ペーパーレス化や業務効率化を目的に、契約書の電子化や電子契約が近年増えていますが、長年に渡って紙での契約書の締結が当たり前だったことを考えると、急な電子化に不安を感じる人もいるかもしれません。また、セキュリティ面や法的根拠など疑問に感じる人も多いでしょう。
今回は、契約書の電子化や電子契約についてのメリットデメリットやおすすめの電子契約サービスまで解説していきます。
※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。
目次
契約書の電子化とは?
契約書の電子化とは、既に締結された紙の契約書をスキャニングして電子化して保管することです。契約書だけでなく、領収書も電子化することが可能になります。
企業で使用される文書の電子化の背景には「電子帳簿保存法」という法律が関係しています。この法律でも帳簿や決算関係の書類、契約書、領収書といった書類の電子保存は認められていましたが、領収書の場合は金額が3万円未満のものに限るなどの制限がありました。また、紙の書類をスキャンして保存することは認められておらず、書類に電子署名を付与しなければならなかったのです。
しかし2016年1月から、法律の改正によって3万円という制限が撤廃され、すべての契約書・領収書は電子保存ができるようになりました。さらに2017年1月からは、領収書や請求書をスマホで撮影して電子化することも認められています。スマートフォンでの撮影まで認められているということを知らない方も多いと思います。そして2019年5月にはデジタルファースト(手続)法案が成立し、身近なところでも電子化によるペーパーレスの利便性を感じる機会が増えてきそうです。
電子契約になることでのメリット
日本の商習慣として印鑑文化が根強く残っていることもあり、これまで電子契約はなかなか理解されずに、進んできませんでした。しかし、本来は契約書には何かしらのマークをするという合意表明で契約自体は成立します。(口約束でも契約は成立します。)では、電子署名での契約になることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ペーパーレス・データ化
柔軟な働き方に対応するためには、どこでも取り扱えるよう電子化されている必要があります。これまでのように捺印をするために会社に行かなくてはいけないということがなくなります。また、電子化することによって、保管する場所も不要になり、さらに検索性も高くなります。
コンプライアンス強化
電子契約は、署名や判子の代わりとなる電子署名とタイムスタンプによって、契約書の改ざんリスクを減らしました。また、契約フローの可視化によって締結漏れが防げ、原本の紛失リスクも減らせるので、コンプライアンスが強化されます。
業務スピード
ビジネスでは求められるスピードが上がる一方です。契約締結されないと次のステップに進めないという時に、印刷・製本して郵送、捺印できる権限を持つ人が出張に出ているとなると、多くの時間をロスしてしまいます。また、返ってきた書類に記入漏れがあり再度送り直して、などということを繰り返していると、さらに時間がかかってしまいます。電子契約であれば、必須項目に入力されていないと完了できないということもできます。これまで数日〜数週間かかっていたものが24時間以内に回収できるというだけでも、ビジネスメリットは大きいです。
コスト削減
紙の契約書に欠かせなかった収入印紙の貼付は、電子契約では不要です。印紙代の節約だけでなく、紙で発生していた印刷・郵送費や、これらの作業にかかっていた人件費なども削減できます。
文書の一元管理で業務効率化
電子契約なら契約や合意にかかわる文書をデータ化して一元管理できます。検索性アップはもちろん、契約の進捗管理が簡単になって業務効率化が図れます。
電子署名になることでのデメリット
メリットだけならもっと早く契約書の電子化によるペーパーレスは進んでいるはずなので、デメリットも考えられます。
オペレーションが変わる
電子契約になることで、これまで紙で行ってきた作業のオペレーションが変わります。新しいことに抵抗があり、従来の慣れたやり方が良いという方もいます。
相手側への対応
まだ日本では一般的になってきていないことから、相手側にも電子契約の確認・説明をする必要が生じます。
おすすめ電子契約サービス3選
ここからは、おすすめの電子契約サービス3選を紹介していきます。
BtoBプラットフォーム 契約書(株式会社インフォマート)
BtoBプラットフォーム 契約書は導入実績20万社以上のBtoBプラットフォームシリーズのひとつの電子契約システム。企業間の契約締結・文書管理・ワークフロー(社内稟議)をまとめて一元管理。秘密保持契約書、賃貸借契約書、工事請負契約書、注文書(注文請書)等も対応。見積・契約・受発注・請求を1つのID/画面で管理可能。オプションでワークフロー機能もあり、社内稟議の起案~承認までクラウド上で簡単に行えます。3社間以上での契約にも対応。件数や機能に制限のあるフリープランもあります。
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)
導入実績80,000社超。無料で契約締結ができるウェブ完結型の電子契約システム。契約書の保管・管理にも利用可。契約書だけでなく、発注書・請求書・納品書・検収書・請求書・領収書なども対応。契約締結と同時にクレジットカード決済ができるクラウドサインペイメント機能もあります。個人事業主向けのフリープランは、送信件数とユーザー数に制限があるが、企業でのトライアルとして利用可能です。
リーテックスデジタル契約(リーテックス株式会社)
「リーテックスデジタル契約」は法人間での契約締結に最適な電子契約サービスです。国の指定機関による厳重な本人確認など業界最高峰の法的安定性を誇ります。電子債権記録機関(国の指定機関)であるTranzax電子債権株式会社と連携しており、法人名義の実印レベルの契約書が発行できます。そのため、裁判沙汰になってしまった場合でも「証拠力」が担保されるので非常に安心です。大手企業や行政機関など、法的効力を最重視したいという企業にはお勧めのサービスです。
電子契約で紙はなくなるのか?
一部の契約は今も紙でしか締結できません。更に過去に締結した契約書の原本も保管する必要があるので、紙の契約書は残ります。ペーパーレス化できる契約を電子契約に切り替えて、紙と電子契約を使い分けながら業務効率化を目指すのがおすすめになります。
まとめ
電子契約はペーパーレス化によって契約フローの可視化と効率化を実現し、ビジネスを加速させてくれるでしょう。相手側の対応も鑑みないといけないですが、時間や場所を選ばずに契約手続きを進められる電子契約を導入して、より柔軟な働き方を目指していきましょう。