飲酒による事故が絶えず発生している状況から、近年道路交通法が改定され、飲酒運転には厳しい処罰が科せられるようになりました。このような現状でニーズが高まってきたのが運転代行サービスです。
今回は、運転代行サービスでの開業について解説していきます。
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運転代行サービスでの開業にあたって必要な手続きや資格
まず自動車運転代行サービスを営もうとする者は都道府県公安委員会の認定を受けなければなりません。また、「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」に基づいた事業運営をしなければなりません。この法律は「交通の安全」と「利用者の保護」を目的としています。
また、運転代行サービスを始めるためには、以下の資格を取得する必要があります。
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・普通自動車第二種免許
・普通自動車第一種免許(随伴車の運転手のみ)
・安全運転管理者
お客様の車を運転する運転手は、普通自動車第二種免許の取得が必須です。ただし、随伴車の場合はお客様を乗せることがないので、普通自動車第一種免許でも問題ありません。さらに、社内で安全運転の指導を行う担当者として、安全運転管理者を最低でも1人以上置くことが決められています。
保険加入
国土交通省によると、随行車として使う車両には「対人が8,000万円以上、対物が200万円以上の損害賠償責任保険」に加入することが義務づけられています。また、この損害賠償の措置については、お客様へサービスを提供するときに必ず伝えなければいけません。説明は書面で行う必要があるため、うっかり忘れないよう気をつけてください。
随伴車両
ただ後ろから随行するだけのように見える随伴車ですが、メーターで料金を測定したり、料金を精算したりなど細々とした業務が存在します。特に料金メーターは随伴車の重要アイテムなので、走行距離を基準に料金を測定するのであれば必ず購入しましょう。
そのほかには公安委員会認定の番号が記載されたステッカーや、運転代行車だと周囲に知らせるための行灯などを用意しなければいけません。随伴車関連備品の多くはネットショップやホームセンターで気軽に調達でき、値段は数千円~数万円のリーズナブルなものがほとんどです。
運転代行サービスの開業必要な費用
はじめに、運転代行の開業に必要な「初期費用」と「運営資金」について紹介します。
初期費用
運転代行の開業に必要な初期費用は、約100~300万円程度になります。
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・車両代:50~150万円
・車両設備費:20~70万円
・認定証の申請費:1.2万円
・広告宣伝費:10~20円
主な費用には、車両代、車両設備費、認定証の申請費、広告宣伝費などが挙げられます。運転代行業には店舗物件や大型設備が不要なことから、実店舗型ビジネスと比べて初期費用は安めです。また、運転業を始めるための申請費として手数料が1.2万円かかります。そのほかには、開業前にチラシを配ったり、公式サイトを開設したりなど、集客のための広告宣伝費も必要になります。
運営資金
運転代行の開業に必要な運営資金は、1ヵ月あたり約30~50万円程度になります。
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・ガソリン代:5~10万円
・駐車場代:2~5万円
・保険代:0.5~1.5万円
・人件費:20~30万円
・広告宣伝費:5~10万円
主な費用には、ガソリン代、駐車場代、保険代、人件費、広告宣伝費などが挙げられます。運転代行業の運営資金は随伴車関連がほとんどです。賃貸料や仕入れ費が発生しないためほかの業種と比べてかなり安く、また地方で事業を始めるのであれば、駐車場代や人件費をさらに抑えられる可能性があります。
運転代行サービスに必要なスキル
運転代行サービスにはコミュニケーション力やトラブル対処力が求められます。特に顧客は酔客相手の事が多いため、対人スキルが求められます。車両に傷がついたとか汗やタバコの臭いがついた等トラブルは日常的に起こります。併せて車両やタイヤの大きさ・トリプルメーターやタイヤの空気圧によって同じ距離を走っても距離が毎回異なるケースも多く、常連の客が付いている場合にはその辺りの説明の徹底も必要です。
また随伴で前には利用客の車が走ることになるため、その車との連携も大切です。車間距離を保ちながら追突や信号無視等をせず事故を起こさないように注意して運転をしなければなりません。合間を見て日報を書いたり無線に応答するといった雑務もありますし、特に運転代行では通った事のない慣れない道を運転する事になりますので、運転に自信がある人に向いています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、運転代行サービスでの開業について解説しました。
飲酒運転等を考えると運転代行は社会貢献度の高いビジネスでもありますが、事業として考えた場合には今後は他社との明確な差別化が必要になってくるでしょう。利用客のニーズを汲み取り、自分なりの集客方法を考えていくことが必要になってきます。