会社設立に際して知っておきたい情報10選をご紹介

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会社を設立するには、公証役場に定款認証して、所管の法務局で登記申請をしますが、会社名や住所、事業目的など主だった内容については知識がある人が多いですが、実際に設立しようとした際に「これどのようなことなんだろう?」「どうすればいいのか?」など悩む内容が出てきます。

今回は、会社設立に際して「知っておきたい」情報をご紹介します。

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知っておきたい会社設立に際しての情報10選

1.役員報酬で知っておきたい「定期同額給与」

役員報酬の定期同額給与とは「毎月一定の時期に定額で支払われる報酬」のことです。

これから起業しようという時に、「自分の役員報酬をいくらにするのか?」と悩むところであり、そもそもどのような設定にしていいか分からない方も多くいます。会社設立する際、役員報酬は、一部例外を除き、一定額の報酬を支給しなければなりません。当然ですが、会社の業績が上がれば、役員報酬を増額したい所ですが、実際には事業年度途中で役員報酬を上げたり下げたりすることに制限が設けられています。知識を持たず誤って役員報酬を変更してしまうと、その部分が損金(=会社の経費)として認められなくなり、多額に余分な税金が発生してしまう可能性があります。

そして、支給する役員報酬を損金にするには「支給時期が一月以下の一定の期間ごとである」「会計期間内の各支給期間の支給額が同額」の条件を満たす必要があります。この要件を満たさなければ損金には算入されないことになります。2つの条件を満たせば役員報酬は全額損金に算入されます。この条件を満たす役員報酬を法人税法では定期同額給与と呼んでいます。

(参考記事)役員報酬で知っておきたい「定期同額給与」について解説

2.会社設立時の株主名簿

株主名簿とは、会社の株主が誰であるか把握するために、株主の基本情報を記載した書類のことです。株主名簿に記載されることが株主であると証明することができる書類なのです。

株主名簿は会社設立後に「法人設立届出書」を税務署に提出する際に添付書類として提出する必要があります。会社設立の書類に関する情報をまとめたウェブサイト等では法務局への提出書類を主にまとめている為、株主名簿は会社設立の際に必要となる書類とはされていませんが、法人設立届出書の提出は会社設立日から2か月以内に行う必要がある手続きなので、実質的には株主名簿も会社設立時に必要となる書類といっていいでしょう。

(参考記事)会社設立時の株主名簿について

3.株式会社で会社設立する時の登録免許税

登録免許税とは「会社登記を行う際に法務局に支払うお金」です。「税」と名がついているとおり登録免許税法という法律で定められている「国税」です。

登録免許税の納付方法は、2つの方法があります。2つの方法とは、法務局での申請に先立ち金額分の収入印紙を購入するか、もしくは金融機関や税務署で現金納付を行う形で支払うという方法になります。法務局によって納付方法が異なるケースもありますので設立登記前に確認する必要があります。

株式会社の場合は、登録免許税として15万円、もしくは資本金額の0.7%が15万円を超えればその金額を支払う必要があります。但し、資本金額の0.7%が15万円を超えるのは、資本金額が2,143万円以上になってからです。特に初めて会社設立する場合には資本金額がここまで高額になることはあまりないので、登録免許税は15万円と覚えておけばよいでしょう。

(参考記事)株式会社で会社設立する時の登録免許税について解説

4.許認可が必要な業種

個人事業主や法人格で事業を行う場合、業種によって手続きをして営業の許可を得る必要があります。

許認可とは、特定の事業を行うために、都道府県・警察署・保健所などの行政機関に対して手続きまたは審査を通して得ることができる許可等のことをいいます。言い換えると、サービスが一定の水準に満たしていないで営業を開始すると、消費者に著しく不利益が発生する業種に対して行政機関が許可を出すということになります。

(参考記事)起業・開業前に知っておかなければいけない『許認可』が必要な業種について

5.株式会社の取締役任期

株式会社の取締役の任期は会社法で規定されており「原則2年」となっています。公開会社の場合、取締役は原則2年、監査役は原則2年です。一方、非公開会社なら、10年まで伸ばすことができます。

非公開会社の任期は、定款を変えることによって伸ばすことができます。例えば、もともと2年だったものを5年にしたい場合には、株主総会を開いて、役員の任期の部分について定款を変更する決議を行い、5年に変えるということになります。なお、この任期は登記事項ではありませんので、株主総会で決議するだけで良く、登記を変更する必要まではありません。

(参考記事)起業時の株式会社 取締役の任期は何年が良いか?

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6.発起人について

会社設立するときに、会社の資本金を出資して、定款の作成や認証・登記などの会社設立の手続きをする人を発起人といいます。簡潔にいうと「資金を出す」「会社を作る」2つの機能を持つのが「発起人」になります。会社が設立された後は株主となって、持っている株式に応じて、会社の重要事項を決めるときには議決権を行使したり、配当を受け取ります。

ちなみに、株式会社を設立する際には「資金を出して、会社を作る人」 「会社を運営する人」の両者が必要ですが、「資金を出して、会社を作る人」が発起人。「会社運営する人」が役員となります。役員とは、会社法では「取締役」「執行役」「会計参与」「監査役」「理事」「監事及び清算人」などの会社を運営する責任者のことを「役員」言います。

(参考記事)会社設立時に覚えておく必要がある「発起人」について解説

7.会社設立の株主と持ち株比率

株式会社を設立するためには、出資者から出資金を払い込んでもらい、払い込まれた出資金が会社の資本金になります。会社設立のために出資金を払い込んだ出資者が会社設立時の株主になります。払い込んだ出資金の割合に応じて会社設立時の持株数、株主構成・株式持分比率が決まります。

そして、持ち株比率とは、企業の発行済株式数(発行済み株式総数)に対して、ある投資者(株主)が保有している株数の割合のことをいいます。発行済株式総数の3分の2以上を保有していれば、会社にとって重要な事項を単独で決定できます。つまり、持ち株比率が66.7%超(3分の2超)あれば、ほかの株主の賛同を得るための根回しなども必要なく、機動的で安定的な経営ができると言えます。

逆に、創業者や取引先金融機関など、安定株主以外の持ち株比率が66.7%超(3分の2超)、あるいは50%超(過半数)となると、自由な意思決定が難しくなり、経営の安定性が損なわれる可能性が高くなります。

(参考記事)会社設立の株主と持ち株比率について

8.登記簿謄本(登記事項証明書)の取得

「登記簿謄本」という呼び方が一般的ですが、「登記簿謄本」として取得しているのは、登記記録の電子データを印刷したものです。そして、その正式名称は「登記簿謄本」から「登記事項証明書」と変更されています。

登記簿謄本(登記事項証明書)の取得目的は、会社設立時には主に、オフィスの賃貸契約、大手企業の契約(必要な場合)、社会保険の手続き、銀行口座開設などで必要になります。会社設立後では、主に、融資申し込み、決算申告、登記変更申請、会社移転時などで必要になります。

(参考記事)登記簿謄本(登記事項証明書)の取得について

9.法人の事業年度(決算期)の決め方

会社を設立する際には、事業年度(決算期)を決める必要があります。会社は設立から1年以内の期間であれば、いつからいつまでを事業年度とするかを自由に決めることができます。1年以内の期間で定めればよく、いつでもを事業年度とすることも可能です。たとえば、事業年度を「4月1日から3月31日まで」と定めた場合、事業年度の最後の月である3月を決算期又は決算月といいます。

尚、ほとんどの会社が事業年度(決算期)を1年間に設定しています。最初の事業年度(決算期)が終われば特別な手続きをしなければそのまま1年間の事業年度のサイクルで回っていきます。何かの理由で事業年度(決算期)を変更したい場合には税務署へ届出を提出すれば大丈夫です。

(参考記事)法人の事業年度(決算期)の決め方

10.条件を満たせば、会社設立後に消費税の免税される

会社設立した場合、税務署に消費税を支払う必要がありますが、所定の条件を満たせば消費税が免税されるのをご存じですか。

具体的には、会社を設立した事業年度(1期目)に、消費税が免除される「免税事業者」となるためには、まず資本金を1,000万円未満に抑えることが必須条件です。ちなみに、資本金の金額の判定は、会社の事業年度の開始日(期首)に実施されます。また、ここでいう「資本金」には、資本準備金は含まれません。

会社を設立してから2期目においても、消費税が免除される特例を受けることができます。資本金が1,000万円未満であることに加え、以下条件のいずれかを満たすことが必須です。どちらの条件を選ぶかは、各会社の判断に委ねられていますので、自分の会社にとって有利な方を選択してください。

なお、資本金が1,000万円未満であるかどうかは、会社設立後2期目の期首時点で判定されます。したがって、1期目の事業年度中に増資を計画する場合には資本金の合計が1,000万円未満に維持できるよう、十分に留意する必要があります。

①事業開始後1期目の上半期における課税売上高が1,000万円以下であること

事業開始年度(1年間)のうち、前半の6カ月間で、消費税の課税対象となる売上高が1,000万円を超えないことが、2期目の消費税も免除される条件となります。

②事業開始後1期目の上半期における給与等の支払総額が1,000万円以下であること

もし、上記の条件1を満たすことができない場合には、支払給与等の額で調整も可能です。具体的には、事業開始年度(1年間)のうち、前半の6カ月間に支払う給与および賞与等の合計額を1,000万円以下に調整します。ちなみに、この「給与等」には、未払給与等は含まれません。実際、対象となる給与等の金額を算定するには、源泉徴収簿を参照して所得税の課税対象となる金額を合計、または支払明細書の控えにある金額を合計することになります。

■課税対象を選択した方がいい場合もある!?
起業してから数年は、高額な設備投資や大きな仕入れをする会社も多いでしょう。支払った消費税が受け取った消費税よりも多い場合は、その差し引き分を還付してもらえます。

そのため、消費税の免税対象となるのではなく、自ら課税対象を選択して還付を受けた方が得になることもあります。設備投資や仕入れと売上のどちらが多くなるのかを計算して、還付金がもらえるのか、消費税免除の方が有利なのかを考えてみるとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?どの知識も会社を設立する際には役立つ情報になりますので、把握しておきましょう。

起業は準備が重要です。上記でご紹介した情報以外にも様々な知識を得ることが重要です。下記でリンクしている「起業のミカタ」は起業準備するうえで必要な情報を記載した小冊子です。無料でお配りしておりますので、是非お申し込みください。

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