店を開業する資金として成り立つ算段になります。
そして、自己資金が少ないと、融資を受けにくいことをわかっている方が、見せ金を使って融資を受けようと考えます。見せ金とは、一旦親族や知人からお金を借りて金融機関の担当者に自己資金があるように見せて、実際に融資がおりたら、お金を貸してくれた親族や知人にそっくりそのままお金を返そうという行為の事ですが、当然、見せ金は金融機関から融資を受ける際には通用しません。
融資を受ける際の自己資金と認められるものは下記になりますので、ご確認ください。
・自分で貯めた資金
・親族からの支援金(返済義務無)
・退職金
・融資の申し込み前に行った支出(裏付け資料が必要になります)
※株・有価証券・不動産など
(参考記事)融資の「自己資金」と認められる定義について
飲食店開業用語
飲食店を開業するにあたってよく聞くことが多い用語を紹介します。飲食用語を把握してから様々な情報を確認するとより開業の準備が進めやすくなりますので、是非参考にしてください。
(参考記事)【飲食店開業予定者必見!】飲食店開業用語を紹介
まとめ
いかがでしたでしょうか?飲食店の業態や出店するエリア、箱の大きさなどによって変わってきますが、前述でお伝えした詳細については、下記に纏めておりますのでご確認ください。
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