現在、個人消費の低迷やレジャーなどの多様化により、カラオケボックスの施設数は減少していますが、ストレスの発散、歌唱力向上、忘年会や新年会の二次会や三次会などでの利用など、ニーズは沢山あります。
今回は、カラオケボックスでの開業について解説していきます。
カラオケボックスの基本と現状
カラオケボックスは、独立性の高い空間でカラオケが楽しめるようにしてある娯楽施設です。
基本
カラオケボックスの料金は利用人数と時間帯、利用時間に応じて請求するのが一般的です。一般に閑散時間帯である平日夕方までは割安である一方、休日や夜は高めに設定しており、特に年末年始やお盆といった繁忙期はさらに割高な価格に設定している所が多いです。また会員割引や学生割引を始めとする様々な割引サービスを設定しており、フリータイムと呼ばれる入室後指定された時間まで部屋料金が一定額のコースも用意しています。
現状
通信カラオケの誕生から約30年、最近では動画撮影をしてネット上で公開したり、オーディション参加、ひとりで楽しむ「ヒトカラ」の流行など、使用用途も多様化しています。音楽の好みも多様化しており、現在では新曲を歌っても周囲が盛り上がりにくい現状があります。
カラオケボックスでの開業に必要な手続き
まず、そもそもカラオケボックスを営業する上でのカラオケ営業許可というものは存在しません。街中にあるカラオケ店はほとんどが飲食店の営業許可を取得してます。カラオケボックスに行くと必ず飲み物や食べ物のメニューがあります。飲食を提供する場合、食品衛生法に基づく営業許可が必要になります。申請先は出店地の住所を所管する保健所の食品衛生課になります。そして食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられています。また、深夜(午前零時から日の出まで)の酒類提供食品営業とされる場合には、警察署経由で、都道府県の公安委員会に届出る必要があります。
ちなみに著作権のある楽曲を営業に使うには「一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)」に利用申請をして利用料を支払わなければなりません。利用料は一部屋単位の月払いで何人入る部屋なのか、営業する際の1時間当たりの料金はいくらかにより決定します。
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
上記以外にも様々な手続きを要する可能性もあるので、事前に地方公共団体などに個別に確認しておきましょう。
カラオケボックスで開業をする際の留意点
カラオケ店の売上は、出店エリアで大きく変わるため、開業前の市場調査を抜け目なく行なうことが大切です。たとえばスナックのような地域密着型の店舗を開業するのであれば、ビジネス街などの人の流れが速い場所よりも、リピーターの獲得が見込める住宅街に開業するほうが安定した売上は期待できるでしょう。これから開業する店舗の特性を考慮して、「この場所に開業して、本当に多くの客が見込めるか」をよく考えるようにしてください。
そして現在、通信カラオケがほとんどの店で導入されており、機材による差別化は困難です。しかし施設面での魅力向上・差別化は可能ですので、工夫が必要です。施設面以外では、サービスや提供する飲食の強化が重要です。サービス向上のためには接客に対するアルバイトの意欲を高め、マニュアルなどを作成することが有用になります。その他、カラオケボックスは繁閑のある業種でもあるため、ランチ提供や昼間割引などの稼動率向上も検討するとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、カラオケボックスでの開業について解説しました。
老若男女すべての世代が気楽に楽しめるカラオケボックスですが、カラオケボックス施設数は、年々減少しており、従来のように黙っていても客が入ってくる時代は終わり、各店の創意工夫が求められる時代になってきています。