法人設立の際に定款で決める10個の事項について解説

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会社を設立する際に提出しなければならない書類の1つに定款(ていかん)があります。定款とは会社の基本的な規則を記したものになります。

そして会社を設立するためには、定款を作成して公証役場から認証を受けることが必須です。しかし定款は書く項目が多いうえに、一度作ってしまうと変更する際に手間がかかってしまいます。

今回、法人設立の際に定款で決める10個の事項についてお知らせします。

【法人設立】定款で記入する内容

法人設立の際に、基本的に定款に記入することは以下10個の項目になります。

  • ①商号(会社名)
  • ②事業目的
  • ③本店所在地
  • ④公告の方法
  • ⑤発行可能株式総数と株式の譲渡制限について
  • ⑥取締役会設置の有無
  • ⑦取締役の人数・任期
  • ⑧事業年度(決算月)
  • ⑨資本金の額
  • ⑩発起人の人数

では、上記項目についてそれぞれ説明していきます。

①商号(会社名)

まずは商号(会社名)を決めます。商号を決める時のルールや商標登録されている名前があるか否か、大手企業と同じ名前を使っていないか確認しましょう。

(参考記事)「会社名(商号)」を決める時のルールについて
(参考記事)【起業家必見!】会社名(商号)を決める際に考慮したい〇〇とは?
(参考記事)【会社設立】商号(会社名)に英語表記を使うことが出来るのか?
(参考記事)【商号(会社名)の決め方】商標登録されていないか調べる方法について

②事業目的

事業目的は、今後会社でどのような事業を行っていくのかを外部に示す文章となります。やみくもに作り、会社設立の手続きが完了した後になって、事業目的の変更(定款の変更が必要)を行うとなると、登録免許税などのコストが追加で発生することになってしまいます。

そして、事業目的は、外部に示すことになります。何を行っている会社なのかを明確になるようにし、営利性や違法性がある事業目的NGなどのルールを守った形で、記述するようにしましょう。特に許認可が必要な事業目的については、その内容により定款に決められた文言の記載が必要となる場合がございますので、管轄都道府県等の提出先窓口で確認をしておきましょう。

(参考記事)会社設立時の事業目的 決める時に考える事

③本店所在地

設立時には、必ず会社の本店所在地という住所の登録をしなければなりません。本店所在地とは、本店所在地とは、本社の住所のことになります。本店の場所の状況次第では、登記できなかったり、銀行口座が開設できなかったりしますので、事前によく確認しておきましょう。

(参考記事)【会社設立】本店所在地を決める際の注意点
(参考記事)【会社設立】定款の本店所在地の記載を最小行政区画(市区町村まで)で止めるメリット・デメリット

④公告の方法

「公告」とは、ある事由を株主や債権者などに広く知らせることをいいます。会社は一定事由が生じるときに「公告」する義務があり、怠った場合には過料が科される可能性があります。

具体的には会社の決算の内容を知らせる決算公告や、合併、資本金の減少など会社に重大な変化が起こった場合のお知らせも公告です。公告は法令上で義務付けられていて、違反すると100万円以下の罰金が課せられます。

◇公告方法

・官報公告:法律や各省庁の動向などが載っている官報(国の機関誌)で公告する方法。
・新聞等による公告:朝日新聞や読売新聞などの一般紙や地方紙である日刊新聞で公告する方法。
※スポーツ紙や業界紙は含まれません。
・電子公告:自社のホームページなど、インターネット上に載せて公告する方法。

(参考記事)【会社設立】「公告方法」の選び方について解説

⑤発行可能株式総数と株式の譲渡制限について

発行可能株式総数とは「会社が将来的に何株まで株式を発行できるか」の上限値のことをいいます。会社はこの発行可能株式総数を超えて株式を発行することはできません。会社法では、株式会社は設立登記のときまでに、発行可能株式総数を定款で定めなければならないとしており、この発行可能株式総数の定めは廃止することはできません。仮に発行可能株式総数を超えて株式を新たに発行する必要が生じた場合は、事前に株主総会の特別決議によって、定款を変更する必要があります。

株式の譲渡制限とは「自由に第三者に譲渡することができない株式」のことです。本来、株式は何の制限もなく譲渡することができます。しかし、会社にとって望ましくない第三者に株式が渡ってしまうと会社の運営に支障が生じる恐れがあります。そのため、ほとんどの中小企業は株式に「譲渡制限」を設定しています。

(参考記事)起業時に定款で設定する発行可能株式総数の決め方について解説

⑥取締役会設置の有無

取締役が2名以下の場合は、取締役会を設置する必要がありません。取締役会がない会社が取締役会非設置会社となります。逆に取締役会設置会社には3名以上の取締役が必ずいます。

新規設立の株式会社は、株主=取締役のように小規模なケースが多くなっており、このようなケースにおいては、業務執行の決定は株主総会で行っても取締役会で行っても変わらないということになるため、設置義務がある場合や取引上の関係で必要がある等の理由がない限り、取締役会を設置する必要はないと言えます。

(参考記事)【簡単解説】取締役会設置のメリットデメリット

⑦取締役の人数・任期

取締役の人数は最低1名いれば大丈夫です。新設法人について、取締役の人数が1名のケースがほとんどです。参考として、上場している公開会社などは、最低3名の取締役が必要になってきます。そして、任期については原則2年とされていますが、定款に記入することで短縮もしくは最長で10年まで延長が可能になります。

(参考記事)起業時の株式会社 取締役の任期は何年が良いか?

⑧事業年度(決算月)

事業年度とはいわゆる決算月のことです。基本的に事業開始から1年以内ならどこを事業年度にしても構いません。但し、安易に決めるのではなく、会社の業務内容や繁忙期、節税面などを検討した上で、会社にもっとも適した事業年度を設定しましょう。

(参考記事)法人の事業年度(決算期)の決め方

⑨資本金の額

資本金は株式会社の運営のために出資した金額のことで、現在は1円の資本金でも株式会社を設立することは可能になります。但し、会社を始めるにあたり、資本金額=会社の信用度と考えられ、資金調達が難しくなったり、そもそも業種によっては会社設立が出来ない場合もあります。

(参考記事)会社設立するときの資本金の決め方(考え方)

⑩発起人の人数

会社設立するときに、会社の資本金を出資して、定款の作成や認証・登記などの会社設立の手続きをする人を発起人といいます。簡潔にいうと「資金を出す」「会社を作る」2つの機能を持つのが「発起人」になります。発起人は最低1人でもいれば人数に制限はありませんが、発起人が複数いる場合は持っている株の割合にも注意が必要です。

(参考記事)会社設立時に覚えておく必要がある「発起人」について解説

まとめ

いかがでしたでしょうか?基本的に法人設立する際には定款に必要な上記10個を決めないといけません。また、定款の基本的な記入事項は決まっていますが、内容は会社によってそれぞれ違ってきますので、不安な方は専門家である司法書士に依頼することも検討しましょう。

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