飲食業界では、離職率が高いことも課題となっています。離職を防ぐための対策はいくつかありますが、その一つが評価制度をきちんと整えることです。スタッフの能力や仕事を評価することは、モチベーションを保つ上で大変重要になってきます。
今回は、飲食店における評価制度を整えることの目的や評価制度導入の際のポイントを紹介します。
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スタッフ評価のポイント
新人スタッフであれば入社後1週間~1か月といった期間で、できているところやできていないところ、そしてこれから覚えてほしいことなどのフィードバックが必要です。既存スタッフに関しても、3か月~6か月ごとに定期的な面談を行い、困っていることや悩みをヒアリングするとともに、理念やビジョンの確認をしましょう。
その際に、評価基準シートといったチェックリストを活用して、できていること・できていないことを可視化して、共有するとよいでしょう。また、このチェックリストは時給査定にも活用することができます。この項目のチェックが埋まったら時給〇円UPというような明確な基準を作ることができるからです。スタッフの代表的な不満の一つに、評価基準がわからないというのがあります。明確な評価基準を可視化することでこういった不満を予防することにもつながるでしょう。
飲食店は離職率が高い業態です。キッチンスタッフ、ホールスタッフともに、長時間労働になりがちで休みもあまりとれないという点から、労働時間、労働環境が退職理由となることが多いのが飲食業界です。それでも定着率の高い企業があります。その取り組みを見てみると、スタッフが成長を実感でき、お店側が望む行動を、評価基準として明確にし、その評価が給料や昇進に結びつくような様々な仕組みを取り入れています。
スタッフ評価制度を作る目的とは
スタッフ評価制度を作る目的は、スタッフのやりがいや成長を促進することに加え、業績アップに直結する行動を促すことです。したがって、評価項目も 業績アップに直結する内容でなければなりません。
スタッフ評価制度の導入方法
ここからは評価制度の作り方やポイントを紹介します。
評価シートを作成する
評価制度を作る際には「評価シート」を作成しましょう。評価シートは従業員の能力レベルや次のレベルに必要なことを具体的に把握することができるツールです。評価シートを作る際は、例えばスキル編と仕事に対する姿勢(メンタル)編に分けて評価のチェック項目を作り、一覧にまとめてみましょう。
加えて、評価シートに沿いながら評価するためにも、できるだけ要素を細かく切り出してみましょう。さらに、〇か×、もしくは、〇か×か△などシンプルに評価できるようにするとわかりやすいでしょう。そして社員とアルバイトがいる場合は仕事内容にも差があるので、それぞれに作成しましょう。
ちなみに厚生労働省のHPには、人材育成に有効なチェック形式の評価シート「職業能力評価シート」があり、無料でダウンロードが可能です。業種ごとに分かれており外食産業用のものもあるので、初めて作成する場合には参考にしてみると良いでしょう。また、評価シートはまず従業員に自己評価をしてもらい、その後に店長や社員が評価をすると、フィードバックしやすくなります。
昇給について明確にする
アルバイトの場合は時給の下限と上限を決めたうえで、チェックシートの評価をレベル分けし、時給と連動させておくとわかりやすくなります。社員の場合は、役職などによっても給与が異なるため、別に基準を作成しましょう。
店舗内できちんと周知しておく
評価する人が複数いる場合は、人によって評価の基準が異ならないように注意が必要です。評価をする側で評価基準をしっかりと擦り合わせておきましょう。さらに評価される側の社員やアルバイトには、仕事を正当に評価して給与アップなどにつなげるための制度であり、ダメ出しをするためのものではないことを共有しておくとスムーズです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?スタッフを育てることで店舗の売上や利益は確実に変わっていきます。そして長く働いてもらうには、きちんとした評価制度を準備することが大切です。導入していない店舗は、この機会に評価制度を検討してみてはいかがでしょうか。