フィットネスジムでの開業について

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フィットネスジムは、独立・開業が特に多い業界です。雇われの身でインストラクターとしてある程度経験を積んだ後に、自分のフィットネスジムを開業したいと考えている方も多いのではないでしょうか?

今回は、フィットネスジムでの開業について解説していきます。

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フィットネスジムの業態

まずは、どんなタイプのフィットネスジムを開業するのかを決めましょう。それによって、開業までに必要な資金や大切なポイントが変わってきます。主だったフィットネスジムについて、それぞれの特徴や大切なポイントをお伝えします。

無人型

マシンの利用がメインで、24時間営業を行うことも多いタイプです。一般的にフィットネスジムと言えばこのタイプを想像する方が多いのではないでしょうか?無人型といっても、24時間完全無人で運営するタイプや、日中はスタッフを置いておき夜間のみ無人で運営するタイプなど様々なタイプがあります。

基本的には自由にマシンを使ってもらうだけですので、一度開業してしまえばスタッフがいない時間でも運営でき、チラシを配っているだけでもある程度集客も期待できるなど、運営を持続しやすいのが特徴です。

マシンの購入や物件の家賃など初期にかかるコストは大きめですが、一度に利用できる会員数が多く、利益が上がりやすいタイプです。場所の選定さえしっかりしておけば店舗を増やすのが容易なのもポイントです。1人当たりの月会費は7,000円~10,000円程度が相場のようです。

パーソナル型

マシンの利用ではなく、トレーナーによる指導をメインの価値提供としているタイプのフィットネスジムです。最も有名なのはライザップです。しっかりとマシンを用意して無人型と同等の施設を用意することもありますが、昨今はマシンの数を少なめにして小規模な店舗で開業するスタイルが多いようです。

無人型に比べるとコストを低く抑えることができ、トレーナーとしての経験があれば手軽に開業できるのがポイントです。ライザップが2か月間で約40万円という料金で提供しているように、1人の会員が支払う料金はかなり高め。相場としては1レッスン1万円前後に設定している方が多いようです。

施設側にかかるコストが低く1会員あたりの料金は高額なため、利益率としては高くなりますが、その分会員一人ひとりにしっかりと目を配る必要があるため、人的なコストは大きくなります。また、会員にしっかりと信頼してもらうためにはトレーナーとしての確かな実力も必要になるため、多店舗展開の難易度は高めです。

オンライン型

特定の店舗を持たず、画面上で配信するレッスンを視聴しながら、会員は自宅でトレーニングを行います。パーソナルトレーニングのようにマンツーマンでレッスンを行うパターンや、会員限定の動画を配信するパターンなど様々なタイプが存在しています。店舗やマシンが一切必要ないため、開業にかかるコストは非常に低く、その気になれば今すぐにでも開始できる手軽さが魅力です。配信型のサービスであれば人的コストも非常に少なく済みます。

しかし、店舗という概念が無い分、集客の面においては全てのオンラインフィットネスが競合となってしまうため、会員を集める難易度は高くなります。また、直接コミュニケーションをとることが少ない分会員の継続率も低くなりがちですので、たくさんの会員を集め、続けてもらうという点ではしっかりと工夫をしていく必要があります。1人当たりの月会費にはかなりばらつきがありますが、比較的安価な3,000円~5,000円程度で運営していることが多いようです。

おススメの資格とは?

まず資格の前にフィットネスジムを開業する場合、フィットネスインストラクターとして経験を積んでおいた方が良いでしょう。ちなみにフィットネスインストラクターとは、スポーツジムやフィットネスクラブなどの利用者に対してトレーニング機器の利用方法の指導やスタジオレッスンのお手本など、利用者の目的に合った身体作りや健康増進のサポートを行う人のことを言います。利用者はスポーツに精通した人だけでなく体力をつけたい年配の方やダイエットしたい若者まで、老若男女問わず様々な人がいます。それらの利用者一人ひとりに合うサポートを行うために、様々な業務を行うことになります。

資格については、NESTAが主催するPFT(パーソナルフィットネストレーナー)資格をおススメします。身体に関する専門的知識や実践的技術、ビジネススキル等プロフェッショナルとして不可欠な総合的な知識・技術を学ぶことができる試験です。受験要件が多いため受験までの道のりが長く、資格の有効期限も4年に定められており、更新をするには講習を受ける必要があります。その理由は当資格が国際的に信頼を得ていることにあるでしょう。

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開業する場合の手続き

個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。

法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。

物件選びの確認点

フィットネスジム開業の物件選びをする際には、以下の3つを必ず確認しましょう。

開業を許可している物件か

不特定多数の人が出入りすること、大きな器具の設置やトレーニングに伴う騒音の関係から、開業を許可していない物件も多くあります。無許可で開業してしまうと強制退去の可能性も高いので、事前に必ず確認しましょう。

荷重計算

大きな器具を設置する関係から、床の耐久性はとても重要です。物件選びの段階ではRCやSRC、築年数が浅い、1階の部屋を選択する、物件契約後であれば1ヵ所に大きな器具や高重量のプレートなどを集中して置かないなどの配慮をしましょう。

防音対策

荷重計算とも関係が深いですが、RCやSRCの物件を選ぶ、1階でさらに角部屋を選ぶ、必ずフロアマットを設置するなどの配慮を行いましょう。

フィットネスジムを開業・経営するコツとは?

経営者となるからには費用対効果を最大限発揮してローコストハイリターンで収益を上げることを第一に考えるべきです。そこで、フィットネスジムの開業にあたって、開業・経営するコツを紹介します。

顧客獲得を考慮した立地選びをする

まず、大切なことは立地選びです。開業候補地周辺の交通アクセスは利用者数の増減に大きく影響します。駅やバス停といった公共交通機関への徒歩での所要時間や近隣に空いている駐車場があるかなどをしっかりと確認しましょう。また、駅や駐車場から近くても道が狭く入り組んでいたり、治安の悪い場所を通ったりしないといけない場所は向いていません。

気軽にアクセスできる場所でなければ利用者数は増えないので、気を付けてください。できれば、通り道にアーケードがある場所や商業施設内の店舗など、乗り物から降りても雨に濡れずに通える場所であるとよいでしょう。開業予定地を選ぶときは徹底的に利用者目線で選ぶことが肝心です。

最初はスモールスタートする

フィットネスジム経営において、トレーニング器具の出費はかなり大きいものです。そのため、開業時においてはできるだけ余計なコストをかけないためにも、必要最低限のものを購入してスモールスタートしましょう。トレーニング器具はさまざまな種類があり、利用者の年齢層やトレーニングをする目的によって必要なものが異なります。

そのため、最初からたくさん揃えておいても、利用する人達のニーズと違ってしまい失敗する可能性もあります。開業後に利用者ニーズを把握したうえで徐々に器具を増やしていく方が無難です。

居抜き物件でコストを抑える

フィットネスジムの場合、カフェやバーといった飲食店とは異なり、内装にはそれほどこだわる必要はありません。ジムはトレーニングをするための場所なので、オシャレな内装にしたからといって利用者を増やす効果はそれほど期待できないのです。そのため、ローコストで開業する場合には、可能な限り内装費を抑えましょう。

内装費を抑えるのに最も効率的な方法は、いわゆる居ぬき物件です。前のジムのレイアウトをそのまま使うこともできるので、内装費用を大幅にカットできます。

ターゲットに合わせたプランを揃える

費用対効果を最大限に発揮したいなら、ターゲットとなる利用者をしっかり調査してその人たちがよく使いそうなマシンや料金体系を用意することです。例えば、サラリーマンがよく利用しそうなオフィス街にあるフィットネスジムでは、「平日の夜7時から9時まで」といった具合に曜日や時間限定で割引くプランを用意するという方法もあります。

逆に年金生活者の高齢者をターゲットにする場合は「昼の時間帯」に限定したプランを用意するのもよいでしょう。この方法は利用者における特定のターゲットが多ければ多いほど効果があります。ただし、しっかりとした調査に基づいて行わないと、逆効果になる可能性もありますので気を付けてください。

開業資金の目安

それぞれのフィットネスジムタイプによって開業資金の目安は変わってきます。

無人型(1,500万円~2,000万円程度)

マシンの利用がメインの無人型フィットネスジムの場合、開業資金の大部分がマシン代に充てられます。また、比較的広いスペースを確保する必要があるので、物件の賃料も相応にかかってきます。どの程度の開業資金がかかるかは坪数や開業する土地の価格にもよってきますが、フィットネスジム用のマシンは1台で数十万円するものがほとんどのため、ある程度会員数を抱える前提で考えた場合は1,500万円~2,000万円程度は用意する必要があると言われています。

初期費用はかなり高額になりますが、ランニングコストは基本的に家賃・光熱費のみなるため一度開業してしまえば運転は比較的安価にできるのが特徴です。

パーソナル型(300万円~500万円程度)

パーソナル型の場合高額なマシンを大量に購入する必要は無いので、初期費用の大半は物件の契約・改装に必要な費用となります。マイクロジムと呼ばれる小規模な店舗であれば大きな敷地も必要なく、家賃15万円程度の物件で運営できると言われています。

最低限の店舗であれば賃貸契約の初期費用120万+内装費用50万+マシン数台で100万、軌道に乗るまでの運転資金として80万円ほどあれば十分に開業可能でしょう。

オンライン型(10万円~50万円程度)

オンライン型の場合は物件もマシンも必要ないため、大きな開業資金は基本的に必要ありません。どちらかと言えな、プロモーションを行う際の広告費の方がコストになるでしょう。オンライン型で初期費用がかかるとすれば、撮影・配信環境を整える費用になります。

最も安価に始めるのであればPC付属のマイクやカメラを利用してもいいですが、お金を払ってもらう以上はできればしっかりとしたビデオカメラとマイクを用意したいところ。10万~20万程度かければ十分良い音質・画質の機材を用意することはできます。ライブ配信やマンツーマンレッスンを行う場合はPCや通信環境の整備も大切です。

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開業資金をどこから調達すればいいのか?

開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。

一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。

創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。

信用保証付の融資

「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。

手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。

親族、友人・知人からの借入

親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。

その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。

フィットネスジムを開業する前に必ずジムのコンセプトを固めておきましょう

フィットネスジムを開業する前に必ずジムのコンセプトを固めておくことが大切です。そのために調べておきたいことが、マーケティング用語で3Cと呼ばれる以下3つです。

    ・Customer(カスタマー):市場・顧客
    ・Competitor(コンペティター):競合
    ・Company(カンパニー):自社

    出店希望のエリアにはどんな方がいて、どんなサービスが求められているのか?同じエリアの競合他者はどこか?そのうえで、自身の強みや提供できるサービスはなにか?何で競合他社との差別化を図るのか?これらを事前に調べておきましょう。これらができるとオンリーワンになれるので、お客様から選ばれます。逆にできていないと、価格競争でしか勝負ができなくなってしまいます。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか?今回は、フィットネスジムでの開業について解説しました。

    健康対策や美容対策のために年代を問わずフィットネスジムの利用者は年々増えています。気軽に利用でき高い効果を期待できる点もメリットであり、今後も需要は高まると予想されます。

    より開業資金を抑えたいという方は、充実したサポートが受けられるフランチャイズ制度を利用してフィットネスジムの開業を目指してみるのも経済的な負担を軽減して憧れのオーナーになる賢い方法といえるでしょう。

    より詳しい情報や起業・開業に役立つ情報は「起業のミカタ(小冊子)」を無料で贈呈していますので、合わせてお読みください。

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