毎月利益が出ているのに資金繰りが厳しいという要因というのはどこにあるのでしょうか?
今回は。黒字なのに資金繰りが厳しくなる要因について解説していきます。
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黒字なのに資金繰りが厳しくなる6つの理由
① 設備投資
事業によっては、始めるときに設備投資が必要になるケースがあります。「店舗」「事務所」「工場」「自社用車」「機械」「システム」など事業に必要な設備投資が必要になるのです。
設備投資に必要な資金よりも得られる利益が上回っていれば、資金繰りが悪化することもありませんが、たいていは事業の立ち上げ時の利益が少ない状態で設備投資が必要になるため、出資や借り入れなどで資金調達をしなければなりません。融資を受ける場合でも、自己資金で捻出する場合でも、支出が増加するため資金繰りは悪化してしまいます。
② 在庫負担
小売業や製造業の場合、「在庫を仕入れて売る」ことがビジネスの基本構造となります。仕入れは支払・支出であり、それに対して、販売して収入・売上をあげるのが基本的な順番になるため、支払いが先に発生することになります。入金よりも、支払いが先に発生するということは、それだけ資金繰りが悪化することを意味します。
在庫販売の場合、売上が大きくなればなるほど、先に支払う仕入の金額が増加してしまうため、資金繰りは悪化してしまうのです。
③ 社外へ資金流出
社外へ資金が出ている場合にも、資金繰りが厳しくなります。本業から別の事業や関連会社へ資金を貸し付けている、生活費や遊興費など経営者個人的な支出に充当している、取引先へ貸し付けている、経費処理できない使途不明金があるなどの場合です。
これらの支出は経費になりませんので、現金は減少しますが、利益減少にはなりません。貸借対照表に、貸付金や仮払金として資産計上されます。時間の経過とともに、いずれは使い道も分からなくなり、使途不明金になります。
④ 税金
税金は利益に対して課税されるものがほとんどですが、税金は入金されたかどうか?は関係なく徴収されるものです。入金されていなくても、期内に売上として計上されていれば、課税されてしまうのです。
消費税や源泉徴収税、法人税などがそれにあたります。
⑤ 借入の返済
設備投資や在庫仕入費用、運転資金などで銀行融資やビジネスローンなどで賄った場合には、ローンの返済が必要になります。ローンの返済は、利益が出ているかどうかという損益は関係なく発生する支払いなので、資金繰りは悪化してしまうのです。
⑥ 入金遅れ、未入金
信用取引である掛取引を一般化している日本では、往々にしてあるのが売掛金の入金遅れ、未入金です。売掛金が予定通りに入金されない、倒産やクレームなどで予定していた売掛金が入金されないという自体は、そのまま資金繰りの悪化につながるのです。
『貸借対照表(B/S)』のチェックが重要!?
貸借対照表はバランスシート(Balance Sheet)とも呼ばれ、企業の一定期間の財政状態を「資産」「負債」「純資産」から見ることができる。略称でBS(ビーエス)と呼ばれることが多いです。
貸借対照表は、経営状況を客観的に把握することができますので、経営のリスクや課題を発見し、改善するために重要な役割を果たしてくれます。貸借対照表を見て、「経営状態は安全か?」「資産の持ち方は良好か?」「借金の量は適切か?」などがある程度判断できます。
(参考記事)企業の一定期間の財政状態を見るのに重要な『貸借対照表(B/S)』について解説
まとめ
会社の生存は資金繰りで決まります。いくらいいサービスを提供していても、いくら黒字になっていても資金繰りが悪化してキャッシュがなくなれば会社は倒産します。
これまで説明した通り、資金繰りの悪化原因は、売上を増やしても解消することはできない場合があります。解決する為には、貸借対照表の「現金預金・売掛金(受取手形含む)・棚卸資産」の3つの数字をチェックすることが、資金繰りの悪化原因を捉える秘訣であり、効果的に資金繰りを改善する秘訣になります。