「履歴事項全部証明書」とは、会社の現在効力のある項目を含む登記事項の履歴がすべて記載された証明書です。
今回は、「履歴事項全部証明書」の取得方法や必要な場面について解説していきます。
※この記事を書いているVector Venture Supportを運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、会社設立などの情報を詳しく解説していますので、起業・開業を検討している方は、是非参考にしてください。
目次
履歴事項全部証明書とは?
履歴事項全部証明書とは、会社について書かれた登記事項証明書の一種で、現在効力をもっている登記事項、および基準日以降に抹消された履歴をすべて記載した書類です。履歴事項全部証明書は、法務局にて保存されており、誰でも閲覧できるほか、申請すれば600円程度で取得できます。
登記事項証明書とは?
上記で、履歴事項全部証明書は、会社について書かれた登記事項証明書の一種とお知らせしましたが、登記事項証明書とは、法務局へ登記されている事項を証明した書類のことです。不動産や会社法人といった登記事項が記されています。「現在事項証明書」や「履歴事項全部証明書」などの種類があり、証明したい事項によって適切な書類を選択し、閲覧・取得します。
現在事項証明書
現在の会社の情報を証明する書類です。会社名や住所、会社の設立年月日などの基本的な情報と、現在の代表取締役、取締役、監査役などの役員と、その就任年月日が書かれています。
履歴事項証明書
現在事項証明書の内容に加えて、3年前までの履歴が掲載されている証明書です。
閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書には、吸収合併などの履歴も加わります。
代表者事項証明書
会社の代表者の事項に特化した証明書です。
履歴事項全部証明書の記載内容について
履歴事項全部証明書に記載される内容は、以下の通りになります。会社の住所や代表者名など、会社に関する基本的な内容を網羅しています。
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・会社名
・法人番号
・商号
・本店所在地
・設立年月日
・会社設立の目的(事業内容)
・資本金
・役員情報
・公告方法
・発行可能株式総数
・発行済株式の総数・種類
・株式を発行する旨の定め
・株式の譲渡制限に関する規定
・取締役会設置会社に関する事項
・監査役設置会社に関する事項
・登記登録に関する事項
履歴事項全部証明書には、3年前の1月1日から現在に至るまでの変更履歴が記載されています。それより前の登記情報は有効な情報として扱われないため、「閉鎖事項全部証明書」の請求によって処理する必要があるため注意しましょう。
履歴事項全部証明書の有効期限は?
履歴事項全部証明書を取得するには、法務局に出向くなどの手間がかかります。そのため、複数枚をまとめて取得しておきたいと考える方もいらっしゃいますが、一般的には有効期限があるため、時間が経つと使えなくなります。履歴事項全部証明書の有効期限は、基本的に提出先で決まっています。「発行から3か月以内の履歴事項全部証明書を添付してください」などの説明があります。
履歴事項全部証明書と登記簿謄本との違い
提出書類に「履歴事項全部証明書」又は「登記簿謄本」と記載されていて、どちらを提出すればいいのか、何か違うのか、分かりにくいと感じたことがある方が多いのではないでしょうか。「履歴事項全部証明書」と「登記簿謄本」の違いについて、まずは「登記簿謄本」についてご説明します。
以前は紙ベースの「登記簿」に登記事項を記載しており、そのすべて謄写したものを「登記簿謄本」と呼んでいました。その後、コンピューター化により登記簿は電子化され、登記事項の全履歴をプリントアウトできるようになりました。プリントアウトしたものが「履歴事項全部証明書」です。
あくまで「登記簿謄本」はデータとしてあるだけなので、プリントアウトした段階で「履歴事項全部証明書」などに名称が変わります。
履歴事項全部証明書は誰が取得できるのか?
会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は所定の手数料を支払うことで誰でも取得することができます。その会社に所属していない人でも気になった会社の登記情報について知りたいと思ったら取得することが可能になります。
履歴事項全部証明書の取得方法とは?
履歴事項全部証明書の取得方法は、以下3通りになります。
法務局の窓口で交付請求
基本的に会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)はどこの法務局でも取得可能です。都道府県にいくつか法務局があるので、最寄りの法務局を検索してみてください。
法務局は平日の8:30-17:15のみ開いています。(土日祝日及び年末年始はお休みです)窓口交付であればすぐに交付を受けることが可能なので、急いでいるときは窓口交付おすすめです。請求する際には、交付申請書に必要事項を記載の上、法務局の窓口で提出をします。法務局に備え付けてありますが、法務局のHPからもダウンロードすることが可能です。
また、法務局によっては証明書発行請求機が置いてある法務局もあるので、発行請求機を利用して請求することもできます。発行請求機の方が待ち時間が少ないうえに、申請書を書く必要がありません。操作方法が分からない場合は、法務局の職員に確認をしてみてください。
郵送請求
交付申請書をダウンロードし、必要事項を記載の上、必要な分の収入印紙を貼付けて法務局に送ります。郵送する際には、「申請書交付在中」と封筒に書き、上記申請書と返信先住所を記載した返信用封筒を同封して最寄りの法務局宛に送ります。数日後に法務局より郵送されてきます。
オンラインでの請求
法務局の窓口や郵送での請求以外にオンライン上で請求も可能です。オンライン上で会社の登記簿謄本を請求した場合は、指定した法務局の窓口で交付を受けることができる他、指定した送付先に郵送請求することも可能です。郵送の場合にもこちらから返信用封筒などを送る必要もありません。オンライン上で郵送請求をした場合は、到着まで2、3日ほどかかりますが、急いでなければおすすめです。
オンライン上で登記簿謄本を請求する場合は、以下「登記・供託オンライン申請システム」から交付請求することができます。
こちらを利用する場合は手数料はネットバンキングから納付することができます。
履歴事項全部証明書の取得手数料とは?
会社の登記事項証明書を取得する際の手数料は下記の通りです。
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・法務局の窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合:600円
・オンラインで請求し、証明書を郵送にて受け取る場合:500円
・オンラインで請求し、証明書を法務局で受け取る場合:480円
※上記、全て1通の手数料
オンラインを使わない窓口請求や郵送請求は600円と固定ですが、オンラインでの請求の場合は、法務局で交付を受けるか、郵送で送ってもらうかによって少しだけ値段が変わります。
履歴事項全部証明書が必要な場面
履歴事項全部証明書は様々な場面で必要になります。
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・銀行融資依頼時
・補助金・助成金申請時
・オフィス賃貸契約時
・会社移転時 等
「履歴事項全部証明書」を含む「登記事項証明書」が必要になる場面になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、「履歴事項全部証明書」の取得方法や必要な場面について解説しました。
履歴事項全部証明書は必要な場面が多いので、取得方法等改めて確認し、必要な場面で活用できるようにしておきましょう。