当記事では、ツアーコンダクターでの開業について解説していきます。
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ツアーコンダクター開業タイプ
自身で旅行会社を開業する場合の開業タイプは、登録業種により大きく5つに分類されます。なお、旅行業では、事務所はすべて営業所と称されています。
第1種旅行業
国内外の募集型企画旅行及び受注型企画旅行、手配旅行の取扱いが可能なタイプになります。幅広い範囲での業務が可能です。
第2種旅行業
国内のみの募集型企画旅行、国内外の受注型企画旅行、手配旅行の取扱いが可能なタイプになります。
第3種旅行業
国内隣接市町村などの募集型企画旅行、国内外の受注型企画旅行と手配旅行の取扱いが可能なタイプになります。実際の取り扱い額の比率は、手配旅行が最も多く8割以上を占めており、次いで、募集型企画旅行が残りを占めています。現在、最も事業所数の多い業態です。
地域限定旅行業
国内隣接市町村などに限定された募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行の取扱いが可能なタイプになります。実際の取り扱い額の比率は、募集型企画旅行が最も多く6割程度を占めており、次いで、手配旅行が2割強、受注型企画旅行が1割程度を占めています。創設されたばかりのタイプであり、今後の普及が期待されています。
旅行業者代理業
上記の旅行業者から委託された業務の範囲内のみで商品提供が可能なタイプになります。営業保証金は必要なく、小資本でも参入が可能です。
必要な手続き
旅行会社を開業するには、分類に応じた登録を行う必要があります。申請先は、第1種旅行業は観光庁長官、それ以外は主たる営業所を管轄する都道府県知事(観光圏を限定した旅行業者代理業は国土交通大臣)になります。
代理業以外の旅行業者は、旅行者が損害を受けたときに備え、あらかじめ旅行業者の財産の一部を営業保証金として国に預けておく必要があるほか、財産的要件として、基準資産額が定められています。詳細については、観光庁のホームページをご確認ください。
なお、一般社団法人全国旅行業協会に加盟している場合は、営業保証金は5分の1の納付となり(弁済業務保証金制度)、弁済業務保証金分担金となります。協会への加入手続きは、当協会の都道府県支部にて行いますが、以下のような入会条件があります。
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・旅行業法第6条に該当しないこと。
・「選任」された「(総合・国内)旅行業務取扱管理者」が1名以上(従業員が10名以上の営業所では2名以上)常勤雇用されていること。
・「財産的基準」(基準資産)として、旅行業第1種3,000万円以上、第2種700万円以上、第3種300万円以上、地域限定100万円以上あること。
まとめ
高度情報化に伴い、一般消費者と宿泊施設・鉄道会社・航空会社などサプライヤーとのオンラインサービスを利用した直接取引が増加しています。それにより若年層ではパッケージツアー離れが進んでいますが、熟年層やパッケージツアーを好む層はもとより、「ツアーでしか訪問できない場所がある」、「初めて行く」、「個人では移動が難しい」といった旅行先においてもパッケージツアーの利用意向は根強い人気があります。また、コロナ禍においては個人旅行よりも事業者が感染対策を徹底しているツアー旅行の方が安心だという考え方も広まっており、旅行業界全体としてツアーコンダクターの需要は根強く、今後も求められ続けると考えられます。