鍵師での開業について

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職人的な要素の強い鍵師は、独立開業して働く人も非常に多いです。鍵師の仕事は、お客さまから電話やメールなどで依頼を受けて、現場に赴く出張型のスタイルが基本となります。現場では個人作業がほとんどですし、わざわざ店舗を持つ必要もないため、比較的開業しやすい職業といえるでしょう。

そこで今回は、鍵師での開業について解説していきます。

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鍵師が独立開業するまでのキャリアパス

鍵師が独立を目指す場合、まず鍵師を募集している会社に就職し、鍵師としてのキャリアを積みます。鍵師として独立するには、専門知識や技術が必要であることは言うまでもありません。まずは先輩から知識や技術を習い、一人前になることを目指します。その後、実力と自信がついてきたら、独立を考えます。

独立するには、まったくの個人で開業する方法と、大手チェーンなどのフランチャイズ・代理店として独立する方法の2種類があります。個人で開業する場合は、比較的自由度の高い仕事ができますが、営業などに力を入れ顧客を獲得する努力が必要です。フランチャイズや代理店で働く場合、企業の看板があるため比較的お客さまを獲得しやすいメリットがありますが、契約金が高くなるというデメリットもあります。

鍵師の業務の内容

鍵師の業務の内容とはどんなものなのか、説明していきます。

合鍵づくり

ホームセンターや駅などの一角で見かける鍵屋では、主に「合鍵を作ってほしい」というニーズに応えています。

鍵のトラブルに対処

鍵屋の腕が本当に発揮されるのは、鍵のトラブルが起こった場合です。鍵穴に何らかの異物が詰まってしまったり、お客さま自身が鍵を無くしたり盗まれたりしたりした場合に、鍵師は特殊な道具を使って新しい鍵を作成し開錠します。

また車エンジンキーを車内に置いたままドアを閉めてしまういわゆる「インキー」が起きた場合には専門技術によって鍵を開けるなど、その都度適当な道具を使い対処します。

開錠工具は素人は使えない?

鍵師のピッキングツールは、一歩使い方を間違えれば罪を犯す道具にもなってしまうため、鍵師以外が特殊な開錠工具を持つことは法律で禁止されています。

平成15年9月1日に「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」が施行され、その中で「業務その他正当な理由による場合を除いては、特殊開錠用具を所持してはならない」と定められています。覚せい剤などと同様、道具を安易に他人に売ったりすると、売り手も買い手も罰せられるため注意が必要です。解錠工具、そして解錠技術は、使い方によっては悪質な犯罪を引き起こすものにもなりかねません。

そのため、鍵師の情報や技術は一般公開されることはなく、本気で鍵師を仕事としてやっていきたい人のみが、業界内の人脈や講座などを通じて得られるようになっています。

鍵師の資格

鍵師になるために絶対に必要とされる資格はありませんが、知識や技術を有していることを証明する資格として、日本鍵師協会が認定する「鍵師技能検定試験」があります。この検定試験に合格することで「公認鍵師資格所持」とアピールできるため、お客さまからの安心感や信用度の面では有利になるでしょう。

なお、「鍵師」は日本鍵師協会の登録商標となっており、正確には、この技能検定で認定された人以外が「鍵師(「錠前師」「カギ士」等も含む)」と名乗って鍵関連の仕事を行うことは禁止されています。

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必要な開業資金

独立開業をするにあたって必ず準備しておくべきものは、開業資金です。誰もが最初から安定して稼げるようになるとは限りません。個人で働く鍵屋は、直接エンドユーザー(お客さま)を相手にします。また「鍵の紛失や破損」といった鍵のトラブルはそうそう発生するものでもないため、どうしてもリピーターを望みにくい面があります。つまり、鍵屋が安定して収入を得続けたいのであれば、自分でどんどん新しいお客さまを開拓していくしかありません。

開業時に必要となるのは、作業をするための道具一式や出張用の車くらいですが、宣伝費のことなども考え、300万円~500万円程度は用意しておいたほうがよいとされています。

開業資金をどこから調達すればいいのか?

開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。

一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。

創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。

信用保証付の融資

「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。

手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。

親族、友人・知人からの借入

親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。

その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。

まとめ

鍵師の仕事は一人でもできる仕事です。また、お客さまのもとに出張して仕事をすることが大半なため、オフィスや事務所などを構えなくても、道具さえあれば開業できます。開業のために必要な道具や場所などが少なく、費用もやすく抑えられるため、独立のためのハードルが低いといえます。

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