当記事は、託児所での開業について解説していきます。
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託児所とは?
託児所は乳幼児を預かる施設のことです。
託児所開設にあたって、認可保育施設とするか無認可保育施設とするかを選択する必要があります。認可保育施設は助成が手厚いのですが制限が多く、無認可保育施設は、助成は少ないのですが、比較的自由な経営ができます。
『許可保育園(施設)』『許可外保育園(施設)』
託児施設には、児童福祉法第45条に定められた基準を満たした認可保育施設(通例、保育園、保育所という)と、認可基準を満たしていないか認可申請を行っていない無認可保育施設(認可外保育施設)があります。託児施設の開設については、国の設置基準に適合しているか、都道府県や市町村の条例や通達により、国の基準以上に厳しい独自の基準や手続きなどが定められているか、よくチェックする必要があります。
認可保育園
認可保育園とは、国や自治体による「認可」を受けた保育施設のことです。例えば「認可保育園」や「幼稚園」などがこれに当たります。
許可保育園には厳しい審査基準が設けられていてそれをクリアした施設であり、保護者の仕事や家庭の事情により保育が難しい場合に入園が認められます。公営であるため認可外保育園と比較すると入園の料金が安めですが、認可保育園に入園するには、申し込みが抽選であったり預ける時間などにハードルがあったりもします。
認可外保育園
認可外保育園は、逆に国や自治体による「認可」を受けていない保育施設のことです。今回の記事テーマでもある「託児所」や「ベビーホテル」、または少人数で運営している保育園なども認可外保育園に当たります。
認可外保育園では料金は高めですが、特別な入園の基準もなくすぐに入園しやすいのが特徴的です。つまりどのような家庭の方でも利用しやすく、様々な状況の子供が入園しています。24時間預かってくれるような託児所も多いですが、家庭によって短時間の利用などもニーズがあります。
認可外保育施設においても、地方自治体へ届け出を義務付けています。届出を怠っている場合は、過料を課されますので注意してください。地方自治体では、毎年最低1回は立ち入り調査を実施し、改善指導や監督が行われます。
必要な届出
前述でもお知らせしましたが、託児所を開業するには「届出」をする必要があります。「認可外保育施設設置届出書」を市町村の保育担当課に提出する事になります。以前は乳幼児の数が6人以上の場合のみ届出が必要だったのですが、現在では1人以上の場合でも届出が必要となっています。
もし届出をしなかった場合には、児童福祉法第62条の4により罰則を受ける可能性があります。※児童福祉法第62条の4:(前略)届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、50万円以下の過料に処する。
そして無事に届出が完了すると役所の職員が託児所を訪れ、立入調査を実施することになります。この立入調査は「認可外保育施設指導監督基準」に基づいて行われる事とされており、例えば「児童1人当たりの面積」や「有資格者の数」などの調査をされます。調査の結果次第では、改善指導や事業停止命令等の措置がなされる可能性もあります。そしてもし無事に調査をパスすれば、認可外保育施設指導監督基準を満たす「証明書」が交付される事になります。
必要な資格
資格がなくても開業は可能ですが、必要保育士の数など監督基準を満たして運営をする必要があります。託児所の場合、教育施設ではなく子どもを預かってもらうための施設であるため、保育士などの資格所持者でなくとも開業することが出来ます。
但し、託児所のような認可外保育園であっても指導監督基準は守る必要があり、保育に従事する者の数や資格が定められています。そして保育に従事する者の概ね3分の1以上は「保育士又は看護師の資格を有する者」を配置する必要があります。そのため資格を持っていなくても開業自体は可能ですがその場合には保育士等を雇用する必要があり、急な欠員や退職などを考慮すると、経営者自身が資格を持っていることが望ましいと言えるでしょう。例えば経営者(資格所持者)+保育士1名など、預かり人数や他スタッフのシフトに応じて検討するようにしたい所です。
留意点
まず保育事業では、園児が集まるまでに時間がかかります。それこそ半年~一年かけて徐々に園児を集められるといった所でしょう。軌道に乗るまで時間がかかり、そのまま資金が途絶えてしまう可能性も考えられます。
そして託児所を開業しても、もし施設内で事故が起きたり感染症が起きたりといった問題が起こると、経営者としては管理上の責任を問われる可能性があります。
最後に、保育士不足という問題もあります。託児所においても概ね1/3以上は保育士を配置することが求められており、今後の人材難が経営に支障をきたす可能性もあります。
まとめ
待機児童問題が話題に上がる中、安心して子供を預けられる託児所の需要は多いですが、様々な点で注意する点があります。特に集客ができずに資金不足に陥る場合がありますので、予め自己資金を貯めておき、他店との差別化を図るコンセプトを検討しておきましょう。