飲食店を開業する人は知っておきたい保健所へ事前相談に行くタイミングについて解説

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飲食店営業許可申請を行って、現地調査に合格しなければ飲食店をオープンすることはできません。一度で合格するためにも、事前に保健所にお店の図面などを持参して相談しておくことが大切になります。

そこで今回は、飲食店開業における保健所へ事前相談に行くタイミングについて解説します。

飲食店開業に必要な保健所とは?

そもそも保健所とは、広域的・専門的サービスを行う行政窓口です。保健所には医師・保健師・栄養士をはじめ、薬剤師や精神保健福祉相談員、聴覚言語専門職などの専門家が揃っています。保健所の事業は、予防注射や母子保健、抗体検査など保健的な事業をはじめ、栄養指導や食生活改善の相談など健康づくりに関する事業まで幅広く、 地域の保健室のような存在だといえるでしょう。

飲食店を開業するためには、保健所への「飲食店営業許可」申請が必須です。保健所へ申請が必要な飲食店は、「お店で調理して調理したものを販売する」店が対象となります。もし、営業許可のないまま飲食店を開業すると、食品衛生法に基づく行政処分を受けます。処分後は2年間、飲食店の開業は禁止になりますので、保健所への申請は必ずするようにしましょう。

まずは保健所に営業許可を申請する流れを把握しておきましょう
 

保健所に営業許可を申請する流れ

・①保健所へ事前相談
・②保健所への必要書類提出
・③店舗確認検査
・④営業許可書交付
・⑤営業開始

また、営業許可を取得するには、以下の3点を満たすことが必要条件です。

・食品衛生責任者を許可施設に1名以上配置すること
・都道府県の「食品衛生法執行条例」を満たしていること
・必要書類をすべて提出していること

食品衛生責任者は調理師や栄養士の資格を持つ人になります。該当者がいなければ、各都道府県の食品衛生協会がその都道府県内各地で実施 する1日講習会に参加すると責任者として配置することができます。また、食品衛生法執行条例は都道府県ごとに異なり、必要書類はすべて紙での提出となります。

何故、保健所への事前相談をするのか?

保健所へ事前相談する目的は以下について話し合う為になります、

・①お店に必要な許可を確認
・②店舗が施設基準に適合しているか
・③適合していなければどうすれば適合するか

「施設基準」とは飲食店営業許可や菓子製造業許可など、食品を扱う許可ごとに細かく店舗に必要な基準を定めているものをいいます。お店によって取得する許可が複数必要だったりすると、複数の許可の施設基準を満たす必要があります。店舗が施設基準を満たさないと営業許可は出ませんので事前相談でしっかり話し合い、店舗に必要な許可と、施設基準を確認する必要があるのです。

保健所への事前相談は時期は?

保健所での飲食店営業許可は、申請さえすればどんな状況でも通るというものではありません。手洗いの数がいくつあるのか、シンクのサイズがどのくらいなのかなど、店舗の内装工事に関わる規定項目がいくつもあります。こうした規定の情報はインターネットでも確認できますが、細かい内容は、各地域の保険所によって異なる場合があります。

よって、保健所への事前相談は必ず工事着工前に行ってください。物件が決まり、内装工事業者の設計図面が出来上がり、厨房機器のレイアウトが決まった段階で相談に行くのが1番いいでしょう。工事着工前なら設備の変更やレイアウトの変更もできます。内装工事が完了してから保健所に相談にいってしまうと、施設基準に適合せず、工事のやり直しが発生することがあります。そうすると時間やお金がさらにかかってしまいますし、想定よりも開店が遅れてしまい本来ならその期間に来ていただけたはずのお客様を逃してしまいます。

居抜き物件などを借りる際に、大家さんから「前も飲食店だったから大丈夫」など言われても、必ず工事着工前に事前相談に行ってください。事前相談は無料で予約等もいりませんが、担当者が不在だと二度手間になる恐れがあるので前もって予約をしておくと確実でしょう。

そして保健所への事前相談する際には、「出店予定地」「お店の図面」「提供する料理やドリンク」「営業開始予定日(希望日)」をはっきりとさせた状態で相談に行きましょう。持っていくお店の図面ですが、工事業者の設計図面が1番わかりやすいですが、他にも不動産屋さんが持っている間取り図や、ご自身で手書きで書いたものでも店内や厨房の形状がわかれば大丈夫です。曖昧だったり、答えられなかったりすると保健所の担当者もなにもアドバイスのしようがありません。

保健所への事前相談での注意点

事前相談ではお店がやりたいことを「もれなく」「細かく」「はっきり」伝える必要があります。きちんと伝えなかったことにより、本来は必要だった許可がいらないと判断され、いざお店をオープンしたあとに指導が入ったりする場合があります。

必要な許可が増えると、新たに施設基準を満たす必要が出てきて工事が必要になることもあります。事前相談で話す内容(お店でやりたいことや取り扱う商品など)を紙に書いてまとめるなどして、もれなくきちんと相談してください。

飲食店開業における保健所への申請について

ここでは、事前相談後の実際の保健所への申請についてお伝えします。

保健所の営業時間は、八時半~十七時半までですが、実際の申請時には、ぎりぎりのタイミングで行っても次の日にされてしまうので、出来れば午前中に行くようにしましょう。そして書類や情報が足りず出直しにならないように、実際に保健所に届け出を提出する際には、必要書類である以下を揃える必要がありますので、こちらについても事前に把握しておきましょう。
 

保健所への申請 必要書類

・営業許可申請書
・水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ)
・お店の配置図と設備の大概(2部)
・食品衛生責任者の資格を証明できるもの
・許可申請にあたっての手数料
・登記事項証明書(法人の場合のみ)

営業許可申請書

保健所でもらうか、自治体によってはPDFのダウンロードでも入手可能です。代表者の住所氏名・お店の住所・営業時間・食品衛生責任者の氏名・お店の面積などを記載します。

水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ)

厨房で使用する水がビルの受水槽または井戸水を使用する場合に必要な書類です。水道水直結の場合は必要ありません。ビルの受水槽を使用する場合には、ビルの管理会社もしくは大家さんから成績書をもらいます。ちなみに許可後も、年1回以上水質検査を行い、成績書を保管します。

お店の配置図と設備の大概(2部)

どちらも保健所からもらい(もしくはPDFダウンロード)、提出用と保管用の2部作成します。

食品衛生責任者の資格を証明できるもの

食品衛生責任者を取得した方は講習後に交付される修了証、調理師・栄養士の方は免許証を提出します。

許可申請にあたっての手数料

金額は自治体によって異なりますが、15,000円~20,000円程度です。

登記事項証明書(法人の場合のみ)

半年以内に発行された、現在の組織と合致する原本を提出します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?保健所への事前相談ではきちんとやりたいことを伝え、施設基準を把握しましょう。お店をスケジュール通りにオープンさせるには保健所との事前相談がとても重要になります。

そして、保健所での事前相談から、必要書類の提出、店舗確認検査の実施、申請や申請書の受け取りも保健所で行われるため、飲食店をオープンする前には、保健所に何度か足を運ぶ必要があると思っておきましょう。初めて飲食店を開業する方はなるべく早く保健所へ行き、余裕を持って開店準備を進めましょう。

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