近年話題になって人気も高まり、シェアを確実に増やしてきたのがシェアハウスです。
今回は、シェアハウスでの開業について解説していきます。
目次
シェアハウスビジネスの特徴
シェアハウスは、1つの賃貸物件を複数の入居者に貸し出し、家賃収入を得る業態です。中古の一戸建をシェアハウス用にリノベーションした物件が多く、リビング、キッチン、トイレ、浴室、洗面所等は共用となっています。1人に1軒を貸す場合に比べ1人当たりの家賃は割安ですが、複数人から家賃が得られるため空室リスクを回避できるメリットがあります。
開業形態にもよりますが、自身で物件を所有した場合はリフォームやリノベーション、家具・家電の準備等で、かなりの初期費用が必要となります。シェアハウスを作ることや管理・運営することに必要な資格はないですが、経営を成功させるには、マーケティング、不動産、経営上の基礎知識などが求められます。
シェアハウス経営形態
シェアハウス経営には大きく分けて以下の形態があります。それぞれ開業前に準備すべきことや、業務内容が異なります。
・自分で物件オーナーになり、管理も自分でする
・自分で物件オーナーになり、管理は委託する
・物件オーナーにはならず、管理のみ自分がする
準備できる開業資金や、シェアハウス運営に費やせる時間を判断基準に、上記3つの中から、どの方法で開業するかをまずは固めましょう。
自分で物件オーナーになり、管理も自分でする
こちらは、一戸建てを購入、もしくは賃借し、シェアハウス用にリフォームした後、入居者に貸しだすという方法です。物件オーナーになると、初期費用と毎月の支出額が大きくなります。一方で、管理会社への委託費がかからない分、リターンが最も大きくなります。
自分で物件オーナーになり、管理は委託する
こちらは、一戸建てを購入、もしくは賃借し、シェアハウス用にリフォームした後、管理会社に集客や運営を委託し、入居者に貸しだすという方法です。物件の購入や賃借にかかる費用に加え、管理会社への委託費用もかかるので、他の方法と比べて最も費用がかかります。一方で、物件さえ用意できれば、あとは全て管理会社が管理・運営してくれるので、最も手間がかからない方法になります。
物件オーナーにはならず、管理のみ自分がする
こちらは、保有している物件をシェアハウスとして活用したいと考えている物件オーナーから、物件の管理・運営を受託する方法です。
上記2つの方法に比べるとリターンは低いですが、物件を持たない点でリスクは低く、毎月安定したリターンを得る事ができます。ただ、物件オーナーから管理・運営を受託するためには、過去の実績とノウハウが必要になるので、初心者が個人で0から始めるのは難しいです。
必要な資格や免許
管理会社に任せずにオーナーがシェアハウスを自主管理する場合は、不動産関係の免許や資格は必要ありません。
シェアハウスとなる物件については建築基準法から逸脱してはいけません。2019年6月に施行となった改正建築基準法により、既存の建物をシェアハウスに転用する場合の規制が緩和されました。延べ面積200m²未満かつ3階建て以下の戸建て住宅であれば、耐火建築物にする必要はなく、200m²未満であれば用途変更の建築確認申請は不要です。ただし、自治体によっては規定や条例により異なる部分もあるので確認が必要になります。また、消防法などの関係規定については従前のままであるため、防火や避難などに関して設備や器具の設置、届け出等が必要になる場合もあります。
ちなみに免許や資格が必要になるのは、他人の不動産を「仲介(媒介)・代理」するときです。管理会社(不動産会社)がオーナーと入居者の契約を「仲介」したり「代理」したりする業務です。仲介(媒介)を行う会社は、宅地建物取引業(宅建業)の免許が必要になります。また契約時には、宅地建物取引士(宅建士)による「重要事項説明書」の説明(署名・捺印)と交付が必要になります。
開業する場合の手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
収益化する為には
1軒を1人に貸す場合よりも高い賃貸料収入が見込める上、空室リスクが低いという利点はあるものの、1軒のみでは本業として成立させるのは難しく、収益向上には複数の物件を経営する必要があります。事業拡大に当たっては、工事や設備面での投資や管理会社への業務委託など、さらなる費用が必要となり、金融機関からの融資も含め綿密に計画することが求められます。
1軒ごとの収益を上げる手段としては、空室期間をできるだけなくすことのほか、将来的には家賃の値上げも考慮に入れる必要があります。後者についてはターゲットとなる顧客層の動向を見極めつつ、慎重に判断することが重要になります。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
シェアハウスのような不動産事業は、個人で融資を受けることが難しい場合があります。その場合、法人設立をし申し込むのも手です。所得が増えた場合には法人の方が支払う税金も少なくてすみますのでメリットがあります。