年々採用が難しくなっている今、欲しい人材を確保するためには、多くの求職者に自社の魅力や働くことによって得られるメリットなどを正確に伝え、求職者の興味関心を引き、応募意欲を高める必要があります。
そして求人票作成には、法律で明示する項目が定められていたり、良い人材を獲得するために工夫しなければならないなど、複数のポイントなどがあります。
今回は、求人票の必須項目や作成ポイントについて解説していきます。
目次
そもそも求人票とは?
求人票とは、採用活動を行う際、求職者へ向けた自社の募集要項を記載した、求人掲載を申し込むための書類です。
公共職業安定所(ハローワーク)や民間の人材紹介会社、人材派遣会社、そして大学・短期大学・専門学校などの就職課に提出するものです。
明示必須項目について
職業安定法により、求人票には必ず記載しなければならない労働条件が定められています。
《求人票に必ず記載しなければならない項目》
・①業務内容
・②契約期間
・③試用期間
・④就業場所
・⑤始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日
・⑥賃金の額
・⑦健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険など加入保険に関する情報
・⑧募集者の氏名または名称
・⑨雇用形態(派遣労働として雇用する場合)
④「就業場所」について、裁量労働制を採用している場合は、「企画業務型裁量労働制により、0時間働いたものとみなされます。」といった内容を記載する必要があります。
また、⑤「始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日」について、時間外労働の有無に関わらず一定の手当を支給(いわゆる「固定残業代」)する場合も、その旨正確に記載する必要があるので注意しましょう。
以上は、2018年1月に改正された職業安定法によるものです。最低限明示する内容は今後も変化する可能性があるので、厚生労働省のホームページなどから、最新の情報を随時確認すると良いでしょう。
求人票に絶対書いてはいけない「記載NG」内容とは?
労働者保護の観点から、求人票の記載には記載表現に制限があります。求人票を書くにあたって重要な「法的制約」「法的に避けたい表現」「受け取り側が不快になる表現」を確認し、作成する際は注意しましょう。
性別を限定する表現
性別に関わりなく平等な雇用の機会を設けるため、「雇用対策法」「男女雇用機会均等法」では男女いずれかを限定するような表現を禁止しています。
年齢を限定する表現
年齢に関わりなく均等に雇用の機会が与えられるようにするため、年齢の制限は「雇用対策法」「男女雇用機会均等法」により禁止されています。ただし、年齢制限に合理的な理由があると認められる」場合、例外として年齢制限が認められる場合があります。
差別表現
人種や居住地、身体的特徴など、特定の人々に対する「差別表現」を含む求人広告は掲載できません。また言葉だけでなくイラストなど目に入る表現も同様に注意が必要です。「使われた側の立場になって考える」ことを意識し、受け取り手が不快な思いや苦痛を感じるような用語の使用・表現は避けましょう。
最低賃金を守らない
最低賃金法により、都道府県別に時間額・日報が定められています。この金額を下回っての募集はできません。また、最低賃金は毎年10月に改訂されるため、事前に厚生労働省のHPをチェックしてください。
身体的健康
身長・体重・体型・容姿など、本人の努力で改善できないことを選考基準にはできません。身体的・精神的障害についても同様です。
外国人差別
人種・国籍・肌の色を採用条件に記載することはできません。語学力を応募資格とする場合は、経験や能力の箇所に記載するようにします。また、国籍不問という記載もNGですのでお気をつけください。
伝わる求人票の書き方
ここまでで求人票に書く必須項目やNG項目をお知らせしましたが、ここからはどのような書き方が望ましいのか、ポイントやコツをご紹介します。
業務内容は詳しく記載する
ただ「一般事務」「営業」などと記載するだけでは、実際にその企業・職種で働いたときのイメージができません。具体性を持たせ、その仕事に就いたときの自分を想像しやすい内容にしましょう。
ただ職種を記載するのではなく具体性を持たせることで求職者に刺さりやすくなります。
会社の強みを書く
市場での立ち位置・技術系の会社であれば特許・サービスとして反響が高いものなど、会社の強みを、会社概要を記載する欄に書くことも大事です。
求職票は、ハローワークだけでなく、紹介会社にも提出し、さらには少し内容を変えて、広告として提出するなど、様々な場所で活用する可能性の高い書類です。当社の強みといえばこれ、といったテンプレートを用意しておくと便利でしょう。
資格や実務経験の有無に条件があるのなら記載をする
チームリーダーやマネージャーなどを募集する際は、企業は入社してすぐにそのポジションで力を発揮してもらうことを望んでいるはずです。
そのような際は資格や実務経験についての指定をしましょう。仮に未経験の人を採用したとしても、採用された人も入社後に対応できず大変です。年齢の制限に近いと思う方もいるかもしれませんが、このような指定は差別にあたらず、企業と求職者お互いの利益になるので、ぜひ条件を具体的に設定しましょう。
福利厚生や社風の紹介を記載する
求人票に福利厚生や社風の記載は必須ではありませんが、マッチする人材を採用するには非常に大切です。福利厚生はその企業が従業員を大切にしているのか、どのような生き方をしてほしいのかという考え方を見ることができます。
そして面接で担当者や役員と会っても実際に働く現場の人や雰囲気が分かりませんので、最初からどのような雰囲気の会社か伝えておくことが双方にとってメリットになります。入社した後に雰囲気が合わないという理由で離職してしまうケースも多く、採用活動が無駄にならないように自社の情報を開示することは大切です。
まとめ
求人募集にはさまざまな法が関わっており、採用担当者は書くべき内容・書いてはいけない内容をしっかり把握しておく必要があります。自社で判断しかねる点については、ハローワークや弁護士に相談しましょう。