企業が子会社を設けるのには意味やメリットがありますが、なぜそうする必要があるのか知っていますでしょうか?
今回は、子会社について基礎的な知識をはじめ、子会社設立のメリットとデメリットについて解説します。
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目次
子会社とは?子会社の定義
子会社とは、「他の企業の意思決定機関を支配している企業」を指します。具体的には、株式の半分以上を他社(親会社)が保有している会社のことを言います。株式を半分以上保有しているということは、子会社の経営権を親会社にすべて握られているということになります。
ちなみに、子会社と似た「関連会社」という言葉がありますが、こちらは親会社と子会社の双方に20%以上の議決権を保有されている企業です。親・子それぞれが、事業の方針決定に対して重要な影響を与えることができます。関連会社は子会社と比べると親会社からの影響が少ないのが大きな違いです。
子会社設立のメリット
子会社を設立するメリットは、どこにあるのでしょうか?以下のメリットをご紹介します。
節税効果
法人税の税率は原則として23.2%です。ただし、中小法人に関しては、課税所得が800万円までなら15%、超える部分に対して23.2%の税率と、「軽減税率」が適用されます。つまり、ひとつの会社で課税されるよりも、複数会社を持ち、利益(所得)を分散させることで節税に繋がるということです。
また、売上1000万円以下であれば消費税の免税事業者となったり、損金にできる交際費の額が増えたりと、税務上のメリットが複数あります。ただし、節税目的のみで会社を複数設立すると、税務署から否認されて高い税率が課される可能性が高いので注意しましょう。
消費税が2年間免税事業者となる
課税売上高が1,000万円以下の事業者は、設立から2事業年度の間納税義務が免除されます。このような事業者のことを免税事業者といい、子会社を設立した場合も同様に2年間消費税がかかりません。但し、親会社の基準期間の課税売上高が5億円を超えている場合は免税事業者にならないので注意しましょう。
交際費の経費算入限度額が2倍になる
中小企業(期末資本金又は出資金1億円以下の会社)の場合、年間800万円までの交際費は損金に算入することができます。そして、子会社を設立した場合には、子会社は別会社となるため親会社と子会社と併せて2社で合計1,600万円まで交際費として損金に算入することができます。
経営のリスクヘッジになる
子会社設立は、経営のリスクヘッジになる場合があります。例えば、役員の何らかの不祥事などで営業停止になった場合、子会社は営業できるため損失を抑えることができる場合があります。また、不祥事などで社会的な信頼の失墜は子会社にも影響しますが、少なからずのヘッジにはなります。
経営判断やスピードが上がる
大手企業の場合、上層部の指示や目的が社員に伝わるまでに時間がかかることもありますが、その点、子会社は比較的少数精鋭で構成されているので、指示の伝達や意思決定がスムーズです。また、それぞれの社員の責任感も芽生えやすい環境で仕事に取り組めます。
子会社設立のデメリット
メリットもあれば、当然デメリットもあります。デメリットは以下になります。
経理などの間接費用が増大する
単純に間接経費は上がります。経理などは2社分になりますので、2倍とはいかないまでも経理処理が増えるのは確かです。顧問弁護士費用、顧問税理士費用、顧問社会保険労務士費用なども増えます。こちらも同じ事務所に依頼すれば2倍まではいかないまでも費用が増加するのは間違いないです。子会社を設立する前に間接経費が増えるのは間違いないので、設立前に試算をした方がいいでしょう。
損益通算できない
基本的に親会社と子会社の損益の通算はできません。(親会社の100%子会社を除きます)
例えば、同じ会社で①部門が1,000万円の利益、②部門で1,000万円の損失であれば、プラスマイナスゼロで法人税は発生しませんが、親会社が1,000万円の赤字、子会社が1,000万円の黒字であった場合、損益を通算することはできず、子会社では1,000万円に対して法人税等が発生します。損益通算できないことは、子会社設立の場合の税金面での大きなデメリットと言えます。
赤字でも均等割を支払う必要がある
道府県民税、市町村民税という地方に支払う税金のうち、赤字でも支払わなければならない均等割というものがあります。子会社を設立した場合、親会社でも地方に対する均等割を、子会社でも同様に均等割を支払わなければなりません。仮に両社とも赤字であっても2重に均等割を支払わなければならず、負担となります。
親会社との連携やビジョンが浸透しずらい
当然ですが、実験は握っていても違う会社になりますので、連携は難しくなります。また、親会社でビジョンなどを大事に掲げている場合、子会社はあくまでも別会社なので理念や文化などが変わってしまう可能性があります。
まとめ
節税効果、判断スピードなど大きなメリットはありますが、大事なのは子会社にする理由です。親会社子会社を分けることによる効果を見極めたうえで、子会社を設立するかどうか判断していきましょう。