中小企業診断士での独立には長所も短所もありますが、実力と努力が収入に結びつきやすく、やりがいのある仕事に巡り会えるチャンスもあります。
当記事では、中小企業診断士での開業について解説していきます。
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中小企業診断士とは?
中小企業診断士はいわゆる経営コンサルタントの一種で、中小企業を対象として、経営面についての相談に乗ったり、それぞれが抱える問題点を分析して課題解決の手助けをしたりします。
中小企業診断士は、独占業務のない「名称独占資格」と呼ばれる種類の資格であり、この資格がなくても、経営などに関するアドバイス業務自体を行うことは可能です。ただ、資格がなければ中小企業診断士と名乗ることはできませんし、国が認めた唯一の経営コンサルタントの国家資格ですので、資格取得することで自身の能力を客観的に証明することができます。
中小企業診断士になる為には?
中小企業診断士になるには、中小企業診断会の主催する試験を受ける必要があります。試験に合格した後、3年以内に指定の実務補習を受講するか、または15日間以上実務に従事すると、経済産業省への登録が可能となり、晴れて中小企業診断士と名乗れるようになります。
中小企業診断士試験の受験要件はなく、学歴や年齢を問わず、誰でも試験を受けることができます。ただ、試験で問われる内容は、経済学や経営理論、財務・会計などですので、大学などでそれらを学んだ経済学部や経営学部出身者は、基礎的な知識がある分、有利かもしれません。
中小企業診断士の顧客先は?
中小企業診断士での独立とは、どこかの組織に属さず、複数の企業とコンサルタント契約を締結して、それぞれの経営診断にあたります。
また、中小企業診断士の資格を取得することで、商工会議所や都道府県などから仕事を受注することも可能になりますので、公的な業務を仕事の柱としている中小企業診断士も少なくありません。
開業する場合の手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
実務経験は必須
業務未経験の中小企業診断士も存在しますが、なかなか上手くいかないのが実情です。独立して成功するためには、企業勤務等で実務経験を積んでから独立するのがおすすめです。会社組織のなかで働くことを経験していれば、中小企業の経営支援を行うときに、組織や人という観点で物事をより現実的に考えることができます。
中小企業診断士は人とのつながりが大切な仕事なので、企業にいるうちにネットワークを作っておけば、独立したときに情報が入ったり仕事にもプラスにはたらくといえます。
中小企業診断士の独立に役立つ資格
ダブルライセンスに有効な主な資格は次の通りです。
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・税理士
・公認会計士
・情報処理技術者
・社会保険労務士(社労士)
・司法書士
・弁理士
・行政書士
中小企業診断士だけではできないことを他の資格でカバーすることができたり、他の資格の専門性を組み合わせることで多角的なコンサルティングを行うことができるようになります。また、上記の資格はいずれも独占業務を持っているので、独占業務を集客のきっかけとして利用できる点も魅力的です。それぞれの資格がもつ強みを意識して仕事に活かしていくことが大切です。
まとめ
長引く景気低迷のあおりを受け、業績悪化に苦しんでいる中小企業は決して少なくありません。また、経営者の高齢化や労働人口の減少などもあって、中小企業の抱える問題は多く、今後、中小企業診断士が必要とされる場面はますます増えてくると予想されます。
現状では、そこまで世間一般に知名度の高い資格とはいえませんが、ビジネスマンを対象とした調査では最も取得したい資格に選ばれるなど、中小企業診断士の注目度は高まりつつあるといえます。