これから起業・開業する際に、あなたが販売する商品やサービスはいくらで売ろうと考えていますか?業種や分野が違っていても、多くの人が頭を悩ませる問題です。特別な価値や独自サービスを提供できるなら、あまり気にする必要はありませんが、相場が分かれば、自分が設定した価格が適正かどうか判断できます。
今回は、最適な販売価格の決め方について解説していきます。
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「価格」を設定できる範囲とは?
価格は一般には、その商品・サービスの価値を表わすもので、消費者にとっては価格が商品の価値や品質を「判断するモノサシ」となり、購入する際の意思決定の決め手となるものです。すなわち、消費者は価格が妥当かどうかを、商品の必要度や値頃感によってその都度決めています。したがって、消費者がその商品に感じる価値が価格より低い場合は、その商品は売れませんし、逆に感じる価値が価格より高ければその商品はヒットすることになります。
しかしながら、売るために、商品にかかるコストや自社の利益を無視した価格設定を行うと、会社経営に深刻なダメージを与える可能性もあります。これらを考慮すると、価格設定の基本は実務的には、総原価から判断して、販売すると損をする下限の価格と、消費者が購入してくれる上限の価格の範囲内で決まることになります。
また、自社が設定する価格は競合企業の価格政策に影響を与えることも忘れてはなりません。低価格化競争は、しばしば無用な乱売競争を招き、結局は競合企業とお互いの首を絞め合うことにつながる可能性もあります。
これらのことを考えると、価格政策が企業にとっていかに重要な経営課題であるかが分かります。そのため価格設定は、商品の特性や営業・販売構造などを総合的に判断して、自社にもっとも適した方法を検討する必要があるのです。
商品やサービスの販売価格の決め方 基本的な5つの基準
ここからは、商品やサービスの販売価格の決め方である基本的な5つの基準について解説していきます。
商品の原価・サービスの経費を考慮する
当然ですが、原価やサービスの経費を考慮して値決めをしなければ利益は出ません。サービス業の場合、対応するスタッフの人件費、品質が落ちないサービスの提供可能なお客さんの人数を考慮しないといけませんし、商品開発・仕入れを行う業態であれば、製造原価、仕入原価を考慮して利益が出る価格を知らなければいけません。
販売シミュレーションをして、月間販売数、人件費などの経費、原価に対してどの価格なら利益が出るのかを計算しましょう。
競合の価格を考慮する
競合になる会社や商品、お店の相場価格を検討しなければいけません。もしその調査の時点で、利益が出ない相場価格の場合は、「競合よりたくさん売る」か、「競合より高く売れるコンセプトに変える」ことを検討しなければいけません。
コンセプトに強みがないと、競合価格に合わせていかなければいけないので競合に価格を合わせて「たくさん売る」ということをしないといけませんが、少なくともサービス業の場合は、労働集約型のためキャパシティに限界がありますので、競合価格に合わせてはいけません。競合の価格が利益が出ない販売価格ならば、コンセプトから再検討すべきです。
販売方法との兼ね合い
モノを作って販売する場合、「どうやって売るか」でも価格設定は異なってきます。例えば、誰か(販売代理店など)に販売してもらうなら、その相手にも利益が必要です。一般的に、最終価格の3割~5割の金額で卸売りするケースが多いようです。
他の問題解決のコストを考慮する
原価計算、経費計算をして、利益が出る価格が競合の価格よりもだいぶ高い場合は、コンセプトを考え直さなければいけませんが、この場合、「何と比較されるのか?」ということを検討することが有効です。
例えば、英会話の講座を販売していたとして、それを英会話の教材と比較されてしまっては高く思われてしまいますが、専門学校と比較してもらえれば安く見えます。そうなると、専門学校が持つ要素や、見せ方を取り入れるだけで価格をあげることができます。
顧客目線から考える
買ってもらいたい顧客、ターゲット顧客から見て、いくらくらいと思われるかを考える視点です。まず誰に買ってもらいたいかが重要です。同じ1,000円の弁当でも、普段300~400円の弁当を買う人からみたらとても高いですし、普段1,500~2,000円の弁当を買う人からみたら安く見えます。
個人でいえば所得水準、法人でいえば会社の規模・業況によって高いか安いかの受け取られ方は異なります。想定しているターゲット顧客がいくらなら多少価格が高めでも、買おうと思うか。安くてお得だと感じるか。自分の主観ではなく、ターゲット顧客の目線でじっくり調査しましょう。
最初に決めた価格があとを引く!?
起業した時の値段というのは、後々に変えるのは難しくなります。今までカット3,000円でやっていや美容室が、客単価1万円以上を目指すというのは、大掛かりなコンセプト変更が必要になるでしょう。
ここで重要なのは安く設定しすぎない事です。価格設定を間違えた場合、値段を上げていくことは難しいです。高い方に間違えて、売れなければ下げていくほうがよほど良いということです。
出来ればテストマーケティングをしながら、最も売れやすく、最も利益の出る価格を見つけていくことを初期段階で行いましょう。
まとめ
消費者は価格に敏感なので、より安価な商品・サービスを好んで購入すると考えて激しい値下げ競争を繰り広げる企業は少なくありません。ですが、その前提が常に正しいとは限りません。価格はもちろん重要ですが、消費者は単に安いものを好むわけではなく、みずからのニーズを満たすサービスが適正な価格で提供されているかを見極めています。
今回お知らせした販売価格の決め方を参考に、最適な価格を設定していきましょう。