【飲食店】知っておきたい『景品表示法違反』とは?

投稿:
更新:


飲食店で、街中の看板やチラシ、POPはもちろん、インターネット上でも「期間限定」「今だけサービス」など魅力的な言葉を使った広告が目に入ってきます。一方で、広告の内容が景品表示法(景表法)違反となり、行政処分を受ける企業が後を絶ちません。

今回は、飲食店における景品表示法違反について解説していきます。

※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。

景品表示法とは?

景品表示法は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。メニューやチラシなどに表示されていた内容に比べて、実際に提供された料理の質が劣っていたり、表示とは違う食材を使ったりしていると、お客様が不利益を被る恐れがあります。そのため、事実に反して明らかに誤認される表示を景品表示法違反として「優良誤認表示」と呼び、禁止しています。

優良誤認になる表示とは?

「食の分野で景品表示法違反(優良誤認)があり、消費者庁から措置命令が出た」というニュースを見たことがある方も多いかと思います。これまでに居酒屋、レストラン、ホテル、コンビニエンスストアなど、多方面で違反が発見されています。

例えば「新コース」と表記するなら、実際に新しいコースであることが必須です。既存のコースを「新コース」と称した場合は、景品表示法における優良誤認表示に該当する可能性があります。「スペシャルコース」といった表示も同様で、通常と何も変わらないのにスペシャルと称した場合も、優良誤認表示になってしまいます。

【無料】飲食開業相談会を実施しています。飲食開業相談会申し込みはこちらから。

3つの違反について

優良誤認表示

品質や規格、ブランド銘柄、原産地、製造方法、鮮度、知名度、有機・無農薬などの安全性、受賞歴の有無、効果・効能を、実際より大きく誇張したりするなど、商品を実際よりよく見せること。

有利誤認表示

価格や期間、数量、支払い条件、アフターサービスなどのメリットなどについて、商品を実際よりお得に見せること。

その他誤認されるおそれがある表示

上記の優良誤認表示、優良誤認表示とは別に禁止されているものです。商品がないにもかかわらず、あるように見せかける表示(おとり広告)や、5%以下の清涼飲料水やアイスクリームなどで“無果汁”“〇%”と表記しないで果実名をつけた商品名、果実の写真やイラストを使用する表示などです。

違反例と違反にならない例

実際これまでに、どんな表示が指摘されたのでしょうか。具体的な事例を見てみましょう。

参考:(消費者庁公表「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」のガイドラインより)

    ・「ビーフステーキ」や「ステーキ」とメニューに表示してあるものが実際には牛肉の成形肉だった
    ・メニューに「国産和牛のステーキ」と表示しているのに、実際には国産和牛ではなく、オーストラリア産の牛肉だった
    ・メニューに「△△(地域名)野菜使用」と表示しているが、実際には、△△(地域名)野菜だけでなく、それ以外の地域の野菜を多く使用していた
    ・「シャンパン」と表示しているが、実際にはスパークリングワインをコップに注いで提供していた
    ・「山形県産はえぬき使用」とメニュー等に表示しているが、実際には山形県産の品種のブレンド米を使用していた
    ・料理にフカヒレを使用している旨をメニュー等に表示しているが、実際には人工フカヒレを使用していた

    このような文字の情報だけでなく、写真も法律の対象です。写真の盛り付けと実際に提供された料理が大きく違っている場合も違反になります。また、口頭による説明も法律の対象になるため、メニュー説明にも注意しなければなりません。

    一方で、違反にならない例には以下のようなものがあります。

      ・「鴨南蛮」と表示しているが、実際には、合鴨肉を使用している
      ・「鮮魚のムニエル」と表示しているが、この他に魚の新鮮さを強調した表示はしておらず、実際には、解凍した魚を使用している

      鴨南蛮は合鴨を使うことも多いうえに、そのことが広く知れ渡っているため、故意に「鴨肉を使用した」などと表示しなければ違反にはなりません。また、鮮魚は「新鮮な状態」を想像させますが、解凍であっても新鮮なものを扱っていれば違反となりません。ただし、「獲れたて」などといった嘘の表示をすることで、優良誤認となってしまいます。

      景品表示法に違反したらどうなるのか? 罰則だけでないデメリット

      万が一景品表示法に違反し措置命令が出た場合には、課徴金の納付を命じられる可能性があります。優良誤認表示をしていた期間に優良誤認表示で儲けた売り上げの3%を納付しなければならないうえに、違反の内容が一般に公表されることに。世間に知られてしまうことで、店の信頼を失うことも考えられます。こうしたことを避けるためにも、お客様に対して正確な情報の伝達に努めることが、何より大切といえるでしょう。

      まとめ

      成型肉やブレンド米など食にまつわる技術の進歩が、メニュー表示を複雑にしています。表示に不安がある場合は、消費者庁に相談してみるのもよいでしょう。

      参考:消費庁HP(景品表示法関係ガイドライン等)

      より詳しい情報や起業・開業に役立つ情報は「起業のミカタ(小冊子)」を無料で贈呈していますので、合わせてお読みください。

相談会

相談会

今まで1,000人以上の相談会をしてきたアドバイザーが、豊富なデータ・最新情報とノウハウ、専門家の知見を元に、無料かつ約30分~1時間ほどで「起業・開業ノウハウ」をアドバイスします。