これから会社設立をする方必見!主な法人の種類について解説

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現在、日本では年間約12万社の法人が立ち上がっており、約7割が株式会社となっております。しかし近年、有限会社が無くなり、合同会社という新しい法人が設立されるようになりました。株式会社や合同会社以外にも様々な法人がありますので、今回は7つの法人の種類と法人で会社を設立する際に準備しておいた方がよいものをご紹介していきます。

法人を設立する前に知っておきたい情報

数ある法人の種類を説明するにあたり、事前に知っておくべきことがあります。その内容について、紹介していきますので理解しておくようにしましょう。

公法人と私法人について

法人といっても、その種類は大きく2つにわかれます。

まず「公法人」についてですが、これは行政の目的のために国や地域活動を主に行う法人となります。公法人に属するものとしては、公共団体や公共組合、独立行政法人などがあるでしょう。

一方「私法人」は、行政の権力を必要としない民間法人のことをいいます。また私法人は2種類にわかれ、利益を目的とした「営利法人」と、利益の追及はしない「非営利法人」があります。

一般的に起業するとなれば、この私法人の中から、法人の種類を選ぶこととなります。

有限責任と無限責任について

法人の種類を決定する際には、「有限責任」と「無限責任」についても知っておく必要があります。

まず有限責任とは、会社が何らかの原因で返済不能となった場合、その負債総額について出資金額以上の責任を負う必要がないことを表します。これはつまり、出資者の個人的な財産は守られるということを指します。

一方「無限責任」については、その名の通り無限ですから、会社が抱えた負債総額のすべてを、自身の財産を使用してでも弁済する責任を負うこととなります。また出資者が複数人いる場合では、連帯して弁済することになります。

現在は「有限会社」の設立はできない

「有限会社」と付く企業は見かけることもありますが、現在ではその設立はできません。これは新会社法が施行された際に、有限会社法が廃止されたためです。

但し、既存の有限会社まで廃止というわけにはいきません。そこでそういった企業については、「特例有限会社」として、法的には区別されるようになっているのです。

主な法人の種類

大きく分けると法人の種類は、以下7種類に分かれます。これから自分自身が設立する会社の参考としてください。

・①株式会社
・②合同会社
・③合名会社
・④合資会社
・⑤一般社団法人
・⑥一般財団法人
・⑦NPO法人

それぞれについて解説していきます。

①株式会社

一般的な法人の種類になり、事業が営利目的です。
株主で組織された有限責任会社であり、最高決定機関は株主総会となっております。

【株式会社の設立方法】

・発起設立
発起人が設立時の全株式を引き受けます。

・募集設立
発起人が設立時株式の一部のみを引き受け、残りを外部から募集して集めます。

実際には経営規模や経営上の決定権の都合などから「発起設立」が多いです。

(参考記事)株式会社を作るメリットデメリット

②合同会社

合同会社はLLC呼ばれ、近年始まったばかりの法人種別となります。

株式会社と同じように有限責任の「間接有限責任」になりますが、合同会社は株式会社とは違いは、出資者全員が有限責任社員となって構成する法人です。

株式会社と合同会社の違いの一番は、株式会社は持ち株比率で色々は権利が変わるのに対し、合同会社は出資金額に対してではなく、出資を出したことにより、権利は皆均等となっております。また、設立に適しているのは一般消費者向けのビジネス(例えば飲食店など)であり、法人の種別で売上を取れるような業種でなければ、おすすめです。

(参考記事)合同会社を作るメリットデメリット

③合名会社

『無限責任社員のみで構成されている会社』
合名会社とは、社員(=出資者)が会社の債権者に対し直接連帯して責任を負う「無限責任社員」だけで構成される会社形態のことをいいます。従前は、2名以上の無限責任社員が必要でしたが、会社法施行に伴い、1名以上で合名会社を設立できるようになりました。

④合資会社

『有限責任社員と無限責任社員で構成されている会社』
合資会社は、「無限責任社員」と「直接有限責任社員」とで構成される会社形態をいいます。直接有限責任社員は「出資金についてはその金額の範囲内で限定的に責任を負う」ということになっていますが、会社債権者に対しては「直接責任を負う」こととなっています。

(参考記事)【会社設立】合名会社・合資会社とは?

⑤一般社団法人

一般社団法人は、営利を目的としない法人で、「人」の集まりを基盤とする法人です。そのため、法人自身の財産は不要=設立時の資本金の払込は不要という特徴があります。

共通の目的を持った人が集り、その「団体」に対して、(法によって)人としての権利を与えられた法人を「一般社団法人」と呼びます。

具体的には、自治会、同窓会、研究会、福祉・医療学会、協会、資格団体など、様々なものがあります。

ただ人が集まっただけでは任意団体ですので、団体名義で契約をしたり、銀行口座を作ったり、財産を持ったりすることはできません。

(参考記事)【会社設立】一般社団法人設立のメリット・デメリットについて解説
(参考記事)一般社団法人と一般財団法人の違いについて

⑥一般財団法人

一般財団法人は、営利を目的としない法人で企業や個人から提供された「財産」を活用するために設立し、その財産を維持、運用していくことを目的としています。設立する際に必ず300万円以上の財産を出資(拠出)しなければなりません。

よく一般財団法人で設立しているのは美術館などが挙げられます。自分の持っている財産の運用を他の人に任せる仕組みが「一般財団法人」になるのです。

(参考記事)【会社設立】一般財団法人を設立するメリット・デメリットとは?

⑦NPO法人

正式名称を「特定非営利活動法人」と呼び、特定非営利活動に関する法律によって、都道府県知事や政令指定市の市長による認証を経て、設立される法人です。

現在、日本国内に、約4万のNPO法人が存在し、この制度ができあがってしばらく経ちますので、日本国内での知名度は高いといえます。本来、政府が決めた特定の非営利事業について、法人格を与えようとするものだったので、「ボランティア色が強い」ということがこの法人の特徴となっております。

実際に設立された中には、社会貢献型ビジネスを、文字通り、ビジネスとして進めるために、法人内外において組織化を図り、発展している法人もあり、積極的に社会貢献を行う法人がある一方、不正な方法で事業を行う法人もあり、評価は大きく分かれる法人です。

(参考記事)NPO法人 設立の流れ

法人設立(株式会社・合同会社)の際に準備しておいた方がいいもの

下記のものを事前に用意しておくと、会社設立はスムーズに進みます。

資本金を用意する

株式会社であれば20万強、合同会社であれば6万強の費用が必ず必要になります。

重要事項を決める(会社の名前・本店所在地・事業内容・役員)

定款を作成するときに必要になります。重要事項を決めておかないと、会社設立できませんので、予め決めておきましょう。

身分証のコピー

融資を検討される方や法人携帯、法人口座など、身分証のコピーが必要になりますので、複数枚、裏表をコピーをしておきましょう。

個人(発起人)の実印と印鑑証明書

個人の方が、その住所の市町村で登録している印鑑のことで実印と言われます。

印鑑証明書は、その印鑑が登録された実印であることを市区町村役場が証明する証書です。 印鑑証明書は会社を設立していく過程の様々な場所で要求されます。会社設立の手続きでは、発起人や役員予定者の実印と印鑑証明書が必要になります。 発起人や役員予定者で実印登録されていない方がいる場合は、速やかに住所地の市町村で印鑑登録をしておくことをお勧めします。

法人の印鑑(実印、銀行印、角印)

会社の設立登記を行う際に、法務局へ届出を行う印鑑になります。代表者印などと呼ばれます。 契約書など会社として重要な場面で使用する印鑑になります。個人の実印と意味合い的には変わりません。

他にも、会社として作成しておくと良いと思われる印鑑に、銀行印と角印があります。 設立においては必要ということはありませんが、会社実印を作成される場合に一緒に作成しておくと手間がありません。

法人の種類を変更できない法人格がある?

法人の種類を変更したくとも、最初に選択している法人格によっては、その変更もできないことがあります。変更ができない法人格としては、主に以下が挙げられます。

◆変更できない法人格

・社団法人
・財団法人
・NPO法人

そのため、法人の種類を決定する際は、慎重に決定するようにしてください。どうしても変更したくなった場合では、一度解散をした後に、新たに法人を設立する必要があります。

一方、営利法人である株式会社と持分会社では、法人の種類を変更することが可能です。持分会社から他の持分会社へ変更したい際は、定款を変更することで別の法人格へと変えることができます。

まとめ

今回は7つの法人をお伝えしましたが、大きく2つのグループに分けられます。

・「営利を目的とする」株式会社、合同会社、合名会社、合資会社
・「非営利活動を目的とする」NPO法人、一般社団法人、一般財団法人

「営利を目的とする」とは、事業で得た利益を、配当などによって分配することができますが、「非営利活動を目的とする」とは、営利を目的としない、つまり、利益を分配することができない、ということになります。ご自身のやりたいビジネスに合わせて決めていきましょう。

(参考記事)2017年「全国新設法人動向」調査から見る現在の起業状況とは?

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