企業にとって資金の支援を受けられる補助金や助成金は、大変に重要なものです。特に起業・開業したばかりの企業では、少しでも資金は必要になってきますので大切になってきます。
そこで今回は、補助金と助成金についてやその違いを解説していきます。
補助金とは?
補助金は国や自治体が産業振興や雇用の推進、地域活性化などに貢献する事業に向けて交付される資金で、融資と違って返済義務がないことが大きな特徴といえます。
起業時の資金調達方法としては、融資(日本政策金融公庫での借入や制度融資による借入など)が一般的ですが、低金利とはいえ返済する必要があります。
国が政策の中で「若者の起業家を増やしたい」「女性の起業家を増やしたい」となれば、「若者や女性が起業するときの補助金」を作ることで、「若者や女性の起業を増やす」効果があります。国の政策を推進するために作られたものになりますので、補助金は条件に合致すれば「返済不要」で利用できるのです。
◆代表的な補助金
・経済産業省が提供している補助金
・地方自治体が独自で提供している補助金
・企業、政府系金融機関、財団等が独自に行っている補助金
年間で数十程度の補助金が公募させるので、自分の事業に会う補助金をチェックすることが重要です。
(参考記事)起業・開業者が検討すべき補助金について
助成金とは?
助成金とは、一般的に厚生労働省所管で取扱っている給付金のことを助成金と呼び、給付の条件を満たしていれば誰でも貰うことができ、融資などとは違って、返済の必要がありません。基本的には従業員を雇用する上で社会保険に加入していることが条件となっています。種類としては約50種類ほどもあり、現在の自社の状況をみて、該当するものを申請していくことで、給付を受けられます。
一般的に、補助金は条件に当てはまったものを申請し、採択された方(事業)だけもらえる資金「難易度が高い」「もらえる金額が大きい」のに対し、助成金は条件をクリアすれば必ずもらえる資金「難易度が低い」「もらえる金額が少額」になります。
また助成金の申請がわからないという方は、専門家に申請を代行してもらうこともあるでしょう。この場合では、労務の専門家である社会保険労務士(社労士)の方にお願いするようにしてください。
◆代表的な助成金
・厚生労働省が提供している助成金
代表的な所でいうと「キャリアアップ助成金」「雇用調整助成金」「トライアル雇用助成金」「受動喫煙防止対策助成金」など人の採用、給与UP、職場環境改善など雇用や職場に特化した内容が多いのが特徴です。
(参考記事)起業・開業者が知っておきたい『助成金』について解説
補助金と助成金の違いとは?
補助金と助成金は、どちらも事業のために使える資金を国や自治体から受け取れる制度で、大体が後払いで返済の必要がないという点では違いはないのですが、基本的に、補助金は申請をした審査が通って初めて受けれる対象になり、助成金は要件が当てはまれば、もらうことが出来る(返済不要)ものという違いはあります。
そして補助金は経済産業省が管轄する「起業支援」「経済発展」に関係するものが多く、助成金は厚生労働省が管轄する「雇用関係」や「研究開発」に関するものが多いのが特徴です。
◆補助金と助成金の違い比較
主な目的
・補助金:設備購入、研究開発
・助成金:雇用や職場環境の整備
条件
・補助金:書類や面接で必要性を伝える必要があり、難しい
・助成金:一定の条件さえクリアしていれば、全ての企業で受けられる
募集期間
・補助金:募集開始から数ヶ月
・助成金:通年
返済義務
・補助金:必要なし
・助成金:必要なし
支払いのタイミング
・補助金:後払い
・助成金:後払い
補助金や助成金はどこで調べればいいのか?
補助金や助成金は全て合わせると、数千種類あり、絶えず発表されています。さすがにこれをひとつひとつ探すのは、骨の折れる作業です。しかし、ネット上にある補助金や助成金を検索できるサイトを利用すれば、自社に当てはまるのが見つかる可能性があります。
◆補助金・助成金の検索サイト
・ミラサポ
・J-Net21
・助成金なう
・経済産業省(中小企業庁)の補助金公募サイト
・厚生労働省のHPから助成金の一覧
補助金/助成金は公募されるタイミングがあり、公募期限も公募されてから2週間から1ヵ月程度のものが多いので、タイミングを逃さずにしましょう。
(参考記事)自分(自社)に当てはまる補助金・助成金の見つけ方
補助金や助成金に頼りすぎてはいけない?
補助金と助成金は、あくまで「補助」「助成」をするものです。条件をクリアするために無理をして人を雇ったり、お金をかけて設備を購入するのはおすすめしません。それまで作り上げてきた会社の仕組みを、大きく変えてしまうことになります。当然ですが、不正に受給をした際は詐欺罪に問われる場合もあります。そして、会社名などがネット上に載ることになります。受け取っていた資金を返さなくてはいけませんし、会社の信用はなくなってしまいます。最初に事業計画があって、あとから補助金や助成金が付いてくるものです。初めから補助金・助成金がある前提で考えないようにしましょう。
また、補助金、助成金はどちらも後払いのため、起業直後の運転資金として計算をする事は止めましょう。そして資金を受け取ってから設備を購入したり、環境を整備することはできませんので注意が必要です。
まとめ
起業予定の方も、すでに設立された方も必ず自分に当てはまる補助金や助成金は沢山あります。個人事業主の方に当てはまるものもあります。ただし、枠が決まっていたり、募集期間が決まったものがほとんどになりますので、情報を知っているか否かが大きなポイントとなります。
金額が大きいもので数百万単位の補助金や助成金がありますので、まずは自分で補助金・助成金を確認してみて、自分に当てはまりそうなものをピックアップして、自分で申請できるものは自分で行い、税理士や社会保険労務士と顧問契約をしているのであれば確認をして、本当の事業の補助になるように活用していきましょう。
◆補助金/助成金まとめ
・補助金とは国や自治体が産業振興や雇用の推進、地域活性化などに貢献する事業に向けて交付される資金。
・助成金とは、一般的に厚生労働省所管で取扱っている給付金のことを助成金と呼ぶ。
・補助金/助成金とも基本的に返済義務はない。
・補助金は申請をした審査が通って初めて受けれる対象になり、助成金は要件が当てはまれば、もらうことが出来る(返済不要)ものという違いがある。
・補助金/助成金を調べるサイトとして「ミラサポ」「J-Net21」「助成金なう」「経済産業省(中小企業庁)の補助金公募サイト」「厚生労働省のHPから助成金の一覧」などがある。
・補助金/助成金は公募されるタイミングがあり、公募期限も公募されてから2週間から1ヵ月程度のものが多い。