日本商工会議所が31日に発表した10月の「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」によると、全産業合計の業況DI(好転と回答した割合から悪化と答えた割合を差し引いた値)はマイナス20.7で、前月に比べて2.6ポイント改善した。水際対策の緩和や全国旅行支援による客足の回復により、3カ月ぶりに業況が改善した。ただ資源・原材料価格高騰の長期化や、150円台まで進んだ円安によるコスト増がさらなる重荷となり、力強さを欠いている。
業種別にみると、人流の回復により、飲食・宿泊業などのサービス業はマイナス8.1(前月比3.4ポイント増)、百貨店などの小売業はマイナス29.4(同2.5ポイント増)と改善。小売業・サービス業向けの引き合い増加に牽引されて卸売業はマイナス21.1(同6.1ポイント増)、消費者向けの飲食品や日用品の受注増により製造業もマイナス20.1(同3.2ポイント増)と改善した。一方の建設業は建設資材価格の高騰が続き、マイナス29.9(同1.2ポイント減)と唯一悪化した。
11~2023年1月の先行き見通しDIはマイナス22.2で、10月に比べて1.5ポイントの悪化を見込む。設備投資などの民間工事の受注増を期待する声が建設業で聞かれる一方、資源・原材料価格の高騰や円安の継続、人手不足に伴う人件費増加や電気代の上昇など、数多くのコスト増要因による企業経営への影響を懸念。さらに欧米のインフレ対策による世界経済鈍化への不安感も強まっている。
調査は全国330商工会議所の会員2541社を対象に、10月14日~20日に実施した。このうち2009社から有効回答(回答率79.1%)を得た。